Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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(嫌だ、と初めて伝えられた相手の言葉は想像していなかったもので瞳に驚きの色が混ざる。
いつも一方的に自分が天使に嫉妬しているものだとばかり思っていたのだ。相手の交友関係に口を出すのもお人好しだと怒るのも、いつも自分だったから。
相手を縛り付けていた力が弛んだが、相手がその場から動くことはなかった。
静かなトーンで語られる相手の言葉は、感情的な言い合いよりもずっとまっすぐに自分の心に届き、苛立ち昂っていた感情も少し落ち着いたようだった。)
…力を使ったりして悪かった。…俺から花の香りがするのは嫌か?
(苛立ちをぶつけるように声を荒げてしまった上に力ずくで相手の動きを封じてしまったことを謝り、相手に少し近づこうとするが、自分に魅了されるよう仕向けてあれほど近くに抱き寄せていた彼女の香りがするのはいい気がしないだろうかと足を止め訊ねた。
天使は悪魔の誘惑の影響を受けることはないのだから、相手の嫉妬は自分が誘発したものではない。
こちらを大切に思ってくれるがゆえの嫉妬、欲深さであるなら、それがうれしくないはずがなかった。)
___悪魔は欲深いのが大好物だ。
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