Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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( 相手に言われるがまま、受け取ったタオルで髪や身体を拭きつつ、ずぶ濡れの衣類を脱げば相手の服に身を包む。乾いていると言うだけで随分と寒さも軽減され、何よりもほんのりと香る相手の匂いで心が落ち着いたようだった。
そのままゆっくりと部屋の奥へと進めば、申し訳程度に濡れた服は律儀にも洗濯機へ詰め込んだ。
促されるがままにストーブの前に座れば、少し素っ気なくも、相手がとても心配してくれているのが伝わり少しばかり笑みが溢れる。)
…うん、ありがとう。
大丈夫さ、死にはしないし。
僕のお人好しが招いてしまった事だしね。
…ただ、まぁ……久々に、怖かった、かな。
( 体を暖めろという相手の言葉に微笑んで礼を述べると、隣へとしゃがみこみ此方を見つめる相手と目が合った。その顔を見ると昨日の罪悪感を募らせるとともに、安堵の気持ちが込み上げ青い瞳に赤みが混じ、放つ言葉にも段々と震えが混じる。
少しずつではあるが暖まってきているし、思考も大分安定してきた。だが、長年人間を好いて信じてきた身からすれば、今思うと衝撃的な出来事であり、自分の浅はかさを知り現実を突き付けられたような気分だ。人間にはあんな世界もあるのだと百も承知だったはずなのに、情けなくも昨晩のことを思い出すと辛さが込み上げる。)
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