刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 此方の問い掛けに頷きが返って来た事で安堵が胸に落ちるも、それは長く続かなかった。己を認識出来たのは僅かの間だけで、再び狂いを見せた呼吸と共に一瞬“今”にあった意識は過去へと落ちた様子。直ぐ近くで喘ぐ様な呼吸が繰り返され、その合間合間に何度も紡がれる妹の名前と謝罪に一度きつく双眸を閉じると、恐らく相手自身の意思とは関係無く止まらなくなっているのだろう震えを押さえ込む様に、先ずは近くの掛け布団を手繰り寄せ相手の背中に掛け、その後痙攣を繰り返す身体を確りと抱き竦め「…許してるよ、ちゃんと許してる。…大丈夫だから、」此方の声が今の相手に聞こえていなくとも何度も“大丈夫”を伝え続けて。___酷い発作が漸く少し落ち着き、身体の震えが治まりを見せて来た頃、次は先程まで翳りを見せていた相手の碧眼からとめどない涙が溢れた。同時に紡がれたのは“あの日”の後悔。“あんなに苦しんだのに”の一言を拾い思わず驚愕に見開かれた目で相手を見る。セシリアは…即死では無かったのか。至近距離の相手の表情は余りに悲痛な色に染まり、涙に邪魔され引き攣る喉から絞り出される後悔は重い。薄く開いた唇から何か言葉を発するよりも先に頬に冷たさが滑り、己もまた泣いている事に気が付いた。相手の涙を見たからか、その言葉で2人のその時を想像してしまったからか、物理的には有り得ないのにまるで抱き締めた相手の身体から絶望や痛みや後悔が…あの時の記憶が、流れ込んで来るかの様なそんな感覚を感じてしまったからか。思わず俯き、そこで相手の腕にある鬱血痕に気が付き涙の量は増す。以前駄目だと制した所謂自傷は、今回は列記とした抵抗だったのだろう。__セシリアは死の直前、相手に手を伸ばしたのだろうか。兄の姿は見えていたのだろうか。幼い園児を庇いながらもその心はきっと恐怖でいっぱいだった筈だ。流れ出る血の感覚を、撃たれた箇所の熱や痛みを、感じてしまっただろうか。相手は…伸ばされた手を握る事すらも出来ない程の絶望に一瞬にして染まってしまったのか。「…っ、ふ…ぅ、」痛い、なんて言葉が生温く感じられる程の余りに大きく重たい何かが胸の奥に根を張り体内から締め上げる様な感覚に俯いたまま嗚咽する。何に対しての涙なのかはわからなかった。泣き続けるべきなのは己では無く相手なのに、ただ、心が痛いのだ。相手の腕を緩く掴んだまま、何か言葉を発する事も出来ずにいて )
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