トピ主 2021-09-01 18:06:46 |
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デュース:ええ!?
トレイ:マレウス!
ルーク:オーララ! ロア・ドゥ・ドラゴン!
モブ:ええーーーー!?
麗奈:マレウス様!?
マレウス)ああ、持ち帰れる菓子は無いか?出来れば、ケーキやシュークリームといった物の方が、喜ぶと思うんだ。
マレウスは、キルティに見舞いの品を探していた。ミステリーショップで買ってもいいが、トレイのケーキが美味しいことはこの学園の者なら、知らない者はいない。更に、クッキーやチョコといった菓子よりはケーキなどの少し特別感のある菓子のほうがキルティも喜ぶとマレウスは思ったのだ。なので、真っ先にトレイ達がいるサイエンス部へと向かったのだ。
マレウス)クローバーの菓子は皆好きだからな。また、改めて礼をさせてもらう。見舞いの品もこんなにくれて、助かる。
マレウスはフッと笑った。
エース)キルティ先輩、体調崩したって聞きましたけど、大丈夫なんですか?
エースは、疑問に思ったことを言った。
マレウス)確かに、体調を崩したと言うよりは、寝てなかったの方が正しいな。
エース)どういうことですか?
マレウス)キルティは昨晩一睡もしてなかったようだ。お陰で、朝からフラフラ、顔は青白く、目の下にクマが出来て、寝不足では考えられない状態だったのだ。
マレウス)本人は寝不足としか言わなくてな。聞いてもはぐらかされる。
マレウスは、ため息をついた。
マレウス)リリアも、あのままでは本当に倒れると言っていた。だから、今朝少々手荒ではあったが休ませたんだ。
マレウスは、軽く腕を組んだ。
マレウス)分かった、伝えておく。
マレウスは、ルークにそう言い、クローバーから箱を受け取ると
マレウス)それじゃあ、邪魔したな。
そう言って、サイエンス部を後にした。
デュース:お疲れ様でした
トレイ:麗奈、これは俺とルークからだ(サプライズで上に蝶々のチョコが乗った6つのチョコムースが入った箱を渡し)
麗奈:え!? か、かわいいです!!
エース)すげー!この蝶の模様細かい!茶色なのに地味に見えねぇ。芸術みたいだ。
エースはチョコレートの蝶を見て言った。そして
エース)そうだ!麗奈、ちょっとこのケーキの写真撮らせて。
エースは、そう言ってスマホを取り出した。
エースは、蝶がしっかり見えるように、写真を撮った。そして、ニヤリと笑うと
エース)どんな反応するかなぁ?
と、言いながらある人に写真を送った。ジャミルだ。虫全般苦手なジャミルに(チョコレートの)蝶が乗ったケーキを見せたら、どうなるか気になったのだ。
エース)まぁ、ケーキだから、普通に感想言いそうだけど、先輩、虫にはマジで敏感だからなぁ。
エースは、ヴィランな笑顔で反応を待っていた。
エース)ちょっと面白そうなことが起こりそうなんだよなぁ。
エースは、ニヤニヤしていた。
その頃、エース不在のバスケ部は休憩時間に入った所だった。エースは、部員に急な寮の用事が出来たと言いくるめ、部活を休んでいた。休憩中、部員の一人が
モブ)ジャミル先輩、スマホ光ってますよ。誰かから、連絡来たんじゃないですか?
ジャミルのスマホに通知が来ていることに気づいた。エースのチョコレートの蝶の写真が届いたのだ。この写真がジャミルに地獄を見せる。
モブ)これ、チョコレートですよね。俺、知ってるんですけど、こういうチョコ、モールドチョコレート言うらしいですよ。型にチョコを流し込んで、固めるとその型通りのチョコが出来るんです。
モブも写真を見て言った。
エース)ジャミル先輩、どんな反応したかな?
エースは、笑いながらムースを食べた。
エース)チェリーパイも好きだけど、これも好きだなぁ。
エースは幸せそうにした。そして、休憩していたモブがチョコムースを見て
モブ)うわっ!美味そうだけど、飾りのクオリティ高すぎて逆に食べるの勿体ねぇ!
と、驚いていた。
モブ)えっ!先輩、蝶を別のもので再現するんですか?
モブは驚きながら聞いた。
エース)つってもなぁ、男子のノリってこんなもんだぜ。な?デュース。
エースは、デュースに言った。
ジャミル:(鳥、思いきって白鳥を考えたが)…難しいな、誰かに伝授するか? いや、動画サイトで犬や猫とか、作り方があるはずだ(ぶつぶつ)
デュース:え!? 僕はエースほどじゃない(小声)
モブ)(あの虫嫌いの寮長が蝶を作るなんて・・・)
モブはただ驚くことしか出来なかった。
エース)そうか?俺と同じようなもんだと思うけどな。
麗奈:あ、そうだわ。このアフタヌーンティーをモストロ・ラウンジでもやればいいんじゃないかな?(海をテーマにしたり、その月限定のテーマにしたりなどすれば売り上げが伸びたり、話題を呼ぶかもと考え)
麗奈:いろいろ提案したから、最終的にそうなっちゃったのかも
ルーク:次はいつ、麗奈くんが活躍してくれるのかな?
麗奈:マレウス様の許可次第、ですね
エース)あ~、根詰めすぎて、暫くバイト休むように言われたんだってな。セベクから聞いたぜ。
エースは、思い出したように言った。
エース)麗奈の頑張り屋な所はいいとこだけど、体の許容量考えて動かねぇと同じことを繰り返すだけだぞ。
エースはニヤッと笑って言ったが、これは彼なりに心配しているのだ。
デュース:そうだ。僕も心配したぞ
トレイ:麗奈がいないと店が盛り上がらないとか言ってるやつもいるけどな、アズールたちなら大丈夫だ
麗奈:メニューの提案はしているんですけどね
ルーク:それだけでも十分だと思うけどね
エース)俺、麗奈の考えたジュースとパフェ好きだぜ。よく考えたよな。実際に作ったのか?作んねぇとああいうの思いつかねぇと思うんだけど。
エースは、プチシューを食べながら言った。
麗奈:実際に作ったのはジェイド先輩や他の寮生なの
ルーク:麗奈くんのアイデアを採用してくれるアズールくんの器量の大きさには感謝だね
エース)麗奈に甘いのか、あるいは麗奈に才能があるかだな。
エースは、クスクス笑った。そして、スマホを見る。
エース)ジャミル先輩、何も反応ねぇな。もしかして、気絶してんのか?
エース)おっ!反応来た。って、どこにいるかって・・・ん~、あっ!そうだ。、今日キルティ先輩休みだから、麗奈を守れるように一緒にサイエンス部にいますっと。
エースは最もらしいわけを書いて、ジャミルに返信した。
ジャック)デュース、来ねぇな。
その頃、ジャックもデュースが来ないことを不審に思い、連絡した。
ジャック)デュース、部活の開始時間、とっくに過ぎてるぞ。これで連絡くるよな。
ジャックはそう言って、送信した。
ジャミル:サイエンス部? 珍しいな。どうせ、ちゃっかり何かもらってるんだろう?(返信)
デュース:あ、ジャックからだ。実は今日はルーク先輩に誘われてサイエンス部に来ているんだ(こちらは正直に)
エース)お茶会に参加してます。
エースは、そこは素直に返信した。
ジャック)珍しいな。部活は来るのか?送信っと。
ジャックは驚きながらも、返事を返した。
ジャミル:やっぱり。ちなみに聞くが、ハーツラビュルのお茶会と比べると、地味か?(返信)
デュース:食い終わったら行く。ルーク先輩とトレイ先輩、すっげぇうまいものいっぱい作ってくれて活力が漲ってる(返信)
エース)う~ん、ケーキとかはいっぱい出てこないんで、豪華さは違いますね。でも、楽しいですよ。それに、ここなら一口目にタルトを食べても何も言われないし。
エースはニヤニヤ笑いながらジャミルに返信した。
ジャック)そうか、じゃあ待ってるぞ。
ジャックはそう返し、再び走り始めた。
エース)確かにアフタヌーンティーです。あと一口サイズじゃなくて、一口目です。俺の所は、タルトの一口目は女王って決まってるんで。
エースは、楽しそうに返事を返していた。
ジャミル:(なるほど、アフタヌーンティーか。今、マジカメでも女性に大人気だとか映えるとかか…だが、女性のイメージが強いんだな、これが)
エース)じゃあ、こういうのって玉にするんですね。
エースは、様子を動画にとってジャミルに送った。その動画には、少しだが虫が映ってる所もあった。
エース)さっきはチョコだったけど、本物だったら、発狂するだろ。
エースはニヤニヤしながら、アフタヌーンティーの風景と書いて、映像を添付した。
エース)初めて見た時、「むっ!」って言って仰け反ってたからなぁ。
エースは、思い出しながら言った。そして、ジャミルの返信をワクワクしながら待っていた。
エース)気絶して、暫く来なかったりして・・・
エースはニヤニヤしていた。
エース)ちょっ!
エースはかなり焦っていた。
エース)ジャミル先輩、寮長に話してないよな?
エースは、ジャミルから返事が来てるか確認した。幸い、あの映像を添付したメールの返信はまだ来ていない。
エース)ありがとうございます。
エースはホッとした。そして、デュースが出ていったのを見て
エース)真面目だよなぁ。じゃあ、ここからは、俺が麗奈を守るからな。
エースは、麗奈に笑って言った。
エース)良かったなぁ、麗奈。
エースは、笑いながら言った。
その頃、セベクはミステリーショップで飲み物を買っていた。
セベク)キルティ様の好みの飲み物が残っていて良かった。
セベクは買った飲み物を見ながら言った。
エース)トレイ先輩、麗奈に何の魔法掛けたんですか?
エースはこっそり聞いた。
セベク)リリア様、お疲れ様です。はい、先程終わりました。
エース)俺は麗奈とデュースと出かけた時に、デュースとDUO魔法で麗奈のブレスレットにこっそり魔法掛けましたよ。
エースは、悪い顔で言った。
セベク)リリア様、あまり海の生物はやめておきませんか?キルティ様は、海を怖がってるんですよ。
セベクはそう言いながらも、チラッとぬいぐるみを見た。ペンギンやイルカといった可愛いぬいぐるみも売っている。そして、セベクはキルティがそれを嬉しそうに抱き締めている姿を想像してしまった。
セベク)サメより、こっちの可愛いぬいぐるみの方がまだ大丈夫かもしれませんし、こっちにしませんか?
セベクは、イルカとペンギンのぬいぐるみをリリアに見せた。
エース)本人には気づかれない魔法も付与したので、心配ないですよ。そのあたりは出かける前にデュースとめちゃくちゃ確認したので。失敗してません。
エースは、ニヤッと笑った。
セベク)キルティ様は、可愛いものが好きですし、人形作りが趣味です。たまには買ったぬいぐるみもと思っただけです。ただ、サメはちょっと・・・リリア様が選んだ物を悪くは言いたくないですが、このサメ、目がちょっと怖いですよ。
セベクの言う通り、サメの目はギラついており、今にも獲物に噛み付こうとしているように見える。キルティは前に水槽に引きずり込まれた事もあり、あれからかなり経つが、バイト中、あまり水槽にも近づいていないのだ。未だに恐怖が残っており、癒えていないのだ。
ルーク:トレイくん、終わったよ
トレイ:じゃあ解散だ
麗奈:お疲れ様でした
リリア:ふむ、言われてみれば…これは過激じゃったの。このフレグランスもいい香りじゃ(レモンの香り)
エース)またな、麗奈。
エースは手を振った。
セベク)いいかもしれません。それにしましょう。僕はイルカとペンギンのぬいぐるみ買います。
マレウス)お帰り。
マレウスは、麗奈に微笑んだ。しかし、その微笑みはとても妖艶で見惚れるほど美しかった。マレウスは早くに帰り、既に寮服にも着替えて玉座に座ってゆっくりしていた。
セベク)はい!
セベクは、ぬいぐるみを渡すと、入り口で待った。
マレウス)お疲れ様。皆揃ったら、キルティを起こしに行こう。
マレウスは、麗奈にそう言った。
セベク)はい!
セベクは、そう言ってリリアと寮へ向かった。
セベク)ただいま戻りました。
セベクも笑顔で戻ってきた。
マレウス)お帰り、あとはシルバーだけだな。
セベク)シルバーなら、リドル先輩と片付けをしてから帰ると言っていたので、そろそろ帰ってくると思います。
マレウス)シルバーも戻ったな。全員寮服に着替えてから、キルティを起こしに行こう。
マレウスはそう言った。
セベク)分かりました。直ぐに着替えてきます。
セベクは、急いで部屋へと戻っていった。
セベク)若様、お待たせしました。
セベクもやって来た。
マレウス)来たな、行こう。
マレウスは、4人を連れてキルティの部屋に向かった。
その頃、キルティは
キルティ)すー
静かに眠っていた。今朝よりかは顔色は少しだけ良くなっている。本来なら、もう少し良くなるのだが、昼間にあれだけ暴れれば、回復が遅れてもおかしくはない。
マレウス)寝てるが疲れた顔をしているな。昼間のことが関係してるのだろう。
マレウスはキルティの様子を見ながら言った。
セベク)ここまで眠っていると言うことは、昨夜、一睡もしてないことが証明されましたね。
マレウス)だが、真実だけは話してくれない。問いただせば、逃げるし、はぐらかす。どうすればいいだろう?キルティは、僕らが何かを聞こうとしていると分かっている。なら他の者のユニーク魔法で話させようとすれば、必ず構える。こういう時のキルティは全く隙がないから、追い詰めて、魔法をかけることも出来ない。
マレウス)いや、確実に構えるだろう。それに、話したくないことを無理矢理聞き出す真似も僕はしたくない。
セベク)今のところ、方法は、自ら話してくれるのを待つしかありません。
セベクは、キルティの様子を見ながら言った。
マレウス)そうだな。
セベク)これだけでも置いときますか?
セベクはリリアに買ってもらったイルカとペンギンのぬいぐるみを見せた。
セベク)ミステリーショップで見つけてきた。キルティ様は人形やぬいぐるみが好きだからな。可愛い物がたまたま売っていた。
セベクは、イルカとペンギンのぬいぐるみを枕元に置いた。
マレウス)キルティ用の菓子は起きたら食わせればいいな。
キルティ)ん・・・?
キルティは、ようやく目を覚まし、起き上がった。
キルティ)私、何して・・・
周りを見ると枕元にイルカとペンギンのぬいぐるみがあった。
キルティ)ぬいぐるみ?買ってないよね。可愛いけど・・・
キルティはイルカとペンギンをギュッと抱き締めた。そしてベッドから出て、部屋を出るときに周りを見た。
キルティ)何も起こらないよね?
キルティは昼間のことが、少しトラウマになったようだ。
キルティ)喉乾いたし、お腹もすいた。何か食べる物と飲み物・・・
キルティは、疲れが未だに取れておらず、少しフラフラしていた。
その頃、談話室では
マレウス)今日、アーシェングロットに会ったものはいるか?
マレウスは、リリア達に聞いた。
セベク)僕は会っていません。
マレウス)僕も会わなかったとなると、マズイな。
マレウスは、そう言った。すると、寮の外から大人数の足音が聞こえた。
マレウス)やはり来たか。
マレウスは、ため息をついた。そして、扉を乱暴に開けられると怒りをあらわにした、他寮の者がいた。オクタヴィネル寮の者達だ。アズールも不満そうな顔をしている。
アズール)マレウスさん、今直ぐにお会いしたい方がいます。
マレウス)おや、誰だ。
その時、談話室の部屋の扉が開き、キルティが入ってきた。
キルティ)あ、皆帰って来てたんだ。
アズール)キルティさん・・・!
アズールがそういった途端、オクタヴィネル寮の1人がキルティを壁に叩きつけ、そのまま首を絞め上げた。
キルティ)ぐっ!かはっ!
フロイド:あ、小エビちゃん!(フロイドは気が変わって麗奈に近づき)
リリア:フロイド、いかんぞ
シルバー:キルティ様!?(モブを引き剥がし)
麗奈:うわー! なんかカオス!?
モブ)お前!約束すっぽかしただろ!俺等、モストロ・ラウンジの開店時間、ギリギリまで待ってたんだぞ。
モブはキルティの首を絞めながら言った。キルティは、手をどけようとしたが、寝起きで、体力もそこまで回復していないキルティには、そこまでの力は出なかった。
キルティ)あぐっ!
モブ)おら!言い訳あんのか?言ってみろよ!
モブは、更に首を絞めた。
キルティ)いぎっ!ガハッ!ヴぇぇ・・・(今日、呼吸しにくくなるの、何回目)←3回目
キルティは、苦しそうに呻き声を出していた。
シルバー:おいやめろ! キルティ様はまだ病み上がりだ!(モブの顔を掴んで引き剥がし)
ジェイド:みなさん、落ち着いて!
フロイド:小エビちゃ~ん、バイトに来て~
麗奈:近いうちに行きますからっ
モブ)おいっ!離せ!
ドサッ
キルティ)ゲホゲホッ!
キルティは、首を開放されて咳き込んだ。
アズール)全員、静かにしてください!
アズールがそう言うと、辺りがしんと静まり返った。そして、アズールはキルティに近づき
アズール)キルティさん、今日どうしてローラーブレードの講師をしなかったのか、教えてください。
キルティ)えっと・・・昨日、夜更・・・ハァハァ・・・かし・・・しちゃ・・・って・・・寝不・・・ハァハァ・・・足・・・
キルティは、さっき首を絞められたことがかなりダメージになったようで、アズールはあまり聞き取れなかった。
アズール)すみません、別の人に聞きます。
アズールはそう言って、シルバーを見た。
アズール)シルバーさん、キルティさんが病み上がりとはどういうことでしょう?
シルバー:キルティ様は疲労が溜まっていて、今日は休ませたんだ。伝えるのを忘れて悪かった
ジェイド:おや、キルティさんは今日はおやすみでしたか
マレウス)朝から顔色も悪く、足元も覚束なかったからな。クマもあった。皆に、アズールに会ったら、今日はキルティが講師が出来ないことを伝えるよう言ったのだが、運悪く皆会わなかったのか。
マレウスは、少し目を伏せた。すると、キルティは少しずつ呼吸が整い、マレウスにこう言った。
キルティ)だからって、朝も昼もあんな止め方普通しますか?朝は、魔法の掛かったキャンディ無理矢理食べさせて、昼間は気絶するまで締め上げられて・・・下手したら骨折れてますよ。無茶苦茶痛かったんですから。
キルティ)護衛じゃない、側近だ。
キルティはきっぱりと言った。するとアズールは
アズール)事情は分かりました。今回はキルティさんに非はありません。今後は僕から聞くようにします。なので、キルティさんも自分を責めないでください。
キルティ)ありがとう。ちなみにこれ、渡しておくよ。
キルティは、同じタイトルの本を数冊アズールに渡した。
アズール)これは・・・?
キルティ)1人でも出来るローラーブレードの乗りこなし方が書いてある。今日動くのが厳しかったら、ここに書いてあること教えようと思ってたから。私だって不測の事態にちゃんと備えてるんだから。これも同じく1週間書いてあること練習すれば、人並みに乗りこなせると思うよ。運動神経の良さも、関係すると思うけどね。フロイドみたいにさ。
キルティはフロイドを見ながら言った。
キルティ)私から見ても、フロイドはとても筋が良かった。彼なら、5日・・・いや、3日で出来るかもね。
キルティは笑った。
アズール)確かに、あいつなら可能かもしれない。
フロイド:えへへ、頑張るね~
麗奈:そうだわ、アズール先輩。これを渡しておきます(レシピの資料)
ジェイド:おや、これは…海をテーマにしたアフタヌーンティーじゃないですか?
フロイド:こっちはハートにトランプ、ハーツラビュルみたいだね
アズール)わざわざ考えてくださってありがとうございます。次のバイトの給料は弾ませていただきますね。これはデザートのメニューに採用しましょう。ジェイド、フロイド、帰ったら早速材料を発注しますよ。では、失礼します。
アズールは、全員を連れて、ディアソムニア寮を後にした。キルティは、
キルティ)散々な目にあったわ。
と言って、立ち上がった。
マレウス)キルティ、トレイからケーキをもらった。食べるか?
キルティ)はい、是非。
マレウス)分かった。シルバー、セベク、お茶の準備を頼む。
セベク)はい、若様。
フロイド:小エビちゃん、ありがとうね~
ジェイド:キルティさんも、ゆっくりお休みください。では
シルバー:はい(ケーキを準備して)
セベク)紅茶の準備が出来ました。
セベクが紅茶のセットを台に乗せて持ってきた。
キルティ)色々あるね。
マレウス)クローバーに頼んだら、いくつかくれたのだ。キルティはこういうのが好きだろう?
マレウス)ミステリーショップで買うよりはトレイの菓子のほうが喜ぶと喜ぶと思ったからな。
マレウスは、チーズケーキを手に取ると、フォークで切ると、刺してキルティに
マレウス)ほら、食べさせてやるから、口を開けろ。
と、優しくも妖艶な瞳でキルティを見つめた。キルティは思わず見惚れそうになったが、言われた通り、口を開けた。そして、チーズケーキを食べる。
キルティ)美味しいです。
マレウス)そうか、まぁ、無理矢理キャンデイを食べさせるように、シルバーに指示したのも、体の力が抜けるよう、魔法を掛けたのも、寮から出ないよう影を用意したのも、この僕だからな。お詫びと思ってくれ。
キルティ)笑顔で言うと、全く悪いと思ってないように見えるんですが・・・?本当に申し訳ないと思ってます?
マレウス)いや、全く。
マレウスは、ちっとも悪びれもせず言った。
キルティ)ま、まぁ、(大半、暴れたせいで)疲れてるので、食べさせてもらえるのはありがたいので、いただきます。
キルティはそう言って、マレウスにケーキを食べさせてもらった。
キルティ)ありがとう、シルバー。明日は行く気でいるから、心配しないで。
キルティは、笑った。しかし、マレウスが
マレウス)明日も今日みたいに顔色が悪く、フラついて、足元が覚束なかったら、問答無用で休ませるからな。
マレウスは、不敵に笑った。
キルティ)は、はい・・・
キルティは、そう言って、食べさせてもらっていた。
キルティ)あんな乱暴しないなら、私だって大人しく寮で休みますよ。
キルティは、ため息をついて言った。しかし
マレウス)今朝、はぐらかして無理に学校に言ったのはどの寮生だろうなぁ?
と言うと
キルティ)えっと・・・誰でしたっけ?
キルティは目をそらした。するとマレウスがものすごい形相でキルティを見た。
マレウス)僕に嘘が通用すると思ってるのか?
その顔に、思わずそこにいたセベク達は息を飲んだ。
キルティ)うおっ!
マレウス)安心しろ、側近のしつけだ。
マレウスは笑った。マレウスが本気で怒った場合は、遠くで雷がゴロゴロなったり落ちたりする。現在空は何ともない。綺麗な星空だ。
マレウス)キルティは、まだ食べたいか?
キルティ)いえ、残りはまた明日食べます。なので、大丈夫です。
キルティは笑った。マレウスはキルティの顔色を見て
マレウス)確かに、朝よりかは良くなっているな。
と言った。そして
マレウス)僕達も部屋に戻ろう。
マレウスはそう言って、談話室を後にし、キルティもそれに続いた。
セベク)おやすみなさい。
マレウス)皆、おやすみ。
キルティ)おやすみなさい。
全員、部屋に戻った。
キルティ)今日も外に出たいけど、マレウス様が、既に魔法を解いているとも思えない。今日は大人しく寝るか。
キルティは、溜息をついてベッドに入ると、直ぐに眠りについた。
マレウス)心配するな。僕だってマスターシェフをしている。それに、キルティから、1番美味しいココアの淹れ方を教わったんだ。今まで、教えてくれなかったのだが、突然教えると言い出してな。メモも、ちゃんとあるから心配するな。
マレウスは麗奈の手を引きながら言った。
マレウスは麗奈を連れて、厨房に向かった。そして、キルティのココアのレシピを見ると、殆どは魔法で済ませ、簡単な所だけ手を使った。そして、麗奈に手渡す。
マレウス)火傷しなかっただろう?
マレウスは、得意気に言った。
マレウス)キルティの両親が考えたココアだからな。眠れない日はこれを飲むらしい。
マレウスも一口飲んだ。
マレウス)優しい味だ。
マレウス)眠くなってきたか。少し待っててくれるか?
マレウスは麗奈からマグカップを受け取ると、直ぐに洗い片付けた。そして
マレウス)人の子、僕を見てくれるか?
マレウスは麗奈を抱きかかえ、自分の部屋に連れて行った。そして、ベッドに寝かせる。頭を撫でながら
マレウス)人の子、必ずお前を僕の姫にする。ずっと僕だけの物だ。
マレウスは、そう言って自分も寝巻きに着替えるとベッドに潜り
マレウス)おやすみ、人の子。
と、優しく麗奈に言い、目を閉じた。
マレウス)昨日、僕とココアを飲んだろう?洗っている間に椅子に座って、バランスを上手く保って寝ていたぞ。思わず器用だなと言ってしまったくらいだ。(嘘)
マレウスは、フッと笑った。
マレウス)ああ、また後で。
マレウスは、そう言って魔法で扉を開けた。
その頃セベクは、既に支度を済ませ、シルバーを起こしに行くところだった。
セベク)全く目覚ましぐらいかけたらどうなんだ。
セベクはそう言いながらシルバーの部屋のドアをノックした。
セベク)シルバー、朝だぞ!
同時刻、キルティは
キルティ)う~・・・
まだ疲れが残っていて、中々起きれずにいた。
キルティ)(今日こそは、学校行かないと。でも、ここにいても、呼びに来るし・・・全て魔法で済ませて、外に出よう)
キルティは身支度を魔法で済ませ、そのまま移動魔法を使い、学校の中庭に着いた。
キルティ)よし、教室向かおうっと。
キルティは少しフラついていたが、昨日ほどではなかった。
セベク)シルバー?どうした!
セベクは妙な声が聞こえて扉を開けた。そして、シルバーに駆け寄る。
セベク)シルバー、何かあったのか?
セベク)全く貴様は・・・とにかく冷やすぞ。
セベクは、そう言ってシルバーに肩を貸して厨房へ連れていき、氷を袋に入れるとシルバーに渡した。
セベク)これで冷やしておけ。
セベク)貴様を起こしてから、向かう所だった。だが、貴様は今冷やすので手は使えないだろう。僕が朝食を作るから、貴様が若様を起こしに行ってくれ!
中の人)青森で震度4の地震が日中あったんだって、津波も出てたから、地震も起こってると思った。
マレウス)シルバー、今出る。
マレウスは、そう言って部屋を出た。そして、シルバーが氷を頭に充ててるのを見て
マレウス)熱でもあるのか?
と、聞いた。
マレウス)これくらいなら・・・
マレウスは、魔法でシルバーの傷を治した。
マレウス)治ったぞ。
マレウスはシルバーに微笑んだ。
セベク)シルバー、遅いな。まさかまた寝てるんじゃ・・・
マレウス)皆、おはよう。
マレウスは、セベク達に声をかけた。後ろにシルバーもいる。
セベク)若様、おはようございます。シルバー、道中、寝ていないだろうな。
シルバー:そんな器用なことするか。確かにさっきはまだ完全に目が覚めてなくてぶつかったが…
麗奈:おはようございます。アールグレイの紅茶が入ってます
セベク)そう言いながら、前は紅茶を入れながら眠っていたではないか?というか、さっきよりも腫れが引いているように見えるんだが?
セベクはおでこを見て言った。確かに冷やしたが、腫れがすぐに引くとは考えにくいのだ。
マレウス)ありがとう、人の子。キルティは今日も休んでいるのかもしれないな。
その頃
キルティ)何とか抜けられた。マレウス様が朝まで、あの魔法かけてなくて助かったよ。
キルティは、少しフラつきながら温室を歩いていた。
キルティ)(レオナや獣人以外もここで、寝る人結構いるんだよなぁ。私もちょっと眠らせてもらおう)
キルティは人一人寝転がれるスペースを見つけ、そこに横になると、目を閉じ、眠りについた。
マレウス)真夜中の紅茶か・・・いい響きだな。
マレウスがそう言うと、外で鳥が鳴いた。
マレウス)今は朝だが・・・
と、マレウスはフフッと笑った。
マレウス)行く前にキルティに声だけは掛けて行こう。心配させるのは悪いからな。
セベク)そうですね。この様子だと、きっと今日も休むと思います。
マレウス達はそう言っていたが、キルティは既に寮にいない。とっくに学校にいるのだ。今は温室で眠っていた。未だに少し顔色が悪かった。しかし、ぱっと見では分からない。
キルティ)すぅすぅ
マレウス達は、朝食を食べ終え、キルティの部屋に向かった。声を掛けても返事が無いので、部屋の扉を開けると、既にキルティはいなかったのだ。だから、リリアとシルバーは驚いていたのだ。
マレウス)夜中に影を解除したのは間違いだったな。
マレウスも目を伏せて言った。
セベク)キルティ様、最近学校に行くことに必死になっているように見えます。
セベクは、キルティの最近の様子を思い出しながら言った。
セベク)(シルバーの言っていた人間に取り憑いたゴーストが関連しているのかもしれない。だけど、聞こうとすれば、はぐらかす。聞き出すユニーク魔法を使うことが出来る者には、自然体を装いながらも構えるかもしれない。隙をつくことが出来ればいいが、あのキルティ様が隙を作るとも思えない)
セベクは1人で考えを巡らせていた。
マレウス)もう一度、シルバーを向かわせてもいいが、余計に警戒するだろうし、だからと言って、無茶をさせるわけにもいかない・・・
マレウスは方法が思いつかずにいた。
その頃、温室で休んでいるキルティの近くにサバナクロー寮生が現れた。
モブ)あいつ、こんな所で休むなんて珍しい・・・
サバナクロー寮生はキルティを見つけて、少し驚いていた。
モブ)(つか、前から思ってたけど、美形だよなぁ。まつ毛なげーし、肌も綺麗で・・・妖精族って皆そうなのか?)
サバナクロー寮生は、少し見惚れていた。
キルティ)ん~
キルティは、鼻をつかれて嫌だったのか寝返りをうつと同時に顔を背け、そして寝言で
キルティ)エクレア・・・
と、言ってしまった。キルティの昔からの癖だ。寝言が、甘いお菓子ばかりなのだ。
モブ)何言ってんだ、こいつ?
モブは急な寝言に首を傾げた。
キルティ)すぅすぅ
キルティはレオナ達がいる事に全く気付かず眠っている。
モブ)気付きませんね。気配とか感じたら気付きそうなもんなのに。寮長がちょっかい出しても起きませんでしたし。
モブ)こいつ、こんなに寝るやつだったか?あのシルバーってやつの方が寝てるイメージあるんだが・・・
キルティは急に呼吸がしづらくなり
キルティ)ん、うぅ~~~
キルティは少し呻き薄く目を開けるとレオナが目に入った。キルティは驚き
キルティ)へあっ!
と、飛び起きた。
キルティ)レオナ以外も、ここでたまに眠ってる者がいるから、自分も試してみたんだよ。気温なども魔法で調節されてるから、随分寝心地が良かったよ。皆が眠ってしまうのも頷ける。あと、そんな珍しいか?
モブ)いやだって、寝てる所なんてそうそう見ねぇし。
キルティ)お前、妖精が眠らない存在だとでも思ってるの?普通に寝るぞ。
キルティ)心配はいらない。優秀な護衛がそばにいてくれている。
キルティはそう言った。そして、それは当たっている。現在、マレウス達はセベク達と一緒にキルティを探している。先ほどから、セベクの声が聞こえてきて、その声は少しずつ大きくなっているのだ。つまり、近づいてきているということだ。
キルティ)ここにいると、見つかるから、失礼するよ。また、授業のときにね。
キルティはそう言って、その場を走り去った。しかし、まだ少し足は覚束なかった。
モブ)なぁ、あの先輩さ、今足覚束なかったように見えなかったか?
モブ)だよな。寝起きでもあそこまでフラフラしねぇし、不自然っぽかった。
ルチウス:オ゛ア(またな~と尻尾を振ってトレインのところにいき)
デュース:おはよう、麗奈
麗奈:おはよう~。朝からトレイン先生の授業、退屈だね~
キルティは朝から錬金術で、白衣に着替え始めた。
キルティ)今日は、リドルとジェイドのクラスと合同か。
キルティはクラスを見て呟き、安全メガネを 着けると教室に入った。
エース)してもいいけど、補習になるぞ。部活動行けなくなんぞ。
エースは、アドバイスした。しかし、補習が、嫌なのか顔が嫌そうな顔をしていた。
ケイト)おはよー、キルティちゃん。回復したんだね。
キルティ)おはよう、心配かけたね。
キルティはケイトに手を振って言った。
ルチウス:オ゛ア
麗奈:あ、ルチウス、おはよう
トレイン:授業を始める、教科書を開きなさい
イデア:はぁ、朝からバルガス氏の体育育成ツラ…
ケイト)でも、集中してたら、話しかけないでって言って、成功させてるよね。(ゲームでイデアのSRの実験着ボイスがそうだった)
キルティ)確かに、流石は天才だな。
キルティ)相変わらずだなぁ。そんなことしてたら、人の子とオルトが、もっと仲良くなってお前に付き合わなくなるかもしれないよ。
キルティは、ニヤッと笑った。
イデア:キルティ氏、ああいうのは秒殺なの。例え並んだとしても売り切れるのが関の山。だからネット使って秒で手に入れた方が早い
ルチウス:オ゛ア…(早速麗奈の膝にすわって)
麗奈:…(ルチウスが見てるから落書きできない)
キルティ)なるほど。じゃあ、人の子が一緒に外に出かけたいと言った時はどうする?
キルティはニヤニヤしながら聞いた。
エース)(ルチウス、懐いてるんじゃなくて、最近麗奈のサボりが目に余るから、監視してんじゃ・・・)
エースは、ルチウスを見ながら思った。
イデア:代わりにオルトを連れていかせるよ
ルチウス:オ゛アァァ~
麗奈:何? 撫でろって?(顔撫でて)
ルチウス:ゴロゴロ
キルティ)ないと思うけど、人の子がゲームが売ってるところや、ゲームセンターに行こうと言ってきたら?
キルティは、イデアの好きそうな物をチョイスして、質問した。
エース)おかげで、集中出来るからいいけど。
イデア:麗奈がゲーセン? まあ、好きそうではある。拙者もゲーセンは好きだから、麗奈氏が行くなら、全力で
麗奈:(落書きして)
ルチウス:…zzz
キルティ)好きなものなら、外に出るんだな。
キルティは、フッと笑った。
ケイト)まぁ、けーくんもマジカメ映えする所は行くよ。
イデア:そういや、ちまたではアフタヌーンティーが流行ってるみたいだね。その月限定のスイーツやらなんやらで女子ウケ間違いなしとか
ケイト)そういう場所には、トレイ君連れてって、写真撮った後はスイーツ食べて貰ってるよ。俺、甘い物食えないから。
ケイトは、呑気にそう答えた。
キルティ)甘さが控えめなものは食べれるんだっけ?前に、軽音部を見かけた時、普通に菓子を食べてる所を見たんだ。ケイトが甘さ控えめだから、俺でも食べれるーって言ってた。
キルティは、ケイトを少し真似て言った。意外と似ている。
キルティ)なぜ、コスプレしない?あんなにもコレクションを集めているのなら、コスプレの一つや二つ持っていても不思議ではないのに。
キルティ)そうだな。将来魔女みたいな家に住んで、薬品などを作る生活を送りたいと言っていたから、魔女になりたいんじゃないのか?あと、話を逸らしたつもりか?私はイデアに何故コスプレしないのか聞いているんだ。
キルティはきっぱり言った。
キルティ)そうか?・・・
キルティがそう言うと、
ドッカーン
錬金術に失敗したモブ寮生が爆発を起こした。
クルーウェル)バッドボーイ!
クルーウェルは、怒って、生徒の方へ向かった。キルティはその様子を見て
キルティ)これが、ジャミルのドッカーン?(違います)
と、勘違いしていた。
ケイト)イデアくん、キルティちゃん勘違いしてるだけだよ。ほら、ジャミルくんのあの爆発みたいな魔法あるでしょ?それと実験失敗の爆発を間違えてるんだよ。どっかズレてるよね。
キルティは、爆発後の様子を見て
キルティ)ようやく理解出来たよ
と、満足していた。しかし、その理解は間違っている。
ケイト)俺も提出しようっと。
ケイトもレポートを書き終わり、提出しに行った。キルティは当然、すでに終わっている。
キルティ)片付けに入るか。
キルティ)大丈夫だ。落としそうになっても・・・
キルティはそう言って、空になった瓶から手を離した。そして、直ぐに魔法を使うと瓶は中を浮き、
キルティ)こうすれば問題ない。複数であろうとそれは変わらない。
キルティは、そう言って、瓶をテーブルに置いた。
キルティ)さて、昼だが・・・
キルティは、気が進まなかった。食堂に行けば、必ずマレウス達に会うと思ったからだ。
キルティ)(ミステリーショップで買うか。でも、道中や、ミステリーショップで鉢合わせしたくないから、いないのを確認してから買おう・・・)
キルティはそう思い、白衣と安全メガネを外し始めた。
麗奈:はぁ、終わった~
ルチウス:オ゛アァァァァ…(なかなか降りない)
トレイン:ルチウス、帰るよ(麗奈の膝から抱っこして)
デュース:制服、毛だらけだな
エース)トレイン先生、これミステリーショップに売ってるんですか?
エースは、トレインに聞いた。
キルティは、人目を避けてミステリーショップに向かっていた。なので、人通りの少ない道を選んで通った。
キルティ)(この道は、本当に人通りが少ないな。ここを通れば、ミステリーショップに着くぞ)
キルティはそう思い、薄暗い道を通ると、ミステリーショップにすぐ着いた。
キルティ)サムさん、こんにちは。
エース)じゃあ、麓の街行かないと、手に入んねぇんだ。
エースは、ブラシを見ながら言った。
キルティ)今日は、ここで買おうと思ってね。
キルティはそう言って、食べる物を探した。
キルティ)フルーツサンドと、オレンジジュース、あと、小分けのドーナツ1個食べよう。よし、これちょうだい!
ルチウス:…オ゛ア…(腹減った)
トレイン:ああ、すまないね。では、また次の授業で
麗奈:はーい
デュース:麗奈、ノートに落書きしていたな?
麗奈:えー?なんの話?(すっとぼけ)
サム:オーケー(ドーナツやジュースを渡して)
麗奈:し、してた…
デュース:先生に見つかったら怒られるぞ
麗奈:ルチウスで丸め込める
デュース:どうやって? 丸め込むというよりか、買収でもするのか?
サム:気をつけて持っていってね
エース)つか、ルチウスがただで麗奈を助けるか?気に入ってるから、そばにいるだけだし。
エースは、頭を掻いて言った。
キルティ)ありがとう。
キルティは、買った袋を持って、移動魔法で木の上にのった。
キルティ)この木、いい具合に全部隠れるから、存外見つからないんだよね。多分、セベク達は今も探してるだろうし、昼休みはここに隠れさせてもらおう。
キルティは、そう言って昼食を食べ始めた。
その頃、セベク達は
セベク)キルティ様ー、どこにおられますかー!
案の定、キルティを探していた。昼食はジャンボメンチカツサンドにして、少しずつ食べながら探している。マレウスは食堂で食べていたが、いつもなら、ゆっくり食べるがキルティを心配してるのかさっさと食べ終え、こちらも探していた。
マレウス)朝から姿が見えない。
マレウスは、キョロキョロ辺りを探していた。
エース)まぁ、バレなかったら、いいんじゃね。でも、ちゃんと聞いといた方がいいぞ。麗奈は俺らと違って、ここのこと、あまり知らねぇんだし、知っといた方が得だぜ。
エース)いや、移動魔法使ったんだろ。俺らは食堂で食ってようぜ。昼休みなくなったらまずいし。
エースは、麗奈にそう言った。
マレウスはミステリーショップのサムに声をかけた。
マレウス)キルティを見ていないか?
エース)なら、今回はラッキーかな。
エースは、ホッとした。
マレウス)そうか。
マレウスは、そう言ってミステリーショップを後にして、またキルティを探し始めた。その頃、キルティは昼食を食べ終えたが、木の上で身を隠していた。
エース)俺も。
エース達は運動着に着替える為に準備しだした。
マレウス)そろそろ昼休みが終わるな。仕方ない・・・放課後探すか。
マレウスは、1度探すのをやめ、午後の授業に向かった。同時刻セベクもキルティを探していたが、結局見つからず、諦めて授業へと向かった。その様子を木の上から眺めていたキルティは
キルティ)全員行ったっぽいな。私も行くか次は魔法史だったな。
キルティは木から降りて、自分も授業へと向かった。
ケイト)あれ、キルティちゃん。昼休み、いなかったけど、どうしたの?
キルティ)好きな場所で昼食取ってただけだ。
ケイト)そうなの?マレウス君たちが、ずっと探してたよ。
キルティ)そうか。まぁ、隠れてるからな。
キルティは困った顔を浮かべた。
キルティ)ちょっと訳があってね。悪いけど、私がどこにいるか聞かれたら、適当に嘘ついてくれるか?見つかると、強制的に帰らされると思うから。
キルティ)ルチウス、イデア達は駄目で、何で君には大丈夫だと思ったのかな?
キルティは動物言語で、ルチウスにそう言った。そして
キルティ)悪いけど、この事は誰にも言えないんだよ。種族関係なくね。だから、君にも言えないよ。
キルティは、そう言うと魔法で高級ツナ缶を出した。
キルティ)マレウス様達に、私のこと黙っててくれるなら、後でトレインにこれ渡すけど?
キルティは、ルチウスの前でツナ缶をちらつかせて言った。
キルティ)(興味深い話もあるけど・・・ほとんどしてるんだよなぁ)
キルティは授業を聞きながらそう思った。その様子をケイトは横で見て
ケイト)(退屈そうに見えるけど、ノートは綺麗に取ってるんだよね)
ケイトは、キルティのノートを見た。ノートには、黒板に書かれたものを書いているだけじゃなく、大事なところを要約して書いているものもあった。
イデア:ルチウスたん、どうしたの?
ルチウス:…オ゛ア
イデア:え、麗奈氏の匂い残ってんの? よいしょ(イデアの膝に座らせ)
ルチウス:フゴ…
イデア:な、なんか不満そうな声したんだけど
キルティ)私達には全然懐かないもんね。
ケイト)懐くのって、カリム君やシルバー君辺りじゃない?
キルティ)シルバーは、確実だね。カリムは、分からない。
イデア:ルチウスたんは麗奈氏が授業に来ると鳴かなくなったって聞いたけど、あんまり想像できない(だいたい鳴いてるので
ルチウス:…ン゛アァァァ~(不満そう。早く授業が終わってほしい)
キルティはルチウスにツナ缶をちらつかせる。
キルティ)(これで静かになるかは分からんが・・・)
キルティはそう思いながら、ちらつかせた。
キルティ)(静かになった)
キルティは猫缶を置いて、ノートを取った。
ケイト)(急に静かになったなぁ・・・てか初めてじゃない?)
キルティ)終わった~、トレイン、これルチウスに食べさせてあげて。いつも人の子を癒してくれている礼だ。
キルティは、高級ツナ缶をトレインに渡した。缶詰はゴールデンカラーで見ただけで高級だと分かる。
キルティ)さてと、私はこの後行くとこあるから。失礼します。またね。ケイト、イデア。
キルティはトレインに一礼し、ルチウスを撫でながら、2人に言った。
ケイト)またね~、俺も部活行こうっと。
ケイトも、足早に教室を出ていった。
キルティは、こっそりと図書室に入った。そして辺りを見渡す。
キルティ)今のところ、誰もいないね。ディアソムニア生もいない。
キルティは、そう呟きながら、歴史書の前まで言った。やはり、夜中に見た時と同じように、あの男が生きていた年月分の本はなくなったままだ。
キルティ)夜中の怪奇現象ではなかったか。
キルティはため息をついた。
キルティ)(あいつが生まれる前も亡くなった後の本も全て読んでしまった。彼に関することは何一つ書かれていない。やはり、紛失した本に全て書かれているのだろう。でも、どこに行ったのか分からないし、あいつのヒントも少ないから、なかなか探せない)
キルティは、今後、あの男の正体をどうやって突き止めようか考えていた。
エース)そっか、陸上だもんな。頑張れよ。俺は体育館だから、行くわ。麗奈もまたな。
エースは、そう言って、部活に向かった。
その頃、キルティは図書室でも人目につかない所で本を読んでいた。少しでも例の男の事を調べていたのだ。
キルティ)昔から、犯罪を犯す理由は様々だから、絞るのは難しいな。生まれる前に、例の男の家族の事は何一つ書かれてなかったし、亡くなった後も噂にさえなってない。存在していたけれど記録に残さなかったってことか?理由は、恐ろしい存在だったからか、それとも、男の情報が少なくて、記録に残す程の内容がなかったからか?まぁ、恐ろしいから亡くなった後、話すなと言われていれば、こういう事に書くことも無いよね。呪われるかもしれないと思う可能性も無いとは言い切れないし。
キルティは本を閉じた。そして、ため息をつく。
キルティ)やはり、生きていた時の歴史書が無いと話にならないな。
キルティ)根詰めすぎは、体に毒だ。自由な時間や、休みの日はしっかり休んだらどうだ?いくら、何事にもきっちりするポムフィオーレでも、プライベートまで口出しはせんだろう?
キルティは、困った笑顔で言った。
キルティ)1年生には特に厳しく指導しているものな。まぁ、今まで規則正しい生活をしている者達がポムフィオーレに選ばれているというわけでもないし。今まで、しなかったのなら、徹底するからな。美を保つために、彼は絶対に手を抜かないからな。オーバーブロットした後、少し考え方が変わっても、心の奥底では1番美しくありたいという願いは変わらないだろう。私だってそうだよ。考え方は変わったが、今でも、寂しく感じる時がある。
キルティは、そう言って息を吐く。その時、キルティの影が一瞬オーバーブロットした姿に見えた。
キルティ)なる可能性は低いがゼロとは言えない。それに、私たちじゃなくて、他の者がオーバーブロットする可能性だってある。だからこそ、強くないといけないんだよ。身も心も。弱さを見せれば、直ぐに、オーバーブロットした自分に付け込まれる。力では相手の方が上だからね。無差別だから。
キルティ)元気だよ。元気な時は頑張り過ぎて、直ぐ体調崩してしまうけどね。
キルティは困った顔で言った。そして
キルティ)このままでは、本当に倒れてしまうから、部活の者やエース達にサポートするよう言っておいた。勿論、私達もね。彼女、寝る間も惜しんで、勉強したりするから、悪循環になってる。規則正しい生活を心掛けるように言った。先ずは1週間、出来なかった場合は、即リドルのハーツラビュルで、体験入学をしてもらうつもりだ。あそこなら、規則正しい生活をしなければ、首をはねられるからね。体験入学なら、リドルも容赦はしない。徹底的に、規則正しい生活を叩き込むさ。
エペル:スカラビアがよかったんじゃないの?って思ったけど、むしろカリム先輩の宴やらで疲れちゃいそう…せっかく休んでほしいのに楽しくて逆効果でした
キルティ)今、生活リズムを整えている最中だからなぁ。それに、私の一存では無理だ。寮長と副寮長が許可しないと・・・ね。
キルティは、いたずらっぽく笑った。
キルティ)生活リズムが整ってから、またバイトを許可すると思うから、楽しみにしててくれ。
キルティは、ニッと笑った。そして
キルティ)すごく見たい気持ちは分かるけどね。でも顔で訴えてこないで。
キルティはエペルの顔を見て言った。
キルティ)またね~
キルティはエペルと別れると、図書室の奥へと向かった。そして、1人だけ座れる椅子と机を見つけ
キルティ)ここで少し休もう。
そう言って、椅子に座った。そしてため息をつく。
キルティ)無くなった本を探したいけど、急に消えた本をどう探せば・・・
キルティは頭を抱えていた。しかし、最近、ずっとその事ばかりを考えていて、頭をあまり休めていない。そのせいで、キルティはいつまで経ってもしんどいのだ。おまけに、情報が少ないこともストレスになっていて、キルティは、ストレス性の寝不足を引き起こしている。だから、ずっと眠いのだ。キルティは目を擦る。
キルティ)ここなら、誰も気づかないだろうし、少し眠るか。
キルティは、瞼が限界なのを感じて、目を閉じ、机の上に手を置くと、手を枕にして眠りについた。
麗奈:…はぁ、おわった
トレイ:お疲れ様。モロカンミントティーだ
麗奈:ミントティー?(ちょっと飲んで)あ、美味しい! 確かにミントティーなんだけど、緑茶って感じのほうが強い
モブ)確かに、普通のミントティーよりはスッキリ感は薄いな。
モブは、持ってきたクッキーをつまんだ。
モブ)麗奈も食うか?
同時刻、図書室に1年のサバナクローの寮生がやってきた。調べ物をする為に来たのだ。
モブ)えーっと・・・あった。
モブは目当ての本を見つけたが、人の気配を感じた。
モブ)こっちからだな。・・・って、こいつはあのマレウス・ドラコニアの付き人!
モブは、すやすやと眠っているキルティを見てびっくりしていた。
モブ)こんな所で寝てるなんて、珍しい・・・起こしても悪いし、さっさとお暇するか。
モブは、そう言って図書室を出ていった。
モブ)いずれ、トレイ先輩の菓子しか食べれなくなるんじゃないですか?
モブは冗談混じりに言った。しかし、これを冗談にしないのがヴィランだ。
モブ)トレイ先輩の実家はケーキ屋ですもんね。俺、家族で誕生日祝う時はトレイ先輩のケーキ屋さんで、バースデーケーキ予約するんです。
ハーツラビュルの寮生は、紅茶を飲みながらそう言った。
トレイ:ありがとうな
麗奈:私がケーキを作って持ってきてもいいでしょうか?
ルーク:オーララ、麗奈くんの手作りケーキ!? 私も食べてみたい
麗奈:ありがとうございます!
ルーク:モストロ・ラウンジでメニューとして出す予定は?
麗奈:そこまで派手なものは…メニュー案は以前、アズール先輩に渡しましたけど
モブ)だって、トレイ先輩いつも自分で考えたりするじゃないですか。
モブは、そう言うと、部屋の扉が開き、誰か入ってきた。
キルティ)すまない、何か飲み物と甘いものを貰えるか?
キルティは、フラつきながら言った。
キルティは受け取ったがミントのツンときた匂いが鼻にきて
キルティ)トレイ、すまない。私、ミントが苦手なんだ。別のものを用意してもらえるか?
キルティは、すまなそうに言った。
キルティ)うん、おねがいします・・・
マレウス)やっと見つけたぞ、キルティ。
マレウスはキルティをようやく見つけ、声をかけた。
マレウス)朝早くに抜け出して、今まで僕らの目を掻い潜って、散々探し回ったぞ。病み上がりなのに、無茶をするなといつも人の子に言う割には、自分も出来ていないじゃないか。
マレウスは、相当怒っていた。
キルティ)マレウス様・・・
キルティは席を立つと、出口に走った。
モブ)捕まえるぞ!
モブ)くそっ!速い!
モブ)ルーク先輩、捕まえる魔法無いですか?
ルーク:オーララ! まさかマレウスくんと追いかけっこをするなんて思っていなったよ! 私に任せておくれ。ほら、私から逃げ切ってみせて。『果てまで届く弓矢(アイ・シー・ユー)』
キルティは、外に出た。しかし、ルークの魔法のせいで自分の居場所は、どこにいても分かってしまう。捕まっては終わりだ。
キルティ)このままじゃ、いずれ捕まる!
モブ)俺らは残ってこれ片付けよう。幸い、終わった奴らが追いかけてるから。
モブは、部室に残り、麗奈にそう言った。
キルティ)こうなったら・・・
キルティは、魔法で自分の人形の複製を魔法で出して、身代わりにすることにした。自分は物陰に隠れ、人形に魔法を掛けた。すると人形はキルティそっくりの姿になった。そして、ルーク達から逃げて行った。捕まったら、人形に戻るようにしてある。
キルティ)取り敢えず、私は図書室に行くか。
キルティは、移動魔法で図書室に行くと、日の当たらぬ場所に身を隠し、また本を読み始めた。
キルティ)目ぼしいものは見つからないと思うけど。
キルティ)熱心ね。最近は寒いから、暖かい飲み物や食べ物がいいんじゃないか?
キルティは、そう言った。
中の人)雪大丈夫ですか?
ジェイド:ええ、麗奈さんが提案してくれるメニューはどれも素晴らしいです。僕も負けじとアイデアを練っているのですが、なかなか彼女のようにはいきませんね(苦笑)
中の人:やばいです、交通が麻痺しています
キルティ)そういう所は負けず嫌いだな。ココアに生クリームのかわりにマシュマロを入れても美味いらしいぞ。
キルティな一つ案を出した。
中の人)やっぱり。こっちも軽く積もってます。屋根や、高台にほんの少しですけどね。長時間、太陽が当たれば溶けちゃう雪です。災害級ではない。テレビで毎日見てますけど、酷いですね。スキー場も、吹雪く前に小屋に戻るよう呼び掛けているとか・・・
ジェイド:なるほど。そこにチョコソースを加えてみるのもありでしょうか?
中の人:こちらはむしろ、雪溶けるのかというぐらい降り積もって災害級です
キルティ)チョコソースよりは、蜂蜜やメープルシロップ、シナモンが良いだろうな。それに、ココアにチョコソースは、あるにはあるけど、マシュマロの甘みが薄れる。だから、別の甘味の方が良いんだ。なんなら、チョコペンでマシュマロに可愛い模様や動物の顔を描くと、売上が上がるかもな。
キルティは魔法でマシュマロココアにチョコソースでハートの模様や、クマの顔を描く様子を見せた。
中の人)ドカ雪というより、メガ(メガトン)雪ですよね。雪に埋もれてる車や、家もありますし。
外に出るのも危険と言われてます。
キルティ)隠し味なら教えてもいいよ。このココアは大切な者が作ってくれたココアだから、特別なんだ。
キルティは、そう言いながら少し寂しそうな顔をした。
キルティ)入れる量は本当に少々、入れすぎると逆にココアの味を落とすし、えぐみも出る。粉っぽさと妙に辛い味になるから、とてもココアとは呼べない味になるから、気をつけてね。絶対に入れ過ぎないこと。お父様とお母様のココアを汚す真似しないで・・・あっ・・・
キルティは、口を抑えた。キルティのココアはキルティの両親が作ったココアだ。マレウス達に作り方は教えたが、まだ、他の者には教えていないのだ。しかも、他寮の者は何度かキルティのココアを飲んだことはあるが、レシピはおろか、キルティの両親が既に亡くなっている事さえ知らないのだ。キルティも自分の過去は、マレウス、リリア、シルバー、セベク、麗奈にしか話していない。キルティはうっかり口が滑り、ココアが自分の両親のココアだと話してしまったのだ。
キルティは、誤魔化す言葉も見つからず、ふぅっと息を吐くとジェイドにこう言った。
キルティ)話すけど、周りに他言しないでくれ。あまり気持ちのいい話でもないからな。
キルティ)ああ、実は私は最初からマレウス様のお屋敷に住んでなかった。元はフォルン家の愛娘だったんだ。私の屋敷には、両親と家臣が住んでいた。フォルン家もマレウス様の屋敷に比べたら劣るけど、それは大きな屋敷だったんだよ。ある日、庭で両親と楽しくお茶をしていた時に、悲劇は起こった。人間が屋敷を襲撃しに来たんだ。当時、人間と妖精は敵対していてね。両親は先に私だけを外に逃がしたんだ。茨の谷に逃げている最中も、家臣の悲鳴や、爆発する音は、ずっと耳に届いていた。疲れて木の陰で少し息を整えていたら、女性と男性の悲鳴が聞こえた。それは、両親の悲鳴だった。見つからないように家の方に向かったら、家が真っ赤に燃えていた私は愕然としていたよ。ただ、燃える家を見ていたんだ。でも、途中で見つかって逃げていたんだけど、足がもつれて、そのまま谷に転落。落ちる途中に全身をぶつけ落ちた。幸い、雪の上だったから、背中を怪我することはなかったんだけど、体中痛くて動けなくてね。いつの間にか気を失って、たまたまマレウス様がドラゴンの姿で飛んでいる時に、私を見つけて、あまりに酷い状態だったから、急いで家に連れて帰って治療してくれたんだ。魔法でね。その後、目を覚ました私から、事情を聞くと、マレウス様が住んで構わないと言ったから今はマレウス様のお屋敷に住んでるんだ。
キルティは自分の生い立ちをジェイドに離した。
キルティ)あのココアは私が夜眠れない時にお母様とお父様が作ってくれたココアだ。今も眠れない時は飲んでる。その時だけのお楽しみでね。皆言うんだ。私の作るココアは優しい味がするって。
キルティは、フッと笑った。しかし俯いて
キルティ)約束は守れなかったけどね。
キルティ)確かに、大事なものだから、元々は誰にも教えないつもりだったよ。でも、オーバーブロットしてから、少しだけ考えが変わったし、優しいものなら、全てではないが、教えてもいいと思ったんだ。既にマレウス様達には、レシピを教えているし。飲んでも、私と同じ味がした。それに、生い立ちが悲しいだけでココアに罪はないから、別に大丈夫だよ。
キルティはフッと笑った。
キルティ)別にそれは気にしなくていいよ。でも、本当にいいのか?私の過去は気にしなくて構わないよ。
キルティは、ジェイドにそう言った。妙に気を使わせてしまったと思っているのだろう。
キルティ)そうか、あまり人の子を困らせないでくれよ。まぁ、折角だし、私のココア飲んでみてくれ。ここで飲んだことは2人だけの秘密だぞ。
キルティはそう言って、2人分のココアを魔法で出した。
キルティ)作るか作らないかは任せる。隠し味は教えたからな。隠し味を教えただけで、私の両親の味に出来るかな?
キルティはニヤッと笑った。
キルティ)いや、ただ君達がこういうの飲んでる所見たことないから、作ったらどんな味になるのかなって。
キルティはクスッと笑った。
ジェイド:まずは麗奈さんのメニューの開発に勤しまなくては。あの方は我々の想像を超えるメニューばかり持ってきますから。やはり女性というのもあって、マジカメを参考にしたりしてるのですかね?
キルティ)それなら、ケイトだって使えるんじゃない。マジカメならケイトのほうが詳しいし、駆使してる。マジカメ映えするカフェ、大好きな激辛メニュー、いい穴場スポット。彼に聞けば1発だ。ありとあらゆる情報を取り入れてる。
キルティ)だが、関わりが少ないのだろう。同じ3年でもトレイの方が関わりがあるのだろう。同じ副寮長だしな。ばったり会っても共通の話もなければ、そう関わることも無いだろうし。
キルティは、ふぅっと息をついた。
キルティ)いいんだよ。ところで、そろそろお店の開店時間なんじゃないのか?遅れたら、アズールに小言を言われるぞ。
キルティはいたずらっぽく笑いながら言った。
キルティは手を振ってジェイドを見送った。姿が見えなくなるとため息をつく。
キルティ)はぁ・・・帰るのも気が重いなぁ。今日はここに泊まるか。幸い、あまり人も来ないし。
キルティは、小さく呟いた。
キルティ)そうか、だがもう時期暗くなるぞ。そろそろ戻った方がいいんじゃないのか?
キルティは少しずつ図書室のかげが濃くなっているのを見て言った。
その頃、キルティを追いかけていたマレウス達は
マレウス)まさか途中で人形にすり替わるとは・・・
ルークが捕まえたのは、キルティではなくキルティの人形だった事に、探していた一同はびっくりしていたところだった。
キルティは手を振った。そして
キルティ)動物になれば・・・少しは逃げれる可能性も高くなるかもしれない。
キルティはそう考えると、魔法を使って自分の姿を動物に変えた。姿は小さくなり、ハリネズミになった。
キルティ)(よし)
キルティは、暫く図書室の隅にいることにした。閉館の時間を待つことにしたのだ。
モブ)でも、いいんですか?これキルティ先輩が作ってる人形じゃ・・・
マレウス)心配ないだろう。これは複製だ。ところどころ縫い目が荒い。本物は、自分の手元にあるのだろう。
マレウスは、人形を見ながら言った。
マレウス)しかし、キルティが何をしているのか結局分からないな。
マレウスはふぅっとため息をついた。
マレウス)人形を作っていたのは成り行きらしい。
マレウスは、キルティの人形を見つめて言った。楽しそうな顔をしていて、愛らしい顔をしている。
マレウス)セベク達も、そろそろ終わるだろう。寮に戻ったら、悪いが僕らでもう一度キルティを探そう。人の子は僕と一緒だ。1人は危ないからな。
マレウスは、寮に戻る道中麗奈にそう話した。
その頃、ハリネズミになっているキルティは
キルティ)(暇・・・)
暇を持て余していた。
マレウス)ああ、お疲れ。1度は見つけたが、逃げられた。
マレウスは、ため息をついた。
セベク)やはり、もう一度探した方が・・・
マレウス)その通りだ。揃っているなら話が早い。4人なら、見つかる可能性も高い。もう一度探そう。
セベク)はっ!
キルティは麗奈の声が聞こえて急いで本棚の隙間に隠れて、息を潜めた。
キルティ)(意外とハリネズミって便利だな)
キルティはそう思いながら、隙間でも影になる所まで下がると、麗奈達が立ち去るのを待った。
マレウス)キルティ、どこにいる?
マレウスも、キルティを探した。
ディアソムニア寮
セベク)キルティ様ー、どこにおられますかー?
セベクは、寮内を探しながらキルティを呼んだ。
ギクッ!
キルティは、体を丸めて気付かれないようにした。
キルティ)(お願い、早く行ってくれ!気づかないでくれ!)
キルティは祈った。しかし
マレウス)妙だな、キルティの魔力の痕跡がある。キルティは確かにここで魔法を使ったのだろう。
マレウスは、腕を組んで続けた。
マレウス)人の子の推測が正しければ、何かに化けるために変身魔法を使ったと考えるのが妥当かもしれない。そして、この図書には隙間もある。なら、隙間に入り込める何かに変身している可能性が高い。
マレウスは、そう言って、本と本の間を見始めた。
マレウス)人の子、隙間を重点的に探してくれ
マレウスは人の子にそう言った。
キルティ)(まずい、本気でまずい!)
キルティは、身の危険感じて、針を出しながら思った。
マレウス達は、隙間を探し続けた。
マレウス)なかなか見つから・・・
マレウスは、暗闇の中に2つの光があるのを見逃さなかった。夜行性動物の目だ。マレウスは、キルティが隠れている隙間を突き止め、手を入れようとした。
キルティ)!
キルティはびっくりして後退りした。
マレウス)それらしいものは見つけた。が、奥にいて、出せない。
マレウスは、指を入れたがあと数ミリが足りないのだ。
マレウス)これ以上すると、本棚を壊してしまう。
マレウス)シルバー達に連絡して来てもらおう。あと、ハリネズミが何を食べるか聞いてみよう。
マレウスは、シルバーに電話を掛けようとしたが、機械に疎いため、電話を掛けるのに時間が掛かり
マレウス)人の子、すまない。代わりに掛けてくれるか?
と、麗奈にお願いした。
麗奈:わかりました(電話をかけて)
シルバー:もしもし?
麗奈:あ、シルバー先輩? なんか、ハリネズミがいまして、けど隙間に入って…食べ物でつるには何がいいでしょうか…?……昆虫? あ、果物も? わかりました(通話終了)
マレウス)セベクに頼んで、寮にある果物を持ってきてもらおう。キルティが前に、リンゴをもらっていた。まだ残っているはずだ。人の子、電話を頼んだぞ。
セベク)分かった、すぐ行く。
セベクは、リンゴを持つと、急いで図書室に向かった。そして暫くして
セベク)若様お待たせましました。人間、取り敢えず、そのまま持ってきたぞ。
セベクは図書室にやって来た。
マレウス)セベク、もう少し静かにしよう。ここは図書室だ。人払いはしてるがな。
マレウス)反応しないな。
マレウスは少し考えると、何かを思いついたのか魔法で皿を出すとリンゴを置いて、隙間の目の前に置いた。
そして
マレウス)無理に出しても悪いだろう。自然に出てくるまで、放っておこう。僕らも寮に戻ろう。
マレウス達はそう言って、図書室を出ていった。足音が聞こえなくなり、キルティはそっと隙間から出た。リンゴが目の前に置いてある。
キルティ)(お腹は空いてるし、ありがたくもらっとこうかな。ちらつかされた時は、思わず飛びつきたくなったけど・・・危なかった)
キルティはそう言って、ハリネズミの姿のままで、リンゴに齧りつこうとした。しかし
マレウス)こうもあっさり罠に掛かるとは・・・
マレウスは、ハリネズミの姿のキルティを浮かして言った。マレウス達は、図書室を出たのではなく、その場を離れただけだったのだ。
マレウス)ようやく、捕まえたぞ。キルティ。寮に戻ったら、聞きたいことが色々とある。僕から逃げられると思わないことだ。
キルティ)チュゥ・・・
キルティは小さく鳴いた。
マレウス)キルティ本人だ。魔力の痕跡から、同じ魔力を感じる。人の子の推測が正しかったようだな。
マレウスは、ニヤッと笑った。そして
マレウス)とにかく、このまま連れ帰って寮に戻ったら戻そう。逃げられないからな。
マレウスは、キルティを見ながら言った。キルティは焦っているのか手足をバタバタさせていた。
キルティは、撫でられて落ち着いたのか大人しくなった。
マレウス)落ち着いたな。取り敢えず、このまま連れて帰る。
マレウスは、ハリネズミのキルティを猫みたいに首根っこを掴もうとしたが、針が刺さり
マレウス)迂闊に触れんな。魔法で浮かすか。
そう言って、ハリネズミを浮かした。
キルティはただじっとしていた。というより、マレウスの魔法で動けなかった。
キルティ)(何で落ち着いてから、動けなくなる魔法使ったんだろ?)
キルティは撫でられても動けなかった。そして、そうこうする内に、寮についた。寮に入ると、マレウスは、キルティの魔法を解き、元の姿に戻した。
マレウス)談話室に行くぞ。
キルティ)は、はい。
談話室に入るとマレウスとキルティは向かい合せで座った。
マレウス)さて、キルティ。ここ最近、何を調べている?
マレウスは、真剣な顔で聞いた。
キルティは、少し黙り、口を開いた。
キルティ)今は詳しく言えません。ですが必ずお話しします。
キルティはそう言った。
マレウス)(やはりはぐらかすか)分かった。なら、次の質問だ。今日、なぜ僕らから逃げた?僕は昨日言ったはずだ。体調がまだ悪ければ、休ませると。気付かれないように、部屋から外に出て、その後も、僕らの目を掻い潜って今日1日過ごしていたのは分かっている。お前を見かけた寮生が、顔色があまり良くないと聞いた。現に今も顔色が優れていないように見える。
マレウスにはっきりそう言われて、キルティは下を向いた。
マレウス)人の子に言う前に、まずは自分の管理をすることだ。出来ないのならば、お前をハーツラビュルに体験入学させても構わない。期間は1週間だからな。
マレウスはそこまで言った。すると、キルティは立ち上がり頭を下げた。
キルティ)申し訳ありませんでした。以後、このようなことを起こさないように気をつけます。
と、マレウスに謝った。マレウスは、息をつくと頭をぽんぽんして
マレウス)あまり無理をしないでくれ。
そう言った後
マレウス)次はないぞ。
と、はっきり言った。
キルティ)は、はい・・・
キルティは、返事をした後、ソファに座り、少し落ち込んでいた。
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