刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 相手と居た時間は其れ程長いものではなかったものの、彼も事件で大切な人を失った遺族で警察に恨みを抱いているのだという事を改めて釘を刺され、お前も犯罪者と変わりはないのだと自責の念を植え付けられる。大勢から向けられる蔑むような冷たい視線が、大々的に報じられた自分に関する記事が、確実に心を消耗させていた。彼に何を言う事もなく車を走らせ家に戻り、暗い部屋に明かりを付ける。スーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイを引き抜くと薬の入った袋を掴み中からシートを取り出して2錠を口にして。胃の辺りの痛みは強くなっていて、ソファに身体を預けると目を閉じる。此処数日眠れない日が続いていたため、微睡むのに時間は掛からなかった。浅い眠りの中で薄らとあの日の夢を見ていたものの不意にスマートフォンが着信を知らせ、ビクッと肩を震わせる。ほんの数分の浅い眠りだったが僅かに息は上がっていて、深く息を吐き出すと「______エバンズだ、」といつも仕事の電話を受ける時の口ぶりで電話に出て。 )
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