Devil 2021-11-21 21:57:27 |
通報 |
「……俺だって、レイモンドさんを奪ったお前は許せない。
…それでも、先輩があぁ言うんだから…その、もう手出しはしない。
但し、さっきも言ったが、先輩が堕天でもしようものならお前を八つ裂きにして上に連れ帰るからなっ…」
( 手を差し伸べてくれた先輩に対して幾分気持ちが落ち着いていると、その背後から悪魔の声が聞こえてきて一気に顔を険しくさせる。先輩からの言葉に反省はし、口をまごつかせながら危害は加えないと言う。しかし、此方も相手と和解するつもりは無いようで、謝罪こそせず威嚇する猫のように言葉を尖らせた。
だが、愛する先輩からの鋭い視線に気付いたのかすぐに口を閉じてバツの悪そうな顔をすれば、「……帰ります。」と一間の後に静かに呟いた。
そして、先輩に対して律儀に挨拶をすれば、悔しさや寂しさが入り交じった名残惜しそうな顔をしながらもその場を後にした。)
……アル!
本当にすまなかった…。
ゼパルさんから話を聞いた時、まさかとは思っていたんだ….。
先に、彼のことを話しておくべきだった。
( 後輩の背を見送れば、玄関の扉が閉まってすぐさま相手の元へと駆け寄る。一気に緊張が解かれたかのようにもう一度相手を強く抱き締めれば声を震わせて謝罪を述べる。
相手がどれほど苦痛に晒され我慢をしていたか考えれば罪悪感で一杯だった。
あの後輩の悪魔嫌いも性も分かっていた筈なのに、こうなる事を事前に防げなかったことが悔やまれる。全て自分が招いてしまった種だが、何より相手が今、無事でいてくれて心底嬉しかった。)
トピック検索 |