裁縫道具と猫と…【〆】

　　三ツ谷 隆

おう！(　大きく頭を振るようにお辞儀をして持ち場に行く彼女は変わらずいつも通り元気そうだと思い、無意識に口角が上げては返事をして彼女を見送り。自分もそろそろ今している特服の手直しと部員達にアドバイスをして行った方がいいだろう。そう考えると自分の持ち場に行って作業を始め。暫くして作業が落ち着くと部員達の元に行ってはアドバイスをして回る。彼女の元へ足を運ぼうとした際に内容は聞こえなかったが自分の名前を言ったのは聞こえ。何を言ったか気になると、少し驚かせてしまうだろうなと思いつつも彼女の背後から顔を覗き込んで。　)俺がどうかした？


　　穂村 菜沙

それがまだ買いに行けてなくて…。(　彼の猫を撫でる手はとても優しく、猫は何処か嬉しそうにしていた。彼は不良だが優しいんだろうなと改めて考えると、何だか自分も嬉しくなって自然と笑みが溢れ。結局飯は、と彼から訊ねられると苦笑を浮かべてはまだ買いに行けてないと正直に答え。1人で徒歩で行くのは危ないかもしれないが、自分の自転車もあるから今から買いに行っても直ぐに帰って来れるだろう。何かあっても全速力でペダルを漕げば何とかなるはずだと呑気な事を考え。　)でも、自転車もあるから今から買いに行っても大丈夫かなって。