刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 繋がった電話の向こうから聞こえた声は言葉にはならず、やがて時折喘ぐ様な悲痛な音が漏れる様になった。噛み締める事で軋んだ奥歯、木枯らしが吹く様な掠れた息。鼓膜を揺らすそれらが、相手がどれだけの苦痛をその身に受けているのかを知らしめている様で双眸にはあっという間に涙の膜が張る。「大丈夫…ッ、続かないから、苦しいのも、痛いのも、…ちゃんと終わるっ、!」無責任な“大丈夫”を傍で抱き締める事も出来ないのに言うべきでは無いかもしれない、ましてや明確な“何時”も言えない終わりなんて尚更。けれどたった1人孤独に耐え、痛みに耐え、涙を流しているかもしれない相手に何も言わない事も出来ないのだ。どうか少しでも早くこの苦しみが終わり眠りにつける様に、その時に決して孤独の中眠るのでは無いと思えるように、声だけは僅かでもいい届いて欲しいと )
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