刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 犯行現場も悲惨だったがこの場所もまたそれとは異なる意味で悲惨だった。相手が一つ一つを説明していく中で聞こえる嗚咽。やり場の無い怒りや悔しさをどうする事も出来ずにぶつけてくる父親。顔面蒼白で今にも倒れてしまうのではないかと思えるくらいに生気の無くなってしまった母親。そんな遺族達にカメラを向けるマスコミ。泥のように混濁した悲しみや憎しみが今だけは確かに目に見える気がして僅かに俯く。ピリピリと肌の表面が痛むのは本当に気のせいなのか。言われた通りにマスコミ相手に口を開く事は無く遺族の方達に小さく頭を下げ全てを終わらせて車に戻れば無言のままにハンドルを握り。立ち会うと言ったのは紛れも無く自分自身。これからこの事件と向き合う者として後悔はしていない。それでも血に濡れた園児の顔と泣き崩れる母親の顔を拭う事が出来なければ血が滲む程に唇を噛み締め、それでもけして泣かないと前を見据えたまま署まで車を走らせて )
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