刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 首元を緩められ、語り掛けるような穏やかな声色と共に背中を摩られているうちに徐々に上擦っていた呼吸が落ち着き、元のテンポに戻り始める。脳裏に強烈に焼き付いていた嫌な赤も少しずつ色褪せて行き、程無くしてようやく息苦しさから解放されると少し青褪めた顔を覆い深く息を吐いて。それから、もう大丈夫だと断りを入れるように背中を摩り続けている相手を手で制止し。まさか職場で、それも相手の前でフラッシュバックを起こす事になるとはという気不味い気持ちが大きかったが、症状が酷くならないうちに薬を飲んでおかなければ。ジャケットからいつもの錠剤を2つ取り出し、既にキャップの空いている水で飲み込んでから息を吐き。静まり返ったフロアですぐ隣に居る相手がどんな顔で自分を見ているのか、目を合わせる事が出来ず「…悪い、驚かせたな。」と静かなトーンで一言。デスク周りは酷い状態で、落としたマグカップも割れてはいなかったがフチが欠けてしまっている。緩慢な動作でネクタイを拾い上げデスクに置き、少し休んでから床を片付けようと。 )
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