Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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………。
( 此方の怒りを他所に、優しく微笑む後輩の顔を見ればなんだか力が抜け、胸倉を掴んでいたその手を離す。
後輩からの言葉をぼんやりと聞けば、尚も苦しみ唸る相手の方に目をやり、拭われたそばからまた涙を一筋流した。動揺で未だ息は上がったまま、痛みに苦しむ相手を見たくなくて手を引かれたまま更に後ろへと下がっていく。
彼が何故報いを受けなければならないのか…自分が彼と親しくありたいと望み傍にいたせいで、後輩は怒り彼に力を使ったのでは無いのか。_全て、自分自身が彼を傷付けているのではないのか…。本当に、傍に居ることを望むべきなのだろうか。
思考が揺らぎ、考えがまとまらなかったが、「僕のせいだ」と言う結論に行き着くまでは早かった。
自分がいて彼が苦しむことになるのなら、このまま潔くいなくなったほうがいいのだと、後輩に促されるがままに一度は背を向けた。
…それでも、肩を組み笑いあっている彼の姿が脳裏から離れなかったのだ。)
…アル。ごめん。
僕はとても身勝手だ…。
_あと少しだけ、耐えてくれよ。
( 小さく謝罪の言葉を口にすれば、その刹那、繋がれていた後輩の手を払い駆け出した。後輩によってかけられた力ならば、自分の力で解くことができる。今この時、相手がどれほど苦痛を強いられるか定かではないし、もしかすると相手は自分と親しくしたことを悔やんでいて、これからも拒まれ続けるかもしれない。それでも、駆け寄りたいと望んでしまった。
涙を流しながら全速力で駆ければ、暴れる相手の羽もものともせず苦しむ身体をただ強く抱き寄せた。)
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