刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 真っ白の壁、真っ白の天井、真っ白の布団。その中で眠る相手を出会ってから何度見て来ただろう。その度に心臓に無遠慮に冷たい氷を押し付けられた様な痛みと恐怖を覚えるのだ。けれど相手は何時だって必ずその褪せた碧眼に光を通す。今だって。それを見て、今度は泣き崩れたくなる程の安堵を覚える。__繰り返し、繰り返し、そうやって時間は進むのだろうか。緑と碧が交わり相手の薄い唇が僅かに開き、そこから漏れた声に何度も首を縦に振る。“ミラー”の名前に応える様に、そうして続けられた問いに答える様に。一歩小さく踏み出された片足を切っ掛けに、後は心に従うまま小走りで駆け寄れば、途中相手の輪郭が歪み涙を堪えられなかった事を自覚する。その涙が頬を伝う事は無いが、たっぷりと濡れた瞳のまま腰を折り相手の頭を抱く様に腕を回し、「…ちゃんと、終わらせて来ました。」一度小さく鼻を啜って言葉にしたのは上司である相手に対する報告。行動と言葉のアンバランスさはそのままに震える息を僅かに吐き出しては「…間に合わなくて…大事な時に、エバンズさんの近くに居たかったのに…、…ごめんなさいっ、」事件から12年目の日、セシリアの命日、己が相手の側に居たからと言って相手の苦しみが無くなる訳では無く、あくまでも此方の勝手で、エゴだとわかって居るが間に合わせたかったのだと謝罪を口にして )
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