Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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すみません、僕の不注意で。
あなたの白いスーツにかからなくてよかった……。
(相手が男をアルと呼んだことに腹をたて、それは俺の名前だろうと言いたげに悪魔は相手を睨みつけた。
一方でワインをこぼした張本人はもちろん不思議な力が働いて起こったことなどとは思いもせず、思った以上に酔っているのだろうかと首を捻って不注意でこんなことになってしまい申し訳ないと謝った。
せっかくスマートに相手をエスコートしようとしていたのに、ジャケットにワインのシミがあっては魅力も半減してしまう。いい雰囲気で相手とテラスを堪能しようと思っていたのにと肩を落としながらスカーフで拭いてくれる相手に申し訳なさそうに目尻を下げる。
よく似合っている真っ白な相手のスーツに跳ねてしまわなくてよかったと心底安堵しながらも、シミを落とすため向かい合っている自分より少し背の低い相手を見ていると、抱きしめたい衝動に駆られてしまう。
それはすぐ近くに欲の中心である悪魔がいるからなのだが、そんなことはもちろん知りえない。
この身綺麗な紳士は人がよく、良くも悪くもこうした力の影響を受けやすいタイプの人間のようだ。
スカーフを手にした相手の腕を引き寄せて優しく抱き寄せると、自分の情熱的な心の内を相手に伝えるのだった。
そしてその状況を目の当たりにした悪魔は、気を紛らわせるために飲んでいたワインに思わずむせてレイチェルが慌てたように背中をさすった。)
___ああ、レイさん。こんな気持ちははじめてなんです。
あなたはとても魅力的な人だ…この夜が終わらなければいいと思ってしまいます。
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