Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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…アル。
キミが一生懸命仕事したのに、僕がそれを軽蔑するはずないじゃないか。 嫌いになるなんて、そんなの無理だよ。
僕らは人間を天へ導くし、キミたちは地獄へ誘う。その正反対な事実は変わらないけれど、僕らに出来ないような事を、君たちはやってくれているんだ。
( 酔っている所為なのか、珍しく思っていることを素直に表現してくれる相手に、嬉しさと切なさが募ってくる。
相手の話を聞き終えると、肩の荷が降りたように息を吐いて、ゆっくりと相手へ向き直り、泣きそうな瞳をした相手の顔を両手で包み込んで此方へ向ける。
静かに名を呼べば、自分だって、相手を嫌いでは無いことを真っ直ぐに伝え、優しく微笑んだ。
確かに、彼の言う通り、地獄では、天使が軽蔑し卒倒するような仕事もたくさんあるだろう。しかし、人々の人生や生と死に携わる自分たちの仕事は、お互いがいなければ成立しない。地上は善と悪で成り立っているし、どうしようもない悪人は、我々には手の付けようがない。
人間を悪の道へ誘ってしまうのも彼らかもしれないが、自分たちの手に負えない人間を然るべき場所へ導くのも、彼らの立派な仕事だと思う。)
それに、キミがそうやって想ってくれているなら、上には帰らないよ。
( 乱れた相手の髪をそっと撫で、続けて、優しく上記を述べた。正直、顔も見たくないほど嫌われているのなら、いっそ天国へ戻った方が楽だろうかと思っていたが、自分の中で誤解は解けたし、相手の気持ちを知れば、帰ろうと思う気持ちなんて消え去ってしまう。)
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