Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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(心優しい相手のことだ。確かにワケを知っていたら自分から離れて行ってしまっていたかもしれないと思うと、よかったと笑う相手に同意した。
少しの間があって自分の言わんとしていることを理解したのちに相手のブルーの瞳から、まるでどこまでも晴れ渡った青空の下でポツリと雨が降るように、涙がこぼれた。
「泣くなよ」と少し困ったように、同時に少し楽しそうに笑うと相手の頬を指で拭ってやる。長いまつ毛に水滴が付いている様子はとてもきれいだったが相手に泣かれるのには弱いのだ。)
レイモンドのせいじゃない。
ただ…そうだな、あいつはお前の後輩だ。迷惑料は先輩のお前にきっちり払ってもらおうか。
今日は疲れた、明日ディナーでもどうだ。
(相手が笑ってくれたことに安堵しつつ抱きしめられると応えるようにポンポンと相手の背中を叩いた。
相手は何も悪くない、どちらかと言えば巻き込まれているようなものだ。気にするなと言いながら、背中をさする手に心地良さそうに目を閉じる。
嫌な痛みだったことは確かだが、あれほど感じていた痛みも相手が触れていてくれるだけでおぼろげな記憶の中に溶けていくようで、もう何ともなくなっていた。
今回の件に関しては“迷惑料“とでも称して、また明日相手をディナーに誘う口実にしよう。何が食べたいわけでもないのだが。
相手がいなくなるかもしれないという不安に苛まれていたせいか、珍しく寂しいとかいう妙な気持ちがあって相手の肩に顎を乗せたまま「このまま泊まってけよ。」なんて言うのだった。)
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