Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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…え?あぁ。
飲み物については疎かったけどね。
最近は珈琲もたまに飲むようになったよ。
( 相手が残り数日いると分かれば、今度はどこを案内して回ろうかなんて考える。すると、運ばれてきたアイスコーヒーを受け取りながら後輩の問いに少し照れたように笑いながら答える。
確かに、昔から紅茶ばかりを飲んでいた。甘味以外の嗜好品にはさほど知識はなく、なんとなく気にいっていた紅茶ばかり飲んでいたが、目の前に珈琲ばかり飲む相手ができたもので、その嗜好が少し移っていたのかもしれない。
「相変わらずよく見ているなぁ」なんて相手に笑いかけながらシロップを加えて一口ストローに口をつけ、そのまま相手の問に対する返答を続けた。)
…とても、楽しいよ。
人間は複雑で面白いんだ。
そういえば、僕が出世の道を断った時、君は怒っていたね。
でも、やっぱり僕は今の地位で地上にいる方が合ってるよ。
( 元々観察が好きな自分にとって、地上で人間と関わりながら過ごす日々は毎日が新鮮で素敵なものだ。それに、人々を導くのは難しい事だが、誇りとやり甲斐にも満ちている。
何より、相手と過ごす地上での生活が好きだ。目前にいる後輩にはそんなこと言えはしないが、奇跡的にもウマが合って一緒に居ることが今では心地よい。
地上へやってくるより前のはるか昔を思い出せば、地位の向上を断って視察メインとなる今の仕事に落ち着いた。その選択が間違っていたとは思わないし、寧ろこれでよかった。
視線を落とし、グラスの中で小さく揺らめく黒い水面を眺めれば、無意識にも優しく微笑みを浮かべて)
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