名無しさん 2022-01-13 17:50:57 |
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……降ろして、自分でなんとかするから。
( 辛うじて動かす事が出来る鉄腕の有り難みを噛み締めながら相手の片手へと手を伸ばし医療器具を取る。近場の無人であるスペースへと降ろすように頼めば、脳へと直接異常がきているのかぶちぶちと引きちぎるように赤い液体がぶちまけられた白いシャツのボタンを取り。痛みに歯を食いしばりながら胸に空いた小さな穴をなぞれば、段々と浮かび上がってくる死の輪郭の恐ろしさへ思わず身震いをした。『 ……おい!どうなってる!エクスマキナの連中が付近に来てるぞ!やっぱり人間なんて助けるべきじゃない、ここで殺すべきだ!……ああ、クソ! 』恐怖と戦いながら止血用の糸を手にした瞬間、鼓膜を裂くような男の怒号が倉庫の構造も手助けしてか電気のように辺りへと駆け巡った。場に似合わない工業用の鉄菅が軽やかに蹴飛ばされでもしたのか地面へと叩きつけられる音も同時に。微妙なズレから先程の招待者ではない事は分かったが、この声が男性アンドロイドのプリセットの一つだという事には気づかなかった。人間という種族からは余り出てくる事がないであろう単語に思わず眉を顰ませ。人間である自分達を彼等は侮蔑、警戒、あるいは哀憫、様々な瞳で観察するように見つめている。集団の中の一人の肩に刻印された番号のようなもので漸く彼等がアンドロイドだという事を理解し。 )
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