NRC生徒 2021-07-11 23:26:44 |
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(ゆるやかな陽が雲間から差している放課後、購買部の前にて。枯れた大木の幹に背を預け、買ったばかりのカップタイプのベリージュースを「暇だな」などと思いながら黒いストローで飲んでいたところ、何やら購買部店内から賑やかな声が聞こえてきた。
「ツナ缶が売り切れだなんて信じられねーんだゾ!」「未来の大魔導士様への敬意が足りてねーんだゾ!」
……はてこの声は、確か特別入学した魔獣のネコによるものだったか。名前なんつったかな、憶えてねーや、と思いながら、手首に提げた半透明のレジ袋に入っている二つのツナ缶を見下ろす。これで最後だったらしい、心はさらさら痛まない。
そんなことを考えていると、やはり思い浮かべたとおりの灰色の魔獣を宥めながら、店の扉からひとりの少女が現れた。下ろした黒髪、NRCでは本来見かけないはずのスカート姿。こちらも名前は憶えていないが、その特異な肩書や数々のちょっとした騒動から少し注目していた相手だ。
これはいい暇潰しが見つかったかもしれないぞ、と笑みながら、左手のレジ袋の中身を背の低いグリムから見えやすい位置にしたまま、通り過ぎていこうとした彼女にのんびりと声をかけ。)
あれ、オンボロ寮のカントクセーじゃん。何、買いたいやつ売り切れてたの?
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