Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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そりゃあ良い、欲に忠実なヤツは嫌いじゃない。
(そのポジティブさに皮肉を言うのも面倒になって適当な返事をしていると、嬉しそうな笑顔を見せたので今度はなんだと訝しむような目を向けた。
そして「半分堕天してる」と言ったことを喜んでいるのだと知って、つくづく変な天使だと眉根を寄せながらお気楽な天使の姿を見るのだった。
満足したのか立ち上がり、律儀に会釈と挨拶までしてくる相手を見上げて「…じゃあな、天使様。」と返す。
天使に抱く、偉そうで上から目線なイメージから「天使様」と考えなしに口にしたのだが、これがいまだに続いている呼び名であることはまた別の話…。
天使が思いのほか近くにいるということを知っても、悪魔の行動はこれといって変わらなかった。
結局この公園は適当に人間を誘惑するのにうってつけだったし、買い物をしたり店に入ったりするのも近所の店なのだから。
週末の午後、悪魔は基本的にいつもの公園の同じベンチに座っている。カップルを誘惑するのに最適だからだ。____ただ、夏ともなるとそうはいかない。木陰のないベンチからは人がいなくなり、噴水の方に人は流れていく。
その上黒い服に身を固めているものだから、太陽の熱を吸収して暑くてたまらない。
少しその場所にいて、それからいよいよ我慢ならないと立ち上がった。このままじゃいくら悪魔とはいえ干からびてしまう。
人間の体を維持するためには水が必要だ。どこか店にでも入ろうと思ったのだ。)
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