Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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(相手が悪魔に背を向けたのを見て、ようやく相手と悪魔のつながりを断つことができると安堵して相手の肩を抱き家を出ようとしたものの、突然手を振り払われた。
諦めて自分の言うことに納得してくれたと思っていただけに相手の突然の行動に対処できず振り返った時には、愛おしい相手は悪魔の元に駆け寄っていたのだ。
暴れて大きく羽ばたかせる悪魔の羽根が先輩を傷付けるのに、自分を犠牲にしてまでその体を抱き寄せる相手の姿は苦しむ者に手を差し伸べる神々しい天使の姿に見えて、その場に立ち尽くしてしまうのだった。)
(酷い痛みに暴れて大きく羽ばたいた羽根が何かにぶつかる衝撃があって、体をグイッと抱き起こされるのと同時に一瞬にして痛みは嘘のように消え去った。
まるで悪い夢を見ていたのかと錯覚するほどに、あれほど辛かった痛みを一切感じなくなったのだ。体はとても優しい温もりに包まれていて、背中に添えられている手が心地よささえ与えてくれる。
暴れていた体は大人しくなり、羽根も静かに閉じる。すぐに正常に頭が働くようになり、自分を抱きしめてくれているのが天使だと気づいた。羽根で強く打ち付けてしまったのも、相手の体だ。怪我をさせてしまったかもしれない。
肩に雫が落ちて、相手が泣いているのだと理解すると腕を伸ばして相手の背中に回し、すがるように相手の首もとに顔を埋めた。
痛みをおさめてくれたことに対するお礼でも、相手を安心させる言葉でもなく、絞りだすように一番最初に口を突いて出たのは「自分のそばからいなくならないでほしい」という正直な思いだった。)
___レイ。……どこにも行くなよ。
俺のそばから離れないでくれ。お前に置いていかれるのは耐えられない…。
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