刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( ふと意識が浮上するも、初めに視界に入った白い無機質な天井は嫌な歪み方をしていた。ゆっくりと形を変えながら揺らいでいるように思えて、思わず一度目を伏せる。息は出来ている筈なのに酸素を上手く吸えていないような、呼吸をする度に胸に鈍い痛みを伴うような感覚。其れでいて、つい先程まで見ていた夢にほんの些細なきっかけで足元を掬われ何処までも深く堕ちて行ってしまうような恐怖があった。そして目を覚ます度に、今日はあの事件が起きた日なのだと言うことを嫌でも思い出す。言いようのない不安感に襲われ、一瞬呼吸が上擦る。自分はたった一人だ、皆自分の元から去り一人取り残されてしまったのだという恐怖感で身が竦む。そして自分だけが、あの事件に関わった唯一の人間として憎悪を向けられ続けるのだと______高熱の所為だろう、側に相手がいる事に気が付かないままそんな思考に囚われて、元々浅かった呼吸はさらにペースを乱しマスクを曇らせて。 )
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