Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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___嫌に決まってる。お前に色目を使う奴は好きじゃない。
(相手を捕らえて離さない赤い瞳に渦巻くのは紛れもなく、自分がこの会場で煽ったのと同じ嫉妬だ。別に自分の力に飲み込まれているわけでもなく、誘惑によって人間の欲を煽った結果として自分が嫉妬することになってしまっているだけのことだった。
不機嫌な声音はそのままに、嫌だと即答した。相手は魅力的で人当たりもよく、その優しい笑顔のもとに人が集まるのは当然だったが、中でも相手とより深い仲になることを望んでいる者特有の熱っぽいような、憧憬や恋慕の感じられる目は嫌いだった。
あの男は自分にないものを持っていて相手とお似合いだと感じたせいか、なおさら嫌悪感が募るのだ。
上品な雰囲気や物腰の柔らかい口調、上質な服を着て優しく相手をエスコートする。その上あの男は敬虔なクリスチャンだ、地上で天使の横に立つ者としては申し分ない。悪魔か紳士か、どう考えても軍配はむこうに上がる。そうなれば当然憎たらしくてしょうがない。
…自分はこれほど嫉妬しているというのに、天使が自分に嫉妬しているという考えには1ミリたりとも至らない。
悪魔は誘惑するのが仕事だと普段から豪語しているため、女性を誑かしたり自分に魅了させることを一切悪だと思っていない。
自分から甘やかな花の香りが漂っていることも何とも思っていなかった。)
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