刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 感情を剥き出しにする様に荒げられた怒声に肩が跳ね身体が強張る。睨まれる事や注意される事はあれど此処まで大きな怒りをぶつけられたのは初めてだった。容疑者を相手に取り調べをする時の刺す様な冷たい威圧感とはまた違う、ビリビリとした産毛が逆立つ様な恐怖はあっという間に身体に纏わり、視線を逸らす事すら出来ない。けれど相手の言う事は何一つ間違って無いのだ。もしあの時犯人が此方の無謀な突入に気付いていて扉の前で銃を構えていたら、もし機動隊の援護が遅れ激しい銃撃戦になっていたら、もし犯人が1人では無かったら__全て“死”に結び付く。どれ程危険で、浅はかで、愚かな行為だったのか確りと理解している筈なのに。「…っ、」再び脳裏を過ぎったのは、爆発物を身体に巻き付けられたった1人泣き崩れていた少女の姿。“助けて”と繰り返す懇願も、タイマーが作動しカウントダウンを告げる機械音も、“退避しろ!”と叫ぶ隊員の声も、昨日の事の様に思い出せる。あの時、先に爆弾を解除した妹の方を抱き抱えていた己は、退避する道しか選べなかった。__「…人質が助かるなら構わない…っ!」__言ってはいけない、特に相手には絶対に言ってはいけない言葉が売り言葉に買い言葉の様に感情に任せて口を着いていた。勿論本心では無い。自分の命であれ何かと天秤にかけ軽んじるつもりは毛頭無いのだが、ハッとした時にはもう既に後の祭り。「__違…、……、」失言だとわかるからこそ弁解しようとして、一度口から出してしまった言葉はもう戻らないと気が付く。今度は視線を合わせている事が出来ず俯いて )
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