Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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「 ___そんなはずない。
あなたは天界でもっと上位の天使になって、多くの天使たちを導く存在になるべきです。」
(人間はおもしろいと穏やかに語る相手を見つめて頷いたものの、思いがけず自分が切り出したかった話が持ち出されて息を飲む。
しかし相手から語られたのは自分の理想とは違うもので、その上アイスコーヒーの水面に視線を落として柔らかな表情を浮かべていることに嫉妬心が湧き出すような気がした。
相手をそんな顔にさせているのがもしあの低俗な悪魔なら、そんな恐ろしいことはない。相手がこのまま地上にいる方がいいだなんて、そんなことあるわけがないのに。
首を振って相手の言葉を否定すると、相手の目を見つめたまま身を乗り出して強い口調で言った。)
「 レイモンドさん、俺と一緒に上に戻りましょう。
あなたは地上に留まっていて良い人じゃない、派遣する天使はいくらでもいます。」
(身を乗り出したまま、一緒に天界に帰って欲しいと伝えるとグラスに添えられていた手を取った。
地上の視察や人間たちへの導きは、わざわざ相手のような力のある天使がするべきことじゃない。代わりに地上に派遣する天使はいくらでもいるし、相手が天界に戻れば地上での働きも加味されて確実に上位の天使に出世できる。この前の出世の話の時よりもさらに良い地位に就ける。それでいいじゃないか。)
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