刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 相手の紡いだ言葉は慰めでも幾度となく送られた称賛でも無かった。此方の想いや行動とは裏腹に最善が齎され無い結果がある事、例え深い絶望でも起こり得る事で、どれだけ悔やんでも決して戻る事は無い…それが現実なのだと。一見酷く厳しく労りの欠片も無い言葉に聞こえるが心はそうは捉えなかった。周りが喜び労ってくれた“良くやった”の言葉は余りに重すぎたのだ。次から次へと溢れ出る涙は呼吸を上ずらせ、薄く開いた唇からは嗚咽が漏れる。__最善の結果が齎されない事が起こり得る事も、その瞬間には決して戻れない事も、その絶望を誰よりも相手が一番知っているだろう。誰よりも一番苦しんで来ただろう。途端に“2つの事件”と“2つの気持ち”が交差した事で痛みが倍増した感覚を覚えた。“犠牲になった子にしてあげたかった事”は__大丈夫だと抱き締めてあげたかった。妹と2人一緒に抱えて母親の元に連れて行ってあげたかった。幸せだったであろう日常の中に戻してあげたかった。それはつまり全部__「っ、…助けて、あげたかった……!」引き攣る喉を震わせ、漸くそれだけを言葉にした後は思わずその場に蹲る。助けてあげたかったのだ。どうしても、助けてあげたかった。けれど、出来なかった。__相手は“あの日”犠牲になってしまった人達に、妹に、何をしてあげたかっただろうか。きっと己と同じ様にただ、助けてあげたかったに違いない。絶望は、後悔は、自分自身への失望は、こんなにも痛いのか。相手はこんなにも重い痛みの中に居るのか。声を上げ泣き叫びたいのを押し込める様に片手で口元を覆いながら、指の隙間から漏れる嗚咽と共に肩を震わせて )
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