トピ主 2021-09-01 18:06:46 |
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マレウス)待ってるぞ。
マレウスは、出る前に、麗奈に優しく微笑むと扉を閉めて、麗奈を待った。
キルティ)そういうわけにもいかない・・・今日の放課後からローラーブレードの講師をするんだ。授業に出ないで、それだけするなんて、不自然すぎるし、かと言って、教えると言ったばかりで休むなんて行ったら、無責任と言われる可能性が高い。しかも、相手はあの悪徳商人寮だぞ。面倒事はごめんだ。
キルティは、そう言って眠そうにしながら歩いた。
キルティ)取り敢えず、休憩時間は寝るようにする。そうすれば、少しは回復するだろう。
マレウス)来たな、行こうか。
マレウスは、早速歩き出した。
キルティ)分かっている。
キルティは、そう言いながらフラフラ歩いていった。
キルティ)ただの寝不足・・・(嘘、一睡もしてない・・・正直寝たい・・・でも、寝たら授業が・・・ローラーブレードの講師が・・・)
キルティは、倒れないように必死だった。少しでも気を緩めれば眠気に負けて寝てしまうと思ったのだ。
キルティ)とにかく、学校行かなきゃ・・・今日は魔法史からだったな。行こう・・・
キルティは、立ち上がって、歩き出したが足元はさっきよりも覚束ない。寧ろ、ひどくなる一方だ。ついには、足が縺れてキルティは、コケてしまった。
キルティ)ギャン!
キルティ)痛い・・・幸い怪我はないから、いいけど。とにかく行かないと。しかし、コケたのに目が覚めないなぁ。寧ろ、眠くなる一方だ。
キルティは、再び立ち上がり、覚束ない足取りで、独り言を言いながら、歩いていった。
マレウス)寝不足と言っているが、まるで一睡もしていないように見える。今までは、寝不足でも、しっかり目を覚ましていた。しかし、全く目が覚めないということは、寝てないということじゃないのか?
マレウスは、キルティの様子を見ながらセベク達に言った。
セベク)キルティ様、徹夜で何かを調べていたのでしょうか?
マレウス)キルティ、ゴーストを調べる為に何かしてるのか?
キルティはマレウスにそう言われ、足を止めた。そして
キルティ)いえ、何も。急ぎますので、失礼します。
キルティはそう言って魔法で消えた。
セベク)まるで、逃げるように行ってしまいましたね。
マレウス)何をしているのか、探ってもはぐらかすか・・・どうやって突き止めよう・・・皆はキルティから何か聞いていないか?
マレウスは、キルティ以外の者に聞いた。
中の人)シルバーには軽くゴーストの事を話してます。他のものには話していません。シルバーには、最悪、危険な場所に行かなければならないことまで話してます。一応、書いといたよ。
セベク)しかし、僕らが行けば、また逃げ出すかもしれません。かと言って人間でも同じ可能性も低くありません。怪しまれずにするには、どうすれば・・・
セベクは腕を組んで考えた。
マレウス)いい方法かもしれないが、透明な姿でキルティに触れれば、キルティは、見えない敵と見なして、攻撃してくる。前に、水中に引きずり込まれた時から、かなり敏感になっているから、容易ではない。
セベク)では、睡眠薬を何かに混ぜて飲ますのはどうですか?気付かれにくいのでは?
マレウス)ダイヤモンド達に頼みたいが、理由が理由だからな。あまりゴーストの事を話すのも気が引ける。
マレウスも考えていた。そしてシルバーを見ると、
マレウス)そういえば、シルバーが菓子を作ったりした時は、よくキルティは食べているな。
と、ふと思い出したよう言った。
マレウス)シルバー、このキャンディに睡眠魔法を付与させておいた。自分が買ったと言えば、キルティは信じるはずだ。今すぐ、追いかけて食べさせろ。拒否するなら無理矢理口に放り込んでも構わない。僕が特別に許す。
マレウスは、ピンクと銀の縞模様のキャンディをシルバーに渡した。
その頃、キルティは鏡舎の近くで休んでいた。学校を通った後では目立つため、通る前に少し休むことにしたのだ。
キルティ)バイトのある日に、学校に忍び込んだのは間違いだったな。
キルティは眠気を必死に抑えながら言った。もう意識を保つのもやっとなのだ。
キルティ)キャンディ・・・
キルティは受け取ったが、あまりに眠いせいで食欲がなかった。だからシルバーに困った笑顔でこう言った。
キルティ)ありがとう、だがすまない。生憎今は食欲がないんだ。これはシルバーが食べて構わないよ。
キルティはそう言い、シルバーの手にキャンディを握らせた。
キルティ)頭を下げるほどのことか?今は本当にいらないんだよ。
キルティは少し不思議な顔をして言った。
その様子を離れた所から、見ていたマレウス達は
マレウス)仕方ない、シルバーにもう一度言うか。
マレウスは、魔法でシルバーの脳内に話しかけた。
マレウス)シルバー、断れば無理矢理にでも口に突っ込めと僕は言った。特別に許すとも言った。シルバー、そのキャンディをキルティの口に入れるんだ。
キルティは、咄嗟に口を閉じて、キャンディが口に入るのを阻止した。そして、シルバーの腕を掴み、抑えた。
キルティ)(いつもなら、引き下がるのに、強硬手段に出るなんて、このキャンディ、何か仕込んでるな。なら、絶対に入れられないようにしないと。眠いけど・・・抑えなきゃ・・・)
キルティは、必死に抑えた。しかし
マレウス)強情だな。
マレウスは、キルティに魔法を掛けた。するとキルティの力が抜け、口が勝手に開いた。
キルティ)なっ!もがっ!
キルティは力が抜けた時にシルバーがキャンディを口に突っ込みキャンディを食べてしまった。
キルティ)吐き出さなきゃ!
マレウス)シルバー、キルティの口を手で塞げ。
マレウスは、続けて、シルバーの脳内に話しかけた。
キルティ)んんっ!んーーー!
キルティは、口を塞がれて藻掻いた。しかし、シルバーの力が強く塞がれた手を退けられなかった。
キルティ)んーーー!んっ、んんーーー!
キルティは、足をバタバタさせて暴れたが、シルバーは全く動こうとしない。キャンディの甘みが喉をつたっていく。
キルティ)んぅっ!うぅー!
キルティは次第には涙まで流し始めたが睡眠魔法が効いてきたのか
キルティ)ん・・・んぅ・・・
キルティはゆっくりと目を閉じ、そのまま暴れず眠りについた。
マレウス)何とか眠らせることが出来たな。
マレウスはキルティの口からキャンディを取り出した。
マレウス)眠ったままでは、喉に詰まる。眠らせることが目的だったから、これはもう処分しておこう。
キルティは、薬のせいでぐっすり眠っていた。
キルティ)すぅすぅ
キルティは、寝息を立てて眠っていた。
マレウス)確実に一睡もしていなかったな。今は、目覚めるまで寝かせておこう。
マレウス)そうだな。
マレウス達は、学校に向かったが、道中セベクが何かを思い出し、マレウスに質問した。
セベク)若様、キルティ様は今日オクタヴィネル寮の方々にローラーブレードを教える予定でした。その件はどうします?
マレウス)駄目だ。
マレウスははっきり言った。
マレウス)相手はオクタヴィネル寮の者だ。愚か者の相手をさせるわけにはいかない。
マレウスは、そう言って、少し考えると
マレウス)アーシェングロットに伝えておこう。僕が言ってもいいが、会う可能性が低い。各々、会ったら伝えてくれ。キルティは体調を崩して欠席している。今日はローラーブレードは休みだ。初日からすまないとな。
マレウス)ああ、急ごう。
マレウス達は、そう言って、足早に学校に向かった。
学校
ケイト)キルティちゃん、来ないなぁ。いつもなら、もう着いてもおかしくないのに。それに俺の隣にいつも座るし。
ケイトは両隣の空席を見ながら言った。いつも隣にはキルティが座るのに、今日は来ておらず、不思議に思っているのだ。
ケイト)リリアちゃん、おはよう。珍しいね、キルティちゃんが体調崩すなんて・・・今まで、眠そうにしてても体調悪い時なんてなかったからさ。
ケイトは、少し驚いていた。
ケイト)キルティちゃん、モストロ・ラウンジ以外にも何かやってたの?
ケイトは、働きすぎと聞いて、キルティが他にもバイトを掛け持ちしてるのかと思った。
ケイト)眠かったのかな?
ケイトはルチウスを見ながらも授業を聞いていた。
エース)おう、ところで今日キルティ先輩見かけなかったけど、どうかしたのか?
麗奈:うん(薬品を調合しながら説明して)
デュース:麗奈、最近無理してないか?
麗奈:大丈夫だよ。実は今日ね、部活でルーク先輩がアフタヌーンティーを食べさせてくれるって
デュース:え? 部活で?
麗奈:どんなものが出てくるか楽しみなの
デュース:いいな。僕も一度食べてみたいけど、あれって女子向けの食べ物じゃ…
麗奈:そんなこと言ってたら、一生食べれないよ?
エース)でも、俺らは麗奈の護衛を直々に頼まれてるんだ。だったら、麗奈の側を離れるわけにはいかねぇだろ。そもそも今日はキルティ先輩休んでるんだから。
エースはニヤッとしながら言った。
麗奈:ルーク先輩のことだから華やかなものを養育費のしてくれるかもよ?
デュース:あまり女の子に近いのは…(ハートのケーキやクマの顔のクッキーなどを想像して)
エース)いや~、トレイ先輩もいるし、他の部員は皆男だから、そこは考えてるんじゃね?あのルーク先輩だって考えなしでやるような先輩じゃないし。
エースは、考えながら言った。
エース)ルーク先輩、サプライズ好きだもんな。こっちも粉末に出来たぞ。
エースは、すり鉢を見せた。中には変わった色の粉末が入っている。
エース)おう、任せろ。
エースは、麗奈とバトンタッチし、大釜をかき混ぜた。
その頃、ディアソムニア寮では
キルティ)あれ・・・
キャンデイによって、眠っていたキルティがようやく目を覚ました。
エース)ここまで完璧に出来たんだ。ぜってー貰えるぞ。
エースは、笑顔で言った。
キルティ)私、何で眠って・・・
キルティは、体を起こした。そして時計を見る。
キルティ)10時過ぎ!遅刻じゃん!早く行かないと・・・
キルティは急いで立ち上がった。しかし、少し睡眠をとっただけでは、あまり回復はしない。体がまだ重く、思うように動けずキルティは目眩を起こした。
キルティ)くっ・・・とにかく行かないと。
キルティは、目眩に耐えながら部屋を出て、ディアソムニア寮を出ようとした。扉を開け、外に出ようとした途端
キルティ)・・・・・・・・・・!
キルティは誰かに体を引き寄せられディアソムニア寮に引き戻された。
キルティ)なっ!はなっ・・・んっ!
キルティは、何者かも分からないものに口を塞がれた。振りほどこうにも相手ががっちり体を掴んでいる為、腕さえ、動かせなかった。
キルティ)んーーー!
キルティは、口を塞がれても必死に叫んだ。そして、目を開け手を見た。しかし手を見て驚いた。なぜなら、自分を拘束している相手は全身真っ黒で、まるで影のような存在だったからだ。
キルティ)(これは、相手が勝手な行動をしないようにする為の強制魔法・・・こんな高度な魔法が出来るのは・・・あの4人の誰かだ!)
キルティは拘束されたまま、この影の存在を分析した。自分を寮から出さないために、監視役として、4人のうち、誰かがこの影の存在を作ったんだと。オルトに頼まなかったのは、キルティがオルトなら、簡単に跳ね除けてしまうと分かっていたからだろう。影は、キルティを拘束したまま動かない。しかし、叫ばれても困るのか相変わらず、口は塞いでいる。
キルティ)んんっ!んーーー!んー!
キルティは、必死に藻掻いた。しかし、影は微動だにせず、キルティを離さなかった。キルティは影の足を蹴ろうとしたが、影は実体を持たないため、キルティが足を蹴ろうとしてもすり抜けてしまった。
キルティ)(自分は私を拘束できるのに、こっちの攻撃は無意味って厄介だ!)んんっ!んーーー!
キルティは、影に腹が立った。キルティはその後も暫く叫んで藻掻き続けた。
クルーウェル)グッドガールとグッドボーイだ。よく出来ているな、仔犬達。Excellentをやろう。
クルーウェルは、3人にExcellentを与えた。
エース)やったぜ!
エースは喜んだ。
エース)やっぱ、久々にExcellent貰えた。
エースはガッツポーズをしながら言った。
キルティはあれから叫び続けたが、次第に喉が枯れ、叫べなくなっていた。
キルティ)んっ!んん・・・ん・・・
キルティは、それでも藻掻いていたが、藻掻く度に、影が体をより強く拘束し、痛むのであまり藻掻けずにもいた。すると、少しだけ、影の拘束が緩くなった。
キルティ)(緩くなった!)
キルティはその隙を逃さず、必死に払いのけると、走って、再びディアソムニアを出ようと扉に手を掛けようとしたところで、影が今度は腕を掴み、キルティは再び拘束された。
キルティ)あっ!んうーーー!
しかも今度はキルティは少し持ち上げるように拘束した。キルティは背が小さいせいもあって、足がつかず宙づり状態で拘束されてしまった。
エース)麗奈、薬学と錬金術得意だもんな。一緒に組めば、失敗もしねぇから先生に怒られない。成績も上がって、補習も受けなくて済む。一石二鳥だな。
エースは、ヴィランな笑みで言った。
キルティ)(足がつかない、動けない、苦しい・・・)
キルティは、あれからも藻掻いていた。しかし、口を塞がれている為、鼻呼吸していたが、必要な酸素が追いつかず、苦しくなってきたのだ。おまけに、影は先程と違って、少しずつ力を強めキルティの体を締め上げていく。それも相まって余計に苦しいのだ。しかもかなり痛い。
キルティ)(これ以上締め上げられたら、痛みで気絶する・・・藻掻けば更に締め上げられるし、どうすれば・・・酸素も足りないし、そのせいで思考もままならない・・・振り払いたくても、拘束されて宙吊り状態だと上手く動けない。
キルティは、足を動かすが、相変わらず攻撃は利かなかった。しかも暴れるキルティを影は更にギリギリと締め上げていく。
キルティ)んっ!んんー!
キルティは痛みで悲鳴を上げていた。キルティは首を振った。口を塞ぐ手を払い除けたいのだ。しかし、顔の半分をしっかりと覆っているせいで、外れる気配は微塵もない。キルティは、痛みで泣き出してしまった。床に涙が滴っていく。それでもキルティは暴れた。それと同時に拘束は強くなる。
キルティ)んん!んんーーー!んっ!んーーー!
キルティは痛がりながらも必死に藻掻いた。しかし、酸素が限界を迎えると同時に、身体も痛みも限界になり、影が余計に力を込めてキルティは締め上げると
キルティ)んっ!
キルティはとうとう痛みで気絶してしまった。強張った身体から力が抜けており、足もだらりと下げている。影は口から手を離し、キルティを抱きかかえると、キルティの部屋に向かい、部屋に入るとキルティをベッドに寝かせた。眠るキルティを優しく撫でたあと影は空気に溶けるように消えていった。
ケイト)今日は激辛ラーメンにしよう。
ケイトは食堂で、激辛ラーメンを注文していた。
マレウス)リリア、隣いいか?
マレウスも昼食を取り、リリアの隣に来た。
マレウス)ああ、お疲れ。
マレウスがリリアの隣に座るとセベクも昼食を持ってやってきた。
セベク)若様、ここにおられましたか。僕も昼食ご一緒してよろしいですか?
マレウス)ああ、構わない。
セベク)ありがとうございます。
セベクはマレウスの向かいに座った。
エース)じゃあ、俺は醤油。
エースも定番の味を選んだ。
マレウス)ああ、お疲れ。
マレウスがリリアの隣に座るとセベクも昼食を持ってやってきた。
セベク)若様、ここにおられましたか。僕も昼食ご一緒してよろしいですか?
マレウス)ああ、構わない。
セベク)ありがとうございます。
セベクはマレウスの向かいに座った。
エース)じゃあ、俺は醤油。
エースも定番の味を選んだ。
マレウス)あぁ、散々暴れたようだ。
マレウスは授業中、キルティが影から逃れようと必死に藻掻いている声がはっきり聞こえたようでやれやれと思っていた。
エース)うめぇ!
マレウス)僕らが帰った時に起こせば良い。影を監視役につけておいて正解だったな。
キルティが寮から出ないように用意したあの影は、マレウスが用意したものだった。
マレウス)少々荒いほうがキルティも止まるからな。
マレウスはそう呟いた。
エース)今日はほうきじゃなかったよな。何だろう?
マレウス)一睡もしていなかったし、先程、無理にでも学校に行こうとして、影に締め上げられていた。散々藻掻いたようだが、疲れたのか今は声が聞こえない。大方、藻掻き疲れて寝ているのだろう。クマも酷かったから今日は好きに眠らせた方がいい。
マレウスはそう言った。
エース)デュースは得意なんじゃね?陸上やってるし。俺は普通だけど。
エースは、デュースに聞いた。
中の人)麗奈さんの所はボール使うんですか?
リリア:さよう、あやつは無茶をしすぎじゃ
シルバー:それならいいんですが
デュース:部活でもよくやる
麗奈:バルガス先生にまたあーだこーだ言われそう
中の人:はい。まさか地域によって違うんですか?
マレウス)かなり抵抗したようだからな。帰る前に、好きな飲み物でも買おう。きっと声が枯れてると思うからな。
マレウスは、そう言ってパスタを食べていた。
エース)別に長距離走るわけじゃないんだから、大丈夫だろ。麗奈、短距離派だろ?それでもしんどくなったら、俺達が話しつけてやるよ。
エースはウインクして言った。
中の人)走り幅跳びは助走を着けて勢いよく飛ぶ競技なので、私も学生時代はよくやりました。でも、私達はボールは一度も使ってません。普通に助走つけて勢いよく飛び、着地した場所までの距離を毎度測ってました。着地場所は足を痛めないために、専用の柔らかい砂がありました。普段は雨などで濡れないようビニールを掛けて、風で飛ばないようにホイールが付いてないタイヤを重しにしてました。麗奈さんのボールはどう使ったのですか?
マレウス)かなり叫んでいたからな。リリアも聞こえていただろう?
マレウスは、リリアに聞いた。
エース)ほうきじゃなきゃ、麗奈も参加出来るもんな。
中の人)あら~
マレウス)塞がなければ防壁魔法が壊れていたかもしれんな。
マレウスは、フッと笑った。
エース)じゃあ、持ってって着替えようぜ。
セベク)そ・・・そこまで叫んでいたのですか?もしかして、影ではなく、何かに襲われたのでは・・・?
セベクは心配していた。しかし、マレウス達の言う通り、キルティは影に締め上げられ、気を失い、今は眠っているだけだ。
マレウス)キルティがどこから出ようとしても、影が捕まえる。それに、心配はない。この学校の者以外の者が寮に出入りすれば、影が即排除に向かうようにしてある。鉄壁の守りだ。その間キルティが、寮から出ようとしても、影は分身するようにしてあるから、部外者を排除、及びキルティの逃亡を阻止できる。
マレウスはニヤッと笑った。
セベク)流石、若様とリリア様ですね。素晴らしい魔法です。
エース)こんな日に走り幅跳びなんて、ツイてねぇ。
エースも身震いする。
マレウス)そろそろ冷えてきたな。
マレウスは寒く感じると、周りを適度な温度にする為、温度調節魔法をかけた。
セベク)寒いな。今日の放課後のトレーニングは屋内で出来るものにしよう。
麗奈:思いっきりね
バルガス:じゃあ江崎、跳んでみろ!
麗奈:はーい。たぁぁー!!
バルガス:なんだ、うさぎより跳べないじゃないか
麗奈:……(ブチッ)
デュース:麗奈、落ち着け!
エース)バルガス先生、人が傷つくような言葉は女子にはダメです!そういうの結構敏感なんですから。
エースは、バルガスにそう言った。
バルガス:俺はやる気を出してほしいだけだぞ?(まるでわかってない)
デュース:麗奈、大丈夫か?
麗奈:やっぱりあの人ダメだわ。でもサボったら単位ないし、ここは我慢よ
バルガス:やっぱり女の扱いはわからん…
学園長:おや、麗奈さん? またバルガス先生にいじめられたのですか?
デュース:学園長?
麗奈:はっ、いいえ。そういうわけではなくて
学園長:全く、あの人は仕方ないですね。こんなにイライラしてはもはやあなたにとって非効率です。私とお茶にしましょう
麗奈:あ、デュースーー!!(連行されていき)
デュース:麗奈!?
エース)どうせ、学園長とお茶しながら勉強してんじゃねぇの?学園長、妙に麗奈に肩入れするし、勉強教えてんじゃね?
エースは、不服そうに言った。
エース)そりゃ、俺らだって1年だから、教えられるのに、限度あるけど、麗奈よりは理解してんだけどなぁ。錬金術と薬学は、麗奈が上だけど、魔法史とかなら、俺等の分かってるじゃん。元々、こっちの世界の住人だし。
エースは、頭の後ろで手を組みながら言った。
デュース:そうだな
(学園長室では)
学園長:麗奈さん、学園生活は楽しいですか?
麗奈:ええ。マレウス様やエースたちがサポートしてくれてます
(カウンセリング的な世間話だった)
エース)まぁ、授業終わったら、どうせ部活行くんだろうし、俺らもお邪魔することになってるから、いっか。
エースは、機嫌を直した。
エース)ていうか、してそう。ほら、ルーク先輩って人間観察するからさ。多分、俺らの好みも把握してんじゃねぇの?
エースは、少し困った笑顔で言った。
エース)実験中に一緒に用意してそうだよな。でも、先輩達なら直ぐに用意できそう。麗奈と違って俺達と同じ魔法史なんだから。
エースは、ニヤッと笑った。
エース)流石に、離すだろ。教師が何時間も生徒といて、部活に行かせなかったなんて知れたら、ヤバいだろ。
エースは、やれやれと言った。
エース)いや、入学許可したの学園長だろ?そんなことしねぇと思うぞ。そもそも麗奈、校則違反してねぇし、悪いこと、何もしてないじゃん。大体、それが本当だとしたら、自分の首絞めてるのと同じだろ。学校にも、自分の顔にも泥塗ってんだから。
デュース:あの学園長がそこまで麗奈に入れ込むのもわからないけどな
麗奈:ずっと座ってお尻痛いよ~
デュース:早く部活に行こう
エース)それな。つか、麗奈は単位逃したら、ヤバいんだから、授業させてやれよな。(自分もギリギリ)
エースはやれやれと言った。
(植物園)
ルーク:麗奈くん、エースくん、デュースくん、待っていたよ! さあさあ、こっちに座って
トレイ:はい。ハッピーハロウィーン(カボチャのパイや蝶々の羽が乗ったチョコのケーキ、骨のビスケットなど)
麗奈:きゃー!? か、か、かわいい!
デュース:これがアフタヌーンティー!?
エース)寮長が見たら、寮でもやろうって言いそう。
エースは、咳払いすると
エース)素晴らしい、うちの寮でも是非やろう。
と、リドルの真似をして言った。意外と上手い。
トレイ:部活終わったら早く寝るんだぞ
麗奈:はい。ごちそうさまでした
デュース:なんか、やっぱり女子みたいでちょっと恥ずかしかった
エース)でも、自由にケーキ食えるのはラッキーだよな。タルトも一口目から食えるし、長時間座ってても何にも言われないし。
エースは、伸びをしながら言った。
エース)麗奈、それ言ったら問答無用で寮長のユニーク魔法食らうぞ。というか、言っても無意味だ。
エースは、手でばつを作って言った。
エース)ハーツラビュル寮は厳格な精神に基づいてるんだ。つまり緩くしたら厳格じゃなくなる。ハーツラビュル寮の威厳が損なわれるってわけ。確かに、あの厳しさに腹立つこともあるし、810条まで覚えられるわけねぇけど、俺らは、あれくらいでちょうどいい。多分、ここのハーツラビュル寮生は皆そう思ってるぜ。
エースは、フッと笑った。
モブ)俺らは、ハートの女王に使えるトランプ兵なんだ。その法律に従って過ごすのがハーツラビュル寮の掟みたいなもんだ。それに、嫌なことばっかりじゃない。パーティーもあるし、楽しいクロケットもある。いいとこだぞ、ハーツラビュルはな。
エース)まぁ、法律を破んなきゃ安全ってとこだよ。
エース)麗奈がパーティーに参加するって聞いたら、寮長喜ぶし、トレイ先輩は、必ずチョコレートのケーキ作りますもんね。
エースは、そう言ってチョコチャイを飲んだ。
その頃、マレウスがサイエンス部へとやって来た。
マレウス)今日は先客がいるな。
マレウスは、エース達を見て言った。
エース)マ、マレウス先輩!
デュース:ええ!?
トレイ:マレウス!
ルーク:オーララ! ロア・ドゥ・ドラゴン!
モブ:ええーーーー!?
麗奈:マレウス様!?
マレウス)ああ、持ち帰れる菓子は無いか?出来れば、ケーキやシュークリームといった物の方が、喜ぶと思うんだ。
マレウスは、キルティに見舞いの品を探していた。ミステリーショップで買ってもいいが、トレイのケーキが美味しいことはこの学園の者なら、知らない者はいない。更に、クッキーやチョコといった菓子よりはケーキなどの少し特別感のある菓子のほうがキルティも喜ぶとマレウスは思ったのだ。なので、真っ先にトレイ達がいるサイエンス部へと向かったのだ。
マレウス)クローバーの菓子は皆好きだからな。また、改めて礼をさせてもらう。見舞いの品もこんなにくれて、助かる。
マレウスはフッと笑った。
エース)キルティ先輩、体調崩したって聞きましたけど、大丈夫なんですか?
エースは、疑問に思ったことを言った。
マレウス)確かに、体調を崩したと言うよりは、寝てなかったの方が正しいな。
エース)どういうことですか?
マレウス)キルティは昨晩一睡もしてなかったようだ。お陰で、朝からフラフラ、顔は青白く、目の下にクマが出来て、寝不足では考えられない状態だったのだ。
マレウス)本人は寝不足としか言わなくてな。聞いてもはぐらかされる。
マレウスは、ため息をついた。
マレウス)リリアも、あのままでは本当に倒れると言っていた。だから、今朝少々手荒ではあったが休ませたんだ。
マレウスは、軽く腕を組んだ。
マレウス)分かった、伝えておく。
マレウスは、ルークにそう言い、クローバーから箱を受け取ると
マレウス)それじゃあ、邪魔したな。
そう言って、サイエンス部を後にした。
デュース:お疲れ様でした
トレイ:麗奈、これは俺とルークからだ(サプライズで上に蝶々のチョコが乗った6つのチョコムースが入った箱を渡し)
麗奈:え!? か、かわいいです!!
エース)すげー!この蝶の模様細かい!茶色なのに地味に見えねぇ。芸術みたいだ。
エースはチョコレートの蝶を見て言った。そして
エース)そうだ!麗奈、ちょっとこのケーキの写真撮らせて。
エースは、そう言ってスマホを取り出した。
エースは、蝶がしっかり見えるように、写真を撮った。そして、ニヤリと笑うと
エース)どんな反応するかなぁ?
と、言いながらある人に写真を送った。ジャミルだ。虫全般苦手なジャミルに(チョコレートの)蝶が乗ったケーキを見せたら、どうなるか気になったのだ。
エース)まぁ、ケーキだから、普通に感想言いそうだけど、先輩、虫にはマジで敏感だからなぁ。
エースは、ヴィランな笑顔で反応を待っていた。
エース)ちょっと面白そうなことが起こりそうなんだよなぁ。
エースは、ニヤニヤしていた。
その頃、エース不在のバスケ部は休憩時間に入った所だった。エースは、部員に急な寮の用事が出来たと言いくるめ、部活を休んでいた。休憩中、部員の一人が
モブ)ジャミル先輩、スマホ光ってますよ。誰かから、連絡来たんじゃないですか?
ジャミルのスマホに通知が来ていることに気づいた。エースのチョコレートの蝶の写真が届いたのだ。この写真がジャミルに地獄を見せる。
モブ)これ、チョコレートですよね。俺、知ってるんですけど、こういうチョコ、モールドチョコレート言うらしいですよ。型にチョコを流し込んで、固めるとその型通りのチョコが出来るんです。
モブも写真を見て言った。
エース)ジャミル先輩、どんな反応したかな?
エースは、笑いながらムースを食べた。
エース)チェリーパイも好きだけど、これも好きだなぁ。
エースは幸せそうにした。そして、休憩していたモブがチョコムースを見て
モブ)うわっ!美味そうだけど、飾りのクオリティ高すぎて逆に食べるの勿体ねぇ!
と、驚いていた。
モブ)えっ!先輩、蝶を別のもので再現するんですか?
モブは驚きながら聞いた。
エース)つってもなぁ、男子のノリってこんなもんだぜ。な?デュース。
エースは、デュースに言った。
ジャミル:(鳥、思いきって白鳥を考えたが)…難しいな、誰かに伝授するか? いや、動画サイトで犬や猫とか、作り方があるはずだ(ぶつぶつ)
デュース:え!? 僕はエースほどじゃない(小声)
モブ)(あの虫嫌いの寮長が蝶を作るなんて・・・)
モブはただ驚くことしか出来なかった。
エース)そうか?俺と同じようなもんだと思うけどな。
麗奈:あ、そうだわ。このアフタヌーンティーをモストロ・ラウンジでもやればいいんじゃないかな?(海をテーマにしたり、その月限定のテーマにしたりなどすれば売り上げが伸びたり、話題を呼ぶかもと考え)
麗奈:いろいろ提案したから、最終的にそうなっちゃったのかも
ルーク:次はいつ、麗奈くんが活躍してくれるのかな?
麗奈:マレウス様の許可次第、ですね
エース)あ~、根詰めすぎて、暫くバイト休むように言われたんだってな。セベクから聞いたぜ。
エースは、思い出したように言った。
エース)麗奈の頑張り屋な所はいいとこだけど、体の許容量考えて動かねぇと同じことを繰り返すだけだぞ。
エースはニヤッと笑って言ったが、これは彼なりに心配しているのだ。
デュース:そうだ。僕も心配したぞ
トレイ:麗奈がいないと店が盛り上がらないとか言ってるやつもいるけどな、アズールたちなら大丈夫だ
麗奈:メニューの提案はしているんですけどね
ルーク:それだけでも十分だと思うけどね
エース)俺、麗奈の考えたジュースとパフェ好きだぜ。よく考えたよな。実際に作ったのか?作んねぇとああいうの思いつかねぇと思うんだけど。
エースは、プチシューを食べながら言った。
麗奈:実際に作ったのはジェイド先輩や他の寮生なの
ルーク:麗奈くんのアイデアを採用してくれるアズールくんの器量の大きさには感謝だね
エース)麗奈に甘いのか、あるいは麗奈に才能があるかだな。
エースは、クスクス笑った。そして、スマホを見る。
エース)ジャミル先輩、何も反応ねぇな。もしかして、気絶してんのか?
エース)おっ!反応来た。って、どこにいるかって・・・ん~、あっ!そうだ。、今日キルティ先輩休みだから、麗奈を守れるように一緒にサイエンス部にいますっと。
エースは最もらしいわけを書いて、ジャミルに返信した。
ジャック)デュース、来ねぇな。
その頃、ジャックもデュースが来ないことを不審に思い、連絡した。
ジャック)デュース、部活の開始時間、とっくに過ぎてるぞ。これで連絡くるよな。
ジャックはそう言って、送信した。
ジャミル:サイエンス部? 珍しいな。どうせ、ちゃっかり何かもらってるんだろう?(返信)
デュース:あ、ジャックからだ。実は今日はルーク先輩に誘われてサイエンス部に来ているんだ(こちらは正直に)
エース)お茶会に参加してます。
エースは、そこは素直に返信した。
ジャック)珍しいな。部活は来るのか?送信っと。
ジャックは驚きながらも、返事を返した。
ジャミル:やっぱり。ちなみに聞くが、ハーツラビュルのお茶会と比べると、地味か?(返信)
デュース:食い終わったら行く。ルーク先輩とトレイ先輩、すっげぇうまいものいっぱい作ってくれて活力が漲ってる(返信)
エース)う~ん、ケーキとかはいっぱい出てこないんで、豪華さは違いますね。でも、楽しいですよ。それに、ここなら一口目にタルトを食べても何も言われないし。
エースはニヤニヤ笑いながらジャミルに返信した。
ジャック)そうか、じゃあ待ってるぞ。
ジャックはそう返し、再び走り始めた。
エース)確かにアフタヌーンティーです。あと一口サイズじゃなくて、一口目です。俺の所は、タルトの一口目は女王って決まってるんで。
エースは、楽しそうに返事を返していた。
ジャミル:(なるほど、アフタヌーンティーか。今、マジカメでも女性に大人気だとか映えるとかか…だが、女性のイメージが強いんだな、これが)
エース)じゃあ、こういうのって玉にするんですね。
エースは、様子を動画にとってジャミルに送った。その動画には、少しだが虫が映ってる所もあった。
エース)さっきはチョコだったけど、本物だったら、発狂するだろ。
エースはニヤニヤしながら、アフタヌーンティーの風景と書いて、映像を添付した。
エース)初めて見た時、「むっ!」って言って仰け反ってたからなぁ。
エースは、思い出しながら言った。そして、ジャミルの返信をワクワクしながら待っていた。
エース)気絶して、暫く来なかったりして・・・
エースはニヤニヤしていた。
エース)ちょっ!
エースはかなり焦っていた。
エース)ジャミル先輩、寮長に話してないよな?
エースは、ジャミルから返事が来てるか確認した。幸い、あの映像を添付したメールの返信はまだ来ていない。
エース)ありがとうございます。
エースはホッとした。そして、デュースが出ていったのを見て
エース)真面目だよなぁ。じゃあ、ここからは、俺が麗奈を守るからな。
エースは、麗奈に笑って言った。
エース)良かったなぁ、麗奈。
エースは、笑いながら言った。
その頃、セベクはミステリーショップで飲み物を買っていた。
セベク)キルティ様の好みの飲み物が残っていて良かった。
セベクは買った飲み物を見ながら言った。
エース)トレイ先輩、麗奈に何の魔法掛けたんですか?
エースはこっそり聞いた。
セベク)リリア様、お疲れ様です。はい、先程終わりました。
エース)俺は麗奈とデュースと出かけた時に、デュースとDUO魔法で麗奈のブレスレットにこっそり魔法掛けましたよ。
エースは、悪い顔で言った。
セベク)リリア様、あまり海の生物はやめておきませんか?キルティ様は、海を怖がってるんですよ。
セベクはそう言いながらも、チラッとぬいぐるみを見た。ペンギンやイルカといった可愛いぬいぐるみも売っている。そして、セベクはキルティがそれを嬉しそうに抱き締めている姿を想像してしまった。
セベク)サメより、こっちの可愛いぬいぐるみの方がまだ大丈夫かもしれませんし、こっちにしませんか?
セベクは、イルカとペンギンのぬいぐるみをリリアに見せた。
エース)本人には気づかれない魔法も付与したので、心配ないですよ。そのあたりは出かける前にデュースとめちゃくちゃ確認したので。失敗してません。
エースは、ニヤッと笑った。
セベク)キルティ様は、可愛いものが好きですし、人形作りが趣味です。たまには買ったぬいぐるみもと思っただけです。ただ、サメはちょっと・・・リリア様が選んだ物を悪くは言いたくないですが、このサメ、目がちょっと怖いですよ。
セベクの言う通り、サメの目はギラついており、今にも獲物に噛み付こうとしているように見える。キルティは前に水槽に引きずり込まれた事もあり、あれからかなり経つが、バイト中、あまり水槽にも近づいていないのだ。未だに恐怖が残っており、癒えていないのだ。
ルーク:トレイくん、終わったよ
トレイ:じゃあ解散だ
麗奈:お疲れ様でした
リリア:ふむ、言われてみれば…これは過激じゃったの。このフレグランスもいい香りじゃ(レモンの香り)
エース)またな、麗奈。
エースは手を振った。
セベク)いいかもしれません。それにしましょう。僕はイルカとペンギンのぬいぐるみ買います。
マレウス)お帰り。
マレウスは、麗奈に微笑んだ。しかし、その微笑みはとても妖艶で見惚れるほど美しかった。マレウスは早くに帰り、既に寮服にも着替えて玉座に座ってゆっくりしていた。
セベク)はい!
セベクは、ぬいぐるみを渡すと、入り口で待った。
マレウス)お疲れ様。皆揃ったら、キルティを起こしに行こう。
マレウスは、麗奈にそう言った。
セベク)はい!
セベクは、そう言ってリリアと寮へ向かった。
セベク)ただいま戻りました。
セベクも笑顔で戻ってきた。
マレウス)お帰り、あとはシルバーだけだな。
セベク)シルバーなら、リドル先輩と片付けをしてから帰ると言っていたので、そろそろ帰ってくると思います。
マレウス)シルバーも戻ったな。全員寮服に着替えてから、キルティを起こしに行こう。
マレウスはそう言った。
セベク)分かりました。直ぐに着替えてきます。
セベクは、急いで部屋へと戻っていった。
セベク)若様、お待たせしました。
セベクもやって来た。
マレウス)来たな、行こう。
マレウスは、4人を連れてキルティの部屋に向かった。
その頃、キルティは
キルティ)すー
静かに眠っていた。今朝よりかは顔色は少しだけ良くなっている。本来なら、もう少し良くなるのだが、昼間にあれだけ暴れれば、回復が遅れてもおかしくはない。
マレウス)寝てるが疲れた顔をしているな。昼間のことが関係してるのだろう。
マレウスはキルティの様子を見ながら言った。
セベク)ここまで眠っていると言うことは、昨夜、一睡もしてないことが証明されましたね。
マレウス)だが、真実だけは話してくれない。問いただせば、逃げるし、はぐらかす。どうすればいいだろう?キルティは、僕らが何かを聞こうとしていると分かっている。なら他の者のユニーク魔法で話させようとすれば、必ず構える。こういう時のキルティは全く隙がないから、追い詰めて、魔法をかけることも出来ない。
マレウス)いや、確実に構えるだろう。それに、話したくないことを無理矢理聞き出す真似も僕はしたくない。
セベク)今のところ、方法は、自ら話してくれるのを待つしかありません。
セベクは、キルティの様子を見ながら言った。
マレウス)そうだな。
セベク)これだけでも置いときますか?
セベクはリリアに買ってもらったイルカとペンギンのぬいぐるみを見せた。
セベク)ミステリーショップで見つけてきた。キルティ様は人形やぬいぐるみが好きだからな。可愛い物がたまたま売っていた。
セベクは、イルカとペンギンのぬいぐるみを枕元に置いた。
マレウス)キルティ用の菓子は起きたら食わせればいいな。
キルティ)ん・・・?
キルティは、ようやく目を覚まし、起き上がった。
キルティ)私、何して・・・
周りを見ると枕元にイルカとペンギンのぬいぐるみがあった。
キルティ)ぬいぐるみ?買ってないよね。可愛いけど・・・
キルティはイルカとペンギンをギュッと抱き締めた。そしてベッドから出て、部屋を出るときに周りを見た。
キルティ)何も起こらないよね?
キルティは昼間のことが、少しトラウマになったようだ。
キルティ)喉乾いたし、お腹もすいた。何か食べる物と飲み物・・・
キルティは、疲れが未だに取れておらず、少しフラフラしていた。
その頃、談話室では
マレウス)今日、アーシェングロットに会ったものはいるか?
マレウスは、リリア達に聞いた。
セベク)僕は会っていません。
マレウス)僕も会わなかったとなると、マズイな。
マレウスは、そう言った。すると、寮の外から大人数の足音が聞こえた。
マレウス)やはり来たか。
マレウスは、ため息をついた。そして、扉を乱暴に開けられると怒りをあらわにした、他寮の者がいた。オクタヴィネル寮の者達だ。アズールも不満そうな顔をしている。
アズール)マレウスさん、今直ぐにお会いしたい方がいます。
マレウス)おや、誰だ。
その時、談話室の部屋の扉が開き、キルティが入ってきた。
キルティ)あ、皆帰って来てたんだ。
アズール)キルティさん・・・!
アズールがそういった途端、オクタヴィネル寮の1人がキルティを壁に叩きつけ、そのまま首を絞め上げた。
キルティ)ぐっ!かはっ!
フロイド:あ、小エビちゃん!(フロイドは気が変わって麗奈に近づき)
リリア:フロイド、いかんぞ
シルバー:キルティ様!?(モブを引き剥がし)
麗奈:うわー! なんかカオス!?
モブ)お前!約束すっぽかしただろ!俺等、モストロ・ラウンジの開店時間、ギリギリまで待ってたんだぞ。
モブはキルティの首を絞めながら言った。キルティは、手をどけようとしたが、寝起きで、体力もそこまで回復していないキルティには、そこまでの力は出なかった。
キルティ)あぐっ!
モブ)おら!言い訳あんのか?言ってみろよ!
モブは、更に首を絞めた。
キルティ)いぎっ!ガハッ!ヴぇぇ・・・(今日、呼吸しにくくなるの、何回目)←3回目
キルティは、苦しそうに呻き声を出していた。
シルバー:おいやめろ! キルティ様はまだ病み上がりだ!(モブの顔を掴んで引き剥がし)
ジェイド:みなさん、落ち着いて!
フロイド:小エビちゃ~ん、バイトに来て~
麗奈:近いうちに行きますからっ
モブ)おいっ!離せ!
ドサッ
キルティ)ゲホゲホッ!
キルティは、首を開放されて咳き込んだ。
アズール)全員、静かにしてください!
アズールがそう言うと、辺りがしんと静まり返った。そして、アズールはキルティに近づき
アズール)キルティさん、今日どうしてローラーブレードの講師をしなかったのか、教えてください。
キルティ)えっと・・・昨日、夜更・・・ハァハァ・・・かし・・・しちゃ・・・って・・・寝不・・・ハァハァ・・・足・・・
キルティは、さっき首を絞められたことがかなりダメージになったようで、アズールはあまり聞き取れなかった。
アズール)すみません、別の人に聞きます。
アズールはそう言って、シルバーを見た。
アズール)シルバーさん、キルティさんが病み上がりとはどういうことでしょう?
シルバー:キルティ様は疲労が溜まっていて、今日は休ませたんだ。伝えるのを忘れて悪かった
ジェイド:おや、キルティさんは今日はおやすみでしたか
マレウス)朝から顔色も悪く、足元も覚束なかったからな。クマもあった。皆に、アズールに会ったら、今日はキルティが講師が出来ないことを伝えるよう言ったのだが、運悪く皆会わなかったのか。
マレウスは、少し目を伏せた。すると、キルティは少しずつ呼吸が整い、マレウスにこう言った。
キルティ)だからって、朝も昼もあんな止め方普通しますか?朝は、魔法の掛かったキャンディ無理矢理食べさせて、昼間は気絶するまで締め上げられて・・・下手したら骨折れてますよ。無茶苦茶痛かったんですから。
キルティ)護衛じゃない、側近だ。
キルティはきっぱりと言った。するとアズールは
アズール)事情は分かりました。今回はキルティさんに非はありません。今後は僕から聞くようにします。なので、キルティさんも自分を責めないでください。
キルティ)ありがとう。ちなみにこれ、渡しておくよ。
キルティは、同じタイトルの本を数冊アズールに渡した。
アズール)これは・・・?
キルティ)1人でも出来るローラーブレードの乗りこなし方が書いてある。今日動くのが厳しかったら、ここに書いてあること教えようと思ってたから。私だって不測の事態にちゃんと備えてるんだから。これも同じく1週間書いてあること練習すれば、人並みに乗りこなせると思うよ。運動神経の良さも、関係すると思うけどね。フロイドみたいにさ。
キルティはフロイドを見ながら言った。
キルティ)私から見ても、フロイドはとても筋が良かった。彼なら、5日・・・いや、3日で出来るかもね。
キルティは笑った。
アズール)確かに、あいつなら可能かもしれない。
フロイド:えへへ、頑張るね~
麗奈:そうだわ、アズール先輩。これを渡しておきます(レシピの資料)
ジェイド:おや、これは…海をテーマにしたアフタヌーンティーじゃないですか?
フロイド:こっちはハートにトランプ、ハーツラビュルみたいだね
アズール)わざわざ考えてくださってありがとうございます。次のバイトの給料は弾ませていただきますね。これはデザートのメニューに採用しましょう。ジェイド、フロイド、帰ったら早速材料を発注しますよ。では、失礼します。
アズールは、全員を連れて、ディアソムニア寮を後にした。キルティは、
キルティ)散々な目にあったわ。
と言って、立ち上がった。
マレウス)キルティ、トレイからケーキをもらった。食べるか?
キルティ)はい、是非。
マレウス)分かった。シルバー、セベク、お茶の準備を頼む。
セベク)はい、若様。
フロイド:小エビちゃん、ありがとうね~
ジェイド:キルティさんも、ゆっくりお休みください。では
シルバー:はい(ケーキを準備して)
セベク)紅茶の準備が出来ました。
セベクが紅茶のセットを台に乗せて持ってきた。
キルティ)色々あるね。
マレウス)クローバーに頼んだら、いくつかくれたのだ。キルティはこういうのが好きだろう?
マレウス)ミステリーショップで買うよりはトレイの菓子のほうが喜ぶと喜ぶと思ったからな。
マレウスは、チーズケーキを手に取ると、フォークで切ると、刺してキルティに
マレウス)ほら、食べさせてやるから、口を開けろ。
と、優しくも妖艶な瞳でキルティを見つめた。キルティは思わず見惚れそうになったが、言われた通り、口を開けた。そして、チーズケーキを食べる。
キルティ)美味しいです。
マレウス)そうか、まぁ、無理矢理キャンデイを食べさせるように、シルバーに指示したのも、体の力が抜けるよう、魔法を掛けたのも、寮から出ないよう影を用意したのも、この僕だからな。お詫びと思ってくれ。
キルティ)笑顔で言うと、全く悪いと思ってないように見えるんですが・・・?本当に申し訳ないと思ってます?
マレウス)いや、全く。
マレウスは、ちっとも悪びれもせず言った。
キルティ)ま、まぁ、(大半、暴れたせいで)疲れてるので、食べさせてもらえるのはありがたいので、いただきます。
キルティはそう言って、マレウスにケーキを食べさせてもらった。
キルティ)ありがとう、シルバー。明日は行く気でいるから、心配しないで。
キルティは、笑った。しかし、マレウスが
マレウス)明日も今日みたいに顔色が悪く、フラついて、足元が覚束なかったら、問答無用で休ませるからな。
マレウスは、不敵に笑った。
キルティ)は、はい・・・
キルティは、そう言って、食べさせてもらっていた。
キルティ)あんな乱暴しないなら、私だって大人しく寮で休みますよ。
キルティは、ため息をついて言った。しかし
マレウス)今朝、はぐらかして無理に学校に言ったのはどの寮生だろうなぁ?
と言うと
キルティ)えっと・・・誰でしたっけ?
キルティは目をそらした。するとマレウスがものすごい形相でキルティを見た。
マレウス)僕に嘘が通用すると思ってるのか?
その顔に、思わずそこにいたセベク達は息を飲んだ。
キルティ)うおっ!
マレウス)安心しろ、側近のしつけだ。
マレウスは笑った。マレウスが本気で怒った場合は、遠くで雷がゴロゴロなったり落ちたりする。現在空は何ともない。綺麗な星空だ。
マレウス)キルティは、まだ食べたいか?
キルティ)いえ、残りはまた明日食べます。なので、大丈夫です。
キルティは笑った。マレウスはキルティの顔色を見て
マレウス)確かに、朝よりかは良くなっているな。
と言った。そして
マレウス)僕達も部屋に戻ろう。
マレウスはそう言って、談話室を後にし、キルティもそれに続いた。
セベク)おやすみなさい。
マレウス)皆、おやすみ。
キルティ)おやすみなさい。
全員、部屋に戻った。
キルティ)今日も外に出たいけど、マレウス様が、既に魔法を解いているとも思えない。今日は大人しく寝るか。
キルティは、溜息をついてベッドに入ると、直ぐに眠りについた。
マレウス)心配するな。僕だってマスターシェフをしている。それに、キルティから、1番美味しいココアの淹れ方を教わったんだ。今まで、教えてくれなかったのだが、突然教えると言い出してな。メモも、ちゃんとあるから心配するな。
マレウスは麗奈の手を引きながら言った。
マレウスは麗奈を連れて、厨房に向かった。そして、キルティのココアのレシピを見ると、殆どは魔法で済ませ、簡単な所だけ手を使った。そして、麗奈に手渡す。
マレウス)火傷しなかっただろう?
マレウスは、得意気に言った。
マレウス)キルティの両親が考えたココアだからな。眠れない日はこれを飲むらしい。
マレウスも一口飲んだ。
マレウス)優しい味だ。
マレウス)眠くなってきたか。少し待っててくれるか?
マレウスは麗奈からマグカップを受け取ると、直ぐに洗い片付けた。そして
マレウス)人の子、僕を見てくれるか?
マレウスは麗奈を抱きかかえ、自分の部屋に連れて行った。そして、ベッドに寝かせる。頭を撫でながら
マレウス)人の子、必ずお前を僕の姫にする。ずっと僕だけの物だ。
マレウスは、そう言って自分も寝巻きに着替えるとベッドに潜り
マレウス)おやすみ、人の子。
と、優しく麗奈に言い、目を閉じた。
マレウス)昨日、僕とココアを飲んだろう?洗っている間に椅子に座って、バランスを上手く保って寝ていたぞ。思わず器用だなと言ってしまったくらいだ。(嘘)
マレウスは、フッと笑った。
マレウス)ああ、また後で。
マレウスは、そう言って魔法で扉を開けた。
その頃セベクは、既に支度を済ませ、シルバーを起こしに行くところだった。
セベク)全く目覚ましぐらいかけたらどうなんだ。
セベクはそう言いながらシルバーの部屋のドアをノックした。
セベク)シルバー、朝だぞ!
同時刻、キルティは
キルティ)う~・・・
まだ疲れが残っていて、中々起きれずにいた。
キルティ)(今日こそは、学校行かないと。でも、ここにいても、呼びに来るし・・・全て魔法で済ませて、外に出よう)
キルティは身支度を魔法で済ませ、そのまま移動魔法を使い、学校の中庭に着いた。
キルティ)よし、教室向かおうっと。
キルティは少しフラついていたが、昨日ほどではなかった。
セベク)シルバー?どうした!
セベクは妙な声が聞こえて扉を開けた。そして、シルバーに駆け寄る。
セベク)シルバー、何かあったのか?
セベク)全く貴様は・・・とにかく冷やすぞ。
セベクは、そう言ってシルバーに肩を貸して厨房へ連れていき、氷を袋に入れるとシルバーに渡した。
セベク)これで冷やしておけ。
セベク)貴様を起こしてから、向かう所だった。だが、貴様は今冷やすので手は使えないだろう。僕が朝食を作るから、貴様が若様を起こしに行ってくれ!
中の人)青森で震度4の地震が日中あったんだって、津波も出てたから、地震も起こってると思った。
マレウス)シルバー、今出る。
マレウスは、そう言って部屋を出た。そして、シルバーが氷を頭に充ててるのを見て
マレウス)熱でもあるのか?
と、聞いた。
マレウス)これくらいなら・・・
マレウスは、魔法でシルバーの傷を治した。
マレウス)治ったぞ。
マレウスはシルバーに微笑んだ。
セベク)シルバー、遅いな。まさかまた寝てるんじゃ・・・
マレウス)皆、おはよう。
マレウスは、セベク達に声をかけた。後ろにシルバーもいる。
セベク)若様、おはようございます。シルバー、道中、寝ていないだろうな。
シルバー:そんな器用なことするか。確かにさっきはまだ完全に目が覚めてなくてぶつかったが…
麗奈:おはようございます。アールグレイの紅茶が入ってます
セベク)そう言いながら、前は紅茶を入れながら眠っていたではないか?というか、さっきよりも腫れが引いているように見えるんだが?
セベクはおでこを見て言った。確かに冷やしたが、腫れがすぐに引くとは考えにくいのだ。
マレウス)ありがとう、人の子。キルティは今日も休んでいるのかもしれないな。
その頃
キルティ)何とか抜けられた。マレウス様が朝まで、あの魔法かけてなくて助かったよ。
キルティは、少しフラつきながら温室を歩いていた。
キルティ)(レオナや獣人以外もここで、寝る人結構いるんだよなぁ。私もちょっと眠らせてもらおう)
キルティは人一人寝転がれるスペースを見つけ、そこに横になると、目を閉じ、眠りについた。
マレウス)真夜中の紅茶か・・・いい響きだな。
マレウスがそう言うと、外で鳥が鳴いた。
マレウス)今は朝だが・・・
と、マレウスはフフッと笑った。
マレウス)行く前にキルティに声だけは掛けて行こう。心配させるのは悪いからな。
セベク)そうですね。この様子だと、きっと今日も休むと思います。
マレウス達はそう言っていたが、キルティは既に寮にいない。とっくに学校にいるのだ。今は温室で眠っていた。未だに少し顔色が悪かった。しかし、ぱっと見では分からない。
キルティ)すぅすぅ
マレウス達は、朝食を食べ終え、キルティの部屋に向かった。声を掛けても返事が無いので、部屋の扉を開けると、既にキルティはいなかったのだ。だから、リリアとシルバーは驚いていたのだ。
マレウス)夜中に影を解除したのは間違いだったな。
マレウスも目を伏せて言った。
セベク)キルティ様、最近学校に行くことに必死になっているように見えます。
セベクは、キルティの最近の様子を思い出しながら言った。
セベク)(シルバーの言っていた人間に取り憑いたゴーストが関連しているのかもしれない。だけど、聞こうとすれば、はぐらかす。聞き出すユニーク魔法を使うことが出来る者には、自然体を装いながらも構えるかもしれない。隙をつくことが出来ればいいが、あのキルティ様が隙を作るとも思えない)
セベクは1人で考えを巡らせていた。
マレウス)もう一度、シルバーを向かわせてもいいが、余計に警戒するだろうし、だからと言って、無茶をさせるわけにもいかない・・・
マレウスは方法が思いつかずにいた。
その頃、温室で休んでいるキルティの近くにサバナクロー寮生が現れた。
モブ)あいつ、こんな所で休むなんて珍しい・・・
サバナクロー寮生はキルティを見つけて、少し驚いていた。
モブ)(つか、前から思ってたけど、美形だよなぁ。まつ毛なげーし、肌も綺麗で・・・妖精族って皆そうなのか?)
サバナクロー寮生は、少し見惚れていた。
キルティ)ん~
キルティは、鼻をつかれて嫌だったのか寝返りをうつと同時に顔を背け、そして寝言で
キルティ)エクレア・・・
と、言ってしまった。キルティの昔からの癖だ。寝言が、甘いお菓子ばかりなのだ。
モブ)何言ってんだ、こいつ?
モブは急な寝言に首を傾げた。
キルティ)すぅすぅ
キルティはレオナ達がいる事に全く気付かず眠っている。
モブ)気付きませんね。気配とか感じたら気付きそうなもんなのに。寮長がちょっかい出しても起きませんでしたし。
モブ)こいつ、こんなに寝るやつだったか?あのシルバーってやつの方が寝てるイメージあるんだが・・・
キルティは急に呼吸がしづらくなり
キルティ)ん、うぅ~~~
キルティは少し呻き薄く目を開けるとレオナが目に入った。キルティは驚き
キルティ)へあっ!
と、飛び起きた。
キルティ)レオナ以外も、ここでたまに眠ってる者がいるから、自分も試してみたんだよ。気温なども魔法で調節されてるから、随分寝心地が良かったよ。皆が眠ってしまうのも頷ける。あと、そんな珍しいか?
モブ)いやだって、寝てる所なんてそうそう見ねぇし。
キルティ)お前、妖精が眠らない存在だとでも思ってるの?普通に寝るぞ。
キルティ)心配はいらない。優秀な護衛がそばにいてくれている。
キルティはそう言った。そして、それは当たっている。現在、マレウス達はセベク達と一緒にキルティを探している。先ほどから、セベクの声が聞こえてきて、その声は少しずつ大きくなっているのだ。つまり、近づいてきているということだ。
キルティ)ここにいると、見つかるから、失礼するよ。また、授業のときにね。
キルティはそう言って、その場を走り去った。しかし、まだ少し足は覚束なかった。
モブ)なぁ、あの先輩さ、今足覚束なかったように見えなかったか?
モブ)だよな。寝起きでもあそこまでフラフラしねぇし、不自然っぽかった。
ルチウス:オ゛ア(またな~と尻尾を振ってトレインのところにいき)
デュース:おはよう、麗奈
麗奈:おはよう~。朝からトレイン先生の授業、退屈だね~
キルティは朝から錬金術で、白衣に着替え始めた。
キルティ)今日は、リドルとジェイドのクラスと合同か。
キルティはクラスを見て呟き、安全メガネを 着けると教室に入った。
エース)してもいいけど、補習になるぞ。部活動行けなくなんぞ。
エースは、アドバイスした。しかし、補習が、嫌なのか顔が嫌そうな顔をしていた。
ケイト)おはよー、キルティちゃん。回復したんだね。
キルティ)おはよう、心配かけたね。
キルティはケイトに手を振って言った。
ルチウス:オ゛ア
麗奈:あ、ルチウス、おはよう
トレイン:授業を始める、教科書を開きなさい
イデア:はぁ、朝からバルガス氏の体育育成ツラ…
ケイト)でも、集中してたら、話しかけないでって言って、成功させてるよね。(ゲームでイデアのSRの実験着ボイスがそうだった)
キルティ)確かに、流石は天才だな。
キルティ)相変わらずだなぁ。そんなことしてたら、人の子とオルトが、もっと仲良くなってお前に付き合わなくなるかもしれないよ。
キルティは、ニヤッと笑った。
イデア:キルティ氏、ああいうのは秒殺なの。例え並んだとしても売り切れるのが関の山。だからネット使って秒で手に入れた方が早い
ルチウス:オ゛ア…(早速麗奈の膝にすわって)
麗奈:…(ルチウスが見てるから落書きできない)
キルティ)なるほど。じゃあ、人の子が一緒に外に出かけたいと言った時はどうする?
キルティはニヤニヤしながら聞いた。
エース)(ルチウス、懐いてるんじゃなくて、最近麗奈のサボりが目に余るから、監視してんじゃ・・・)
エースは、ルチウスを見ながら思った。
イデア:代わりにオルトを連れていかせるよ
ルチウス:オ゛アァァ~
麗奈:何? 撫でろって?(顔撫でて)
ルチウス:ゴロゴロ
キルティ)ないと思うけど、人の子がゲームが売ってるところや、ゲームセンターに行こうと言ってきたら?
キルティは、イデアの好きそうな物をチョイスして、質問した。
エース)おかげで、集中出来るからいいけど。
イデア:麗奈がゲーセン? まあ、好きそうではある。拙者もゲーセンは好きだから、麗奈氏が行くなら、全力で
麗奈:(落書きして)
ルチウス:…zzz
キルティ)好きなものなら、外に出るんだな。
キルティは、フッと笑った。
ケイト)まぁ、けーくんもマジカメ映えする所は行くよ。
イデア:そういや、ちまたではアフタヌーンティーが流行ってるみたいだね。その月限定のスイーツやらなんやらで女子ウケ間違いなしとか
ケイト)そういう場所には、トレイ君連れてって、写真撮った後はスイーツ食べて貰ってるよ。俺、甘い物食えないから。
ケイトは、呑気にそう答えた。
キルティ)甘さが控えめなものは食べれるんだっけ?前に、軽音部を見かけた時、普通に菓子を食べてる所を見たんだ。ケイトが甘さ控えめだから、俺でも食べれるーって言ってた。
キルティは、ケイトを少し真似て言った。意外と似ている。
キルティ)なぜ、コスプレしない?あんなにもコレクションを集めているのなら、コスプレの一つや二つ持っていても不思議ではないのに。
キルティ)そうだな。将来魔女みたいな家に住んで、薬品などを作る生活を送りたいと言っていたから、魔女になりたいんじゃないのか?あと、話を逸らしたつもりか?私はイデアに何故コスプレしないのか聞いているんだ。
キルティはきっぱり言った。
キルティ)そうか?・・・
キルティがそう言うと、
ドッカーン
錬金術に失敗したモブ寮生が爆発を起こした。
クルーウェル)バッドボーイ!
クルーウェルは、怒って、生徒の方へ向かった。キルティはその様子を見て
キルティ)これが、ジャミルのドッカーン?(違います)
と、勘違いしていた。
ケイト)イデアくん、キルティちゃん勘違いしてるだけだよ。ほら、ジャミルくんのあの爆発みたいな魔法あるでしょ?それと実験失敗の爆発を間違えてるんだよ。どっかズレてるよね。
キルティは、爆発後の様子を見て
キルティ)ようやく理解出来たよ
と、満足していた。しかし、その理解は間違っている。
ケイト)俺も提出しようっと。
ケイトもレポートを書き終わり、提出しに行った。キルティは当然、すでに終わっている。
キルティ)片付けに入るか。
キルティ)大丈夫だ。落としそうになっても・・・
キルティはそう言って、空になった瓶から手を離した。そして、直ぐに魔法を使うと瓶は中を浮き、
キルティ)こうすれば問題ない。複数であろうとそれは変わらない。
キルティは、そう言って、瓶をテーブルに置いた。
キルティ)さて、昼だが・・・
キルティは、気が進まなかった。食堂に行けば、必ずマレウス達に会うと思ったからだ。
キルティ)(ミステリーショップで買うか。でも、道中や、ミステリーショップで鉢合わせしたくないから、いないのを確認してから買おう・・・)
キルティはそう思い、白衣と安全メガネを外し始めた。
麗奈:はぁ、終わった~
ルチウス:オ゛アァァァァ…(なかなか降りない)
トレイン:ルチウス、帰るよ(麗奈の膝から抱っこして)
デュース:制服、毛だらけだな
エース)トレイン先生、これミステリーショップに売ってるんですか?
エースは、トレインに聞いた。
キルティは、人目を避けてミステリーショップに向かっていた。なので、人通りの少ない道を選んで通った。
キルティ)(この道は、本当に人通りが少ないな。ここを通れば、ミステリーショップに着くぞ)
キルティはそう思い、薄暗い道を通ると、ミステリーショップにすぐ着いた。
キルティ)サムさん、こんにちは。
エース)じゃあ、麓の街行かないと、手に入んねぇんだ。
エースは、ブラシを見ながら言った。
キルティ)今日は、ここで買おうと思ってね。
キルティはそう言って、食べる物を探した。
キルティ)フルーツサンドと、オレンジジュース、あと、小分けのドーナツ1個食べよう。よし、これちょうだい!
ルチウス:…オ゛ア…(腹減った)
トレイン:ああ、すまないね。では、また次の授業で
麗奈:はーい
デュース:麗奈、ノートに落書きしていたな?
麗奈:えー?なんの話?(すっとぼけ)
サム:オーケー(ドーナツやジュースを渡して)
麗奈:し、してた…
デュース:先生に見つかったら怒られるぞ
麗奈:ルチウスで丸め込める
デュース:どうやって? 丸め込むというよりか、買収でもするのか?
サム:気をつけて持っていってね
エース)つか、ルチウスがただで麗奈を助けるか?気に入ってるから、そばにいるだけだし。
エースは、頭を掻いて言った。
キルティ)ありがとう。
キルティは、買った袋を持って、移動魔法で木の上にのった。
キルティ)この木、いい具合に全部隠れるから、存外見つからないんだよね。多分、セベク達は今も探してるだろうし、昼休みはここに隠れさせてもらおう。
キルティは、そう言って昼食を食べ始めた。
その頃、セベク達は
セベク)キルティ様ー、どこにおられますかー!
案の定、キルティを探していた。昼食はジャンボメンチカツサンドにして、少しずつ食べながら探している。マレウスは食堂で食べていたが、いつもなら、ゆっくり食べるがキルティを心配してるのかさっさと食べ終え、こちらも探していた。
マレウス)朝から姿が見えない。
マレウスは、キョロキョロ辺りを探していた。
エース)まぁ、バレなかったら、いいんじゃね。でも、ちゃんと聞いといた方がいいぞ。麗奈は俺らと違って、ここのこと、あまり知らねぇんだし、知っといた方が得だぜ。
エース)いや、移動魔法使ったんだろ。俺らは食堂で食ってようぜ。昼休みなくなったらまずいし。
エースは、麗奈にそう言った。
マレウスはミステリーショップのサムに声をかけた。
マレウス)キルティを見ていないか?
エース)なら、今回はラッキーかな。
エースは、ホッとした。
マレウス)そうか。
マレウスは、そう言ってミステリーショップを後にして、またキルティを探し始めた。その頃、キルティは昼食を食べ終えたが、木の上で身を隠していた。
エース)俺も。
エース達は運動着に着替える為に準備しだした。
マレウス)そろそろ昼休みが終わるな。仕方ない・・・放課後探すか。
マレウスは、1度探すのをやめ、午後の授業に向かった。同時刻セベクもキルティを探していたが、結局見つからず、諦めて授業へと向かった。その様子を木の上から眺めていたキルティは
キルティ)全員行ったっぽいな。私も行くか次は魔法史だったな。
キルティは木から降りて、自分も授業へと向かった。
ケイト)あれ、キルティちゃん。昼休み、いなかったけど、どうしたの?
キルティ)好きな場所で昼食取ってただけだ。
ケイト)そうなの?マレウス君たちが、ずっと探してたよ。
キルティ)そうか。まぁ、隠れてるからな。
キルティは困った顔を浮かべた。
キルティ)ちょっと訳があってね。悪いけど、私がどこにいるか聞かれたら、適当に嘘ついてくれるか?見つかると、強制的に帰らされると思うから。
キルティ)ルチウス、イデア達は駄目で、何で君には大丈夫だと思ったのかな?
キルティは動物言語で、ルチウスにそう言った。そして
キルティ)悪いけど、この事は誰にも言えないんだよ。種族関係なくね。だから、君にも言えないよ。
キルティは、そう言うと魔法で高級ツナ缶を出した。
キルティ)マレウス様達に、私のこと黙っててくれるなら、後でトレインにこれ渡すけど?
キルティは、ルチウスの前でツナ缶をちらつかせて言った。
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