海辺のポスト 2021-05-24 23:36:07 |
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こんなはずじゃなかった。
こんなことのために、
僕は魔術を学んだわけじゃない。
今や魔法使いは戦争の道具だ。
意味もなく争う時代だ。
僕は守りたかった。
降り掛かる脅威のすべてから、
守り切れるものすべてを。
そのために数々の魔法を編み出した。
それをたくさんの人に伝えた。
人々は笑った。
だから、これでいいと思ってしまった。
気付いた時には僕の魔法は凶器になっていた。
周りは味方を守るために戦えと言うが、
こんなものは略奪と同じじゃないか。
絶対的な悪が、そこにあればまだ良かった。
けれど、これは、僕の守りたかったものたちが、
歪み、うねり、暴走して至った結末。
僕が生み出したものは、
魔法なんかじゃない。呪いだ。
負の感情は僕の魔力を増幅して、
多くのものを破壊した。
相次ぐ賞賛。英雄と呼ばれる日々。
今、僕の目には僕が、
まるで悪魔のように見えるんだ。
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