刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( あの報道が成されてから今まで、ずっと自分の中で耐え続けていたものが崩れてしまいそうだった。上手く酸素を取り込めない所為で浅く掠れた呼吸を何度も繰り返す。蓋をし続けていた筈の、周囲から向けられる白い目も、自分を蔑むコメンテーターや記者の言葉も、貴方は犯罪者と同じだと言ったクラークの言葉も、全てが痛みとなり心を抉る。酷い酸欠の所為で一瞬意識が遠退き相手の言葉に反応せずにいたものの、時間にしてどれ程だったかは定かではないが少しばかり波が収まり呼吸が深くなる。視界がはっきりして来ると冷たく痺れた指先に力を込め、汗に濡れたワイシャツのボタンを震える手で外すとそのままソファに身体を横たえて。スマートフォンを手から離し耳元に置いたまま、自分に呼び掛ける相手の声が聞こえて視界が滲んだ。目元を手で覆い、小さな嗚咽だけが漏れて。 )
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