刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 初めは静かな眠りだった。疲労感を感じるままにベッドに横になり目を閉じれば意識は直ぐに暗闇の中に沈み、夢を見る事もなく。相手が隣に横になった事にも気付かなかったものの、其れからおよそ2時間。明け方に近い深夜にベッドの中で僅かに身じろいで。暗くドロドロとしたものに足を掬われ一向に前に進むことが出来ない、そんな重く暗い夢を見ていた。其れはやがて身体に纏わりつき呼吸さえ上手くできなくなるような、明るい方へ自分が進んで行こうとするのを阻むような、そんな暗く“無”に近い悪夢。酸素を取り込みたいと薄く唇を開け、僅かに息を吸い込んだ事で意識が浮上し咳き込むようにして布団の中で背中を折り。苦しくて堪らない、上擦った呼吸の所為で背中には冷や汗をかき上手く息が出来なかった。ただ時が過ぎるのを願いながら苦しさに耐える事は慣れている、暫くは背中を折り曲げて懸命に上手くできない呼吸を繰り返していたものの苦しさが楽になる事はなく相手に手を差し伸べて欲しいと思った。布団に潜り込んでいたため熱くなった空気と共に身体を僅かに持ち上げると「…っ、は…ミラー、…ッ」と相手の名前を紡ぐ。相手が反応を示すよりも前に相手の服を握り締めると再び枕に額を押し当て、ほんの僅かでも楽になれる体勢を探して。 )
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