Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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「 …簡単な話さ
お前は今後、レイモンドさんの名を呼ぶことも、焦がれることも、近づくことも許されない。
そして、俺が彼を連れて行く。
こんな低俗が住み着く街にこれ以上居させられないからね。」
( 彼の名を呼ぶ度、想う度、その痛みは再発し、近づけば近づくほどその強さを増していく。そして身体を、精神を蝕む。近づくなと単純に言ったところでこの悪魔が聞くはずもなく、それならば肉体的にもおいやればいいのだと、なんとも天使らしからぬ横暴である。それも全て、愛しい先輩を自分の元へと返す為。
力を解除するには意図的に天使から触れられなければいけないが、実質あの2人が近づくことは出来ないだろうし、自分も解除する気は毛頭ない。)
「 心配しなくても、離れていれば痛みは伴わない。
俺が先輩を連れていけばその力も有って無いようなものさ。
…そのまま、レイモンドさんの事を忘れてしまえばいい。
良かったな。
今まで通り自堕落に生きてろよ。」
( これで解決、と言わんばかりに明るく言えば徐に立ち上がり、一度相手を見下ろし不敵な笑みを向けると、それ以上相手には目もくれずそのまま店の外へと出ていく。憎らしいもので、料金だけは相手の分もしっかりと払って行ったようだ。店の外でぶつかりそうになった人間に対する物腰と眼差しが、先程とは別人のようでなんとも不気味に思うだろう。そしてこれから、先輩の元へと向かうのだろうか。
_一方此方には、街の中心街から少し離れた場所でいつものようにベンチに腰掛け、人間観察に勤しんでいる天使が1人。不意な風に肩を震わせて巻いていたマフラーを鼻辺りまで持ち上げれば、ふと視線を空に向け小さく息を吐いた。)
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