Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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あいつの厄介なのは計算高いところだな。
…俺がお前のことを考えたり、名前を呼んだりすることで痛みが起きるようにしてあった。それさえしなければ何ともない。
あとは距離が近づくほど、痛みが強くなる。
俺が痛みを嫌がって、お前と距離を取ると思ったんだろ。
___ただ、想定が甘かったな。あいにく痛くない時間がなかった。…なぁ、言ってることが分かるだろ、天使様。
(相手は単純にあの天使の力が強かったから、あれほど苦しむことになったと思っているのだろうがそれは違う。確かに力のある天使ではあったが、頭がキレて計算高いところが最も厄介だったのだ。
特定の条件でのみ痛みが誘発されるという状況にすることで、自分が痛みを回避するため相手のことを頭から消して距離を取る、というのが相手の考えた理想的な道すじだ。実際その特殊な条件に苦しめられた。
しかし彼の失敗は、想定を甘く見すぎたことだろう。痛みを回避しようにも、いつも頭のどこかで相手のことを考えてしまっていて常に痛みを感じる状態だったのだ。
そうなってしまえばその痛みをやり過ごすしかなく、相手と距離を取るだとかそんなことを考えている余裕もなくなっていく。
相手の手が僅かに震えるのを感じると顔を上げて、悲しそうな顔をしている相手の髪の毛をポンポンと軽く撫でた。
つまり、自分はいつも相手のことを考えているということだ。天使の想定の上を行くほどに、相手を大切に思っているということを暗に伝えたくて、笑いながら言うと相手の目を覗き込んで問いかけた。)
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