総長代理(主) 2022-01-03 20:19:14 |
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宴を告げる大号令は自室で稽古中だった彼女──この場合は赤崎聖奈にも届いた。
声の主は彼女もよく知っている。というより、この屋敷において彼女──この場合は少女の姿をした雷獣レゼ・グロームを知らぬ者はいないだろう。
新人歓迎会。表情こそいつも通り上の空気味の無表情だが、その言葉は確かに赤崎の胸を静かに踊らせていた。
新人。新人外?果たして彼か彼女か。
年齢は自分より上か、下か。あるいは同年代か。
新たな特隊隊員として入るのか。そうだとしたらどんな武器を使うんだろう。
疑問が泡立ち、期待が膨らむ。
「ここの人達、年上ってレベルじゃないからなぁ・・・・・・。タメの人だったらいいなぁ・・・・・・。」
素振り用の木刀をしまい、鍛錬の後片付けをしながら彼女は考える。
「前の職場」では訳アリゆえに赤崎聖奈という存在は特別であり、ありていに言えば孤立していた。
凡そ対等な友人と呼べる者はおらず、周囲からの扱いはバケモノか兵器。
まるで自分はこの広い世界にひとりきり、そんな高校とともに卒業するような厭世観に取り憑かれこれまで生きてきた。
しかしここではどうだ。所詮自分はただの人間と嫌でも思えるような人外に囲まれ、彼女の疎外感は一夜にして晴れた。
それなりに表の人間では知りえない世界を存分に見てきたと自負してきたが、それすら現世のたった一切れでしかないと気付かされた。
今度出会う人はどんな訳アリを抱えて、どんな異世界を持ち込んでくれるのだろう。
日々のルーティン、稽古の後片付けを終え赤崎は自室を出た。
中庭の方面が騒がしい。もうみんな集まって盛り上がっているのだろうか。
本番前に既に空気ができあがっているのか。きっと、新人さんとやらは明るくて陽気で誰とでも打ち解ける人なのだろう。
そんななかば妄想に近いビジョンを呑気に描きながら、彼女は会場予定地へと向かった。
(/ 初めてなのでロルこんなんであっているかはわかりませんが、改めてこれからよろしくお願いいたします!)
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