Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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(地上で過ごしている時間はほとんど変わらないはずなのに、相手は自分と比べても随分街のことを知っているようだった。
天使の案内で向かった公園、博物館、服屋___ある高級宝飾品店の前では2人して力を使い、どういうわけか恋人に宝石をねだる女性が多発して、どういうわけか財布の紐が緩んだ男たちの手持ちをすっからかんにした。
あるカフェではケーキを頬張る2人がおもむろにひと口ずつ交換を始め、自分もムキになって好きでもないケーキを天使からひと口もらった。
隙を見て悪事を働いてはすぐにバレて怒られ、疲れたと言ってはまだまだと天使に腕を引かれ…そうこうしているうちに日が暮れているのだった。)
……これだけ地上を堪能すれば、さすがに大満足だろ。
もう1世紀は地上に来なくて済むな。ほら帰った帰った。
俺は明日は一歩もベッドから動かないからな。
(朝と同じ場所。納得のいく案内ができたのか満足げな天使と、見るもの全てに大袈裟なほど喜んでいた悪魔、そして丸一日外を歩き回り疲れきったらしいもう一人の悪魔。
1日でここまで街を見て回り楽しんだのだから、さぞかし満足だろうと同僚に言いながらしっかり毒を吐くことも忘れない。この2人のコミュニケーションは昔からいつもこうだ。
帰ったらベッドに潜り込んで明日いっぱいは惰眠を貪るつもりらしい。
帰れとばかりにヒラヒラと手を振ったが、久しぶりに悪魔と、それも馬の合う悪魔と過ごせたのは楽しかったようだ。)
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