名無しの大樹 2021-07-20 20:12:35 |
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>灰谷 佑月
「あーあ、やっぱ逃げられちゃったか」
声を掛けたが、反応はない。唯一の手掛かりの血の匂いも消えて、誰かがいたであろう痕跡は無くなってしまった。あーあ、なんて息を吐くが、その顔に浮かべるのは笑顔で、捕まえられなかったことを後悔している様子はない。
森の動物が一匹狩られたようだが、仕方がない。それが食物連鎖というものだ。狩られたであろう名も知らぬ動物に心の中で手を合わせる。
「ん、誰かいんのかー?」
先程とは違う、気の抜けた声。知っている魔力が近づいて来るのに気付いて、古びた鳥居のしたで、月を背にして振り返る
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