可愛いが好きなだけ

（クラスの視線がこちらに集中する中、居た堪れずに視線を落とした相手とは対照的にお構いなしに笑い続ける。ひとしきり笑ったあと、呼吸を整えながら「萩野ね、よろしく」と相手の目を見て。とりあえずシャーペンの礼を言ってから席を離れようと口を開きかけるが、その瞬間急に肩に人の重みを感じ。「なあ終わったら飯とゲーセン行こうぜー」なんて間延びした声が頭上から降ってくる。軽く振り返れば友人数人が立っていた。特に用事もなく、断る理由も見当たらない。「ん」と短く返事をしたあと、あ、と思いついたように声を上げ、さきほど散々笑い飛ばした相手を見て）
……そーだ、お前も来る？　飯食ってゲーセン行くだけだけど。