刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 身体を起こした相手が直ぐに背後に体重を掛けないのならば、勿論の事拒む事はしない。肩口にある柔らかな焦げ茶を優しく撫でながら相手に襲い来る痛みが少しでも落ち着くのを待ち。___やがて身体を離した相手が溢したのは先程までの夢現なものでは無い、けれど過去に実際に起きた事の夢の内容だった。釣られる様にして相手の腹部へと視線を落としてから直ぐに瞳を持ち上げる。消えずに残った傷跡と同じ、否、それ以上に心に残り続けたのはきっと罪の意識だろう。あの時の男性は心神喪失の判断が下される事無く有罪となり、今も刑務所の中に居る。残された男の妻はあの家で夫の帰りを待ち続けて居るのだろうか。「…もう終わった事だって思えたら、どれだけ楽なんだろうね、」相手の中には今尚消える事の無い罪の意識が、夫婦の中には少なからずある恨みと膨大な悲しみが渦巻いているだろう。そうしてあの事件は己の心にも感じた事の無い恐怖を残した。そう言った“負の感情”を全て無くし、許し、前を見る事が出来たら__。薬を飲んだ姿を見て小さく微笑むと、捲れた布団を相手の足に掛け直す。鎮痛剤はやがて痛みをとり、解熱の効果も発揮する筈だ。ふ、と再び相手が溢した言葉には嫌悪や自嘲気味た色が混じっていて「私は少しも思わない。」と、間髪入れずに否定する。それから間を空ける事無く“でも”と言葉を置いてから「エバンズさんがそう思うなら、納得のいく時が来るまで私を使って。“今”のエバンズさんが難しいなって思う事、して欲しい事、全部言っていい。」真剣で、けれど酷く柔らかな語調でそう言葉にした後「だって私、優秀な部下でしょ?」と少しだけ悪戯な色も滲ませたのは、相手に重さを感じさせない為。「…持ちつ持たれつだよ。私が出来ない事や助けて欲しい事は、遠慮無くエバンズさんにお願いする。それで、ちょっと頼り過ぎたな、申し訳無いなって思った時は何かで埋め合わせをするの。」相手自身感じる嫌悪や、周りに迷惑を掛けてしまうと思う気持ち、それらは簡単には拭えないかもしれないが、何も難しく考えなくて良い、生きているならば当たり前の事なのだと )
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