Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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「 …っどうして分かってくれないんですか。
先輩のような天使を地上に縛り付けて、あんな奴制裁が下って当然でしょう! 」
(いつも優しい微笑みを浮かべてくれるはずの相手は少し怒ったような悲しいような表情を浮かべている、それもあの悪魔のために。冷たく手を振り払われたことにショックを隠しきれず、席を立つ相手を見上げた。
自分がやったことが間違っているはずがない。穢らわしい悪魔が二度と先輩に近づかないようにしただけだ。それだけの制裁が下っても仕方のないことをしたのはあの悪魔なのに、相手は彼の元へ向かおうとしている。
でもきっと、悪魔は相手がそばにいる痛みに耐えられないだろう。悪魔が本性を見せて相手を拒絶すれば、きっと先輩だって目が覚めて自分の元に戻ってきてくれるはずだと信じていた。)
(___一方の悪魔は、家に戻ったもののベッドから動けずにいた。理由は明確で、相手のことを想わないなど不可能だったからだ。それもあの最悪な天使が相手の元に向かったと分かっているのに。
うつ伏せになり羽根を大きく広げてはいたが、天使の力で誘発されている痛みだからか楽になることはない。
羽根が引きちぎられるような惨めな痛みを背中に感じるたびに、天使でも悪魔でも関係なく君が好きだと、優しく笑ってくれた相手の姿が浮かぶものだから一向に痛みは治らない。
天使を想う、ということが痛みに変わることで初めて自分がこれほど相手のことを考えている時間が長いのだと実感して、思わず痛みの中でも1人笑ってしまう。
相手は天界に戻ったりしないと思いながらも、もし自分を置いて地上を去ってしまったらと、わずかな不安を抱えるのだった。)
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