Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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………
( ベッドから顔を出さず布団の中から返答する相手に、静かに紙袋をテーブルに置けば、相手の傍らにそっと腰掛け耳をそばだてた。
所々聞き取れなかった中で、聞こえてきた“ 1人になりたい ”の言葉、そしてその声色に、更に抱えていた不安の種がミシミシと鈍い音を立てながら大きくなるのを感じる。
暫く黙った後、横で丸くなっている布団の上にそっと手を重ねると、やっとの事で口を開いた。)
…ねぇ、アル。
僕の顔、見たくないの?
( 優しくそう言った言葉には寂しさや不安もあり、それでいてどこか冷静さを持ち合わせていた。
布団を被り、いつもは覗かせてくれる大好きな赤い瞳さえ、一向に此方へ向けてくれる気配はなく、ただ、相手が今どう思っているのかが気になった。
拗ねているようにも感じる相手の言葉からは、身体の不調を訴えているものではなく、何か隠している、何か言いたい事がある、と安易に予測できた。それが何とまでは分からないが、これだけ一緒にいればなんとなく分かってしまうのだ。
これだけ篭っていれば、いつか人間の体を壊してしまうよ、なんていつものようにお節介じみた事を言おうと思っていたが、述べられたのは上記のみだった。 )
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