刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( ガンガンと脈打つ様にして痛む頭に不愉快そうに眉間に皺を寄せ、モゾモゾと寝返りを打った所で隣に眠る相手の存在に気が付いた。不機嫌そうな色宿る虹彩に次は驚きと戸惑いの色が滲む。「……え、」と。薄く開いた唇から漏れた音は至極小さく相手を起こす程のものでは無かったがこの状況の理解が追い付かない。__昨夜職場の皆と飲み会をして、心配する同僚に大丈夫だと告げて確りとタクシーに乗った。タクシーに乗って、その後は。__自宅に帰ったと胸を張って言えないのは記憶が無いからと明らかにこの場所が自宅ではなく上司の家だから。泥酔した己は夜中に相手の家に押し掛け、もしかしたら家には帰らないと駄々を捏ねたのかもしれない。2度目の過ちに頭痛が余計に酷くなりそうな感覚を覚え、このまま布団に潜り込み籠城を決め込みたいと思ったのだが。隣で静かに眠る相手は、眉間に皺を作る事も無く穏やかに眠っている。悪夢に魘されてもいない、静かな眠りだ。その表情をぼんやりと見詰めている内に、今度は何故か頭痛が落ち着いていく様な気がして胸には暖かさが宿った。起こさない様に注意しつつ、布団の中から出した手を相手の頬に滑らせる。愛おしい上司の頬を優しく何度も何度も撫でている内に、再び眠気が来ればうつらうつらとし始めて )
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