学長 2021-09-15 19:18:57 |
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……ヴェクサシオンだ。
(上の空だった意識も、指鳴らしで引き戻される。目の前のカミルの心配を純度100パーセントのものと信用できる程、自分は良い人間ではない。だから、何ヘラヘラしてんだ、とでも言いたげな不満げな表情で、カミルの片手の傘をやや強引に手に取った。”さっき死にかけた” 数秒経つごとに、その事実が頭の中に浸透してくる。降り注ぐ大雨粒が髪に浸透してくるように。
あの爆発は防御系統の魔法なしでは、無事では済まない。少なくとも手足が容易くもげていなくちゃ納得いかない。そうである以上、なぜ、自分は無事なのか。カミルは魔法式の対象外だったためと説明付けた。コイツは実践魔法に関して雑魚。当てにならない意見だ。)
俺は、たしかに爆心の真っ只中で被爆したんだ。それは何より自分の肉体が一番覚えている。…だがクソ、分からない。
(傘を差して寮へ歩き始めた頃、やっと手が震えているのに気づいた。それは、爆発に巻き込まれた肉体が死の恐怖を記憶している証拠だった。記憶、そういえば、死を確信したあの時、自分はチート魔法を望んでいた。ハッ …まさか、まさか )
……俺は…魔法式なしで、魔法を使える。 あ、そうだ、そうに違いない。でなきゃ、割に合わないもんなァ…。願うだけで実現する力を持つ、俺はチーターだ!…ふふ、ふはははははは!!白銀の学徒、俺の闇の力が見えるか…?見えるのか?なぁ!
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