刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 相手が遺族や記者に訂正を乞うたり署員の誤解を解いたりする義務など一切ないのに、相手の言葉と其の真剣な表情は、何らかの形で自分を支えようとしてくれている事が伝わるものだった。しかし此処に来た理由を問うと不自然な間が空き、視線を持ち上げれば何かを言おうとしては躊躇する様子を見せる相手に静かに視線を向けて。---暫しの後に相手の口から出たのは“出張”という言葉。急な仕事が入る事などよくある、相手が自分に対して申し訳なさを感じる必要など全く無いというのに____それでも、今のこの状況で相手がレイクウッドを離れると言うのは絶望的な事のように感じてしまった。署内に味方が一人も居なくなってしまうような孤独感とでも言うべきか。瞳に浮かぶ暗い色が僅かばかり濃くなるも「……そうか、」と静かに返事をする。「お前を見込んでの仕事だ、行って来い。それに、今此処に居るよりずっと良い。」相手の背中を押す言葉を掛けつつ、記者たちに張り込まれ嫌でも不穏な空気の漂う場所に居るよりも気分が晴れるだろうと。_____其れはあくまで上司としての言葉だ。本当は不安で離れないでくれと子どものように相手に縋りたくて堪らない、光を見失った自分をいざという時に引き上げて欲しい。しかし其れを言葉にする事はなく「…仕事に戻れ、」とだけ告げて。 )
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