くたびれバーテンダー 2021-05-23 21:50:03 |
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で、オッサンはこの店、いつからやってんの?
(態度が悪いとは言え人並みに気は遣え世間話も出来るため、ひとまずありきたりな話題を振って彼の話を酒のつまみにしようと)
そうですね…かれこれ5年ほど前から、でしょうか。常連さんが時折来る程度ですよ。
(ほんの少し考え込むような仕草を見せた後、自嘲を含んでいるような言葉を返し)
へーえ。じゃあ今日俺みたいなのが来て、相当嬉しかったでしょ。
(自分から尋ねた割に淡白な相槌を打てば、自信満々に意地悪な笑みを浮かべ生意気な口をきいて)
確かに…若い方は滅多にいらっしゃいませんね。常連さんは大抵、私と同年代程度の方ですから。
(特にその言葉を気にする様子もなくまた静かに微笑みながら相手の方を見つめ)
……オッサンいくつ?
(相手が同性であるからまだ許容範囲かもしれないが、純粋に気になったため訝しげな表情でデリカシーの欠片もない質問を)
うん、まぁ。現場にアンタより歳上のオッサンなんていっぱいいるから、特に気になんないけどね。
(父親と同年代だと分かれば特段驚いた様子もなく、仕事で普段から歳上と接する機会が多い事を仄めかして)
おや、そうですか?
(少し意外そうな表情を見せるがすぐに笑顔に戻り、「現場…と言いますと、ドラマなどのですか?」と問いかけ)
そ、てか今日も撮影でこっち来た。
(グラスを置き目を伏せ小さく伸びをすれば、相手の正直な印象を歯に衣着せぬ物言いで)
アンタ、最近のドラマとか全然分かんなさそう。
ドラマ…ええ、あまり分かりませんね。辛うじて分かったとしても、お客様にしてみれば昔のものでしょうから。
(苦笑しつつ首を縦に振り、ふと時計を見やって「…おや。もうこんな時間ですか…こちらに泊まりでいらしているのでは無いなら、終電が無くなってしまいますよ。」と促し)
えー、流行に敏感になんないとモテないって。
(けらりと笑いながら余計な世話を焼いて、随分と歳下のくせにどこか先輩風を吹かし。丁度最後の一口でグラスが空いた頃、終電の存在を思い出せば気怠そうに「あぁ」と一言。酒も入っているため極力動きたくないが仕方ないと席を立って、財布から札を取り出しカウンターに置いて。去り際に思いついたように再度相手に近付けば「あのさ、テレビ興味ないのは良いけど、俺のこと知らないとかオッサンこの先恥ずかしい思いするかもよ。"一条湊”って、調べてみたら?」挑戦的な表情を浮かべ彼にしか聞こえない声で囁いて)
じゃあ帰るわ、今夜はどうも。
(/失礼します、この日はこのまま別れる流れで進めておりますが大丈夫でしょうか?その場合再会の場面などご希望を教えて頂きたく…。)
(この日はその流れで大丈夫です。
次回はまた来店して酔い潰れた一条様を秋山がちょうど電話してきたマネージャーさんに連絡して迎えに来てもらう…といった形を想定しております。)
ふふ、流石にこの歳になって女性にアプローチする気はありませんよ。
(静かに微笑み、首を左右に振り。「一条湊様、ですか。ええ、調べておきますね。」相手の挑戦的な態度を受け流すかのように恭しい態度で返答を返し、「ありがとうございました。よろしければまたお越し下さい。」バーの扉が閉まってベルが鳴るまでの間頭を下げて)
(/了解致しました!それでは出会いから約一週間後の同じ時間帯に来店させますので、宜しくお願いします。絡み文はこちらから出させて頂きましたが何かございましたら遠慮なく。)
(初来店から一週間後、相変わらず撮影地から近い例の店へ仕事を終えてすぐに向かう。今夜はあからさまに不機嫌な表情を浮かべながら荒々しくバーの扉を開いてズンズンと奥へ進み。前回と同じカウンター席に許可なく座れば足を組んで、怒気を孕んだ声色で注文を)
この店でいっちばん強い酒!出して。
いらっしゃいま…おや、一条様。随分とお荒れですね。
(穏やかな微笑みを向けようとするが態度を見るなり少し驚いたような表情を見せて。だが注文には「かしこまりました。」と恭しく答え)
(ありがとうございます。)
(自然と自分の名前を呼ばれれば、先日別れた後律儀に調べでもしてくれたのかと頭の片隅で思いつつ「……うるさいな、俺は仕事で疲れてんの」口をついて出たのは反抗期の子供のような八つ当たり。はぁ、と溜息を吐いてお酒が出来るのを待ち)
…そうでしたか。それは失礼しました。
(理不尽な怒りを気に留めるでもなく律儀に頭を下げ、謝意を述べて。「…ご注文の品です。あまり無理をなさらないように。」ウォッカが氷を落としただけのロックで注がれたグラスを置き)
子供扱いすんな、これぐらい余裕。
(注文の品が届くなり即座にグラスを手にして臆面もなく酒を呷り。一口、二口と喉を通ったところで案の定咽せ返るが、相変わらず仏頂面のまま手の甲で口元を拭い少しだけ落ち着いた様子で)
そうでしたか。
(いつも通りの静かな微笑みに戻り、手元はグラスを磨きながら「お疲れですね。どうかなさいましたか?」と首を傾げ)
オッサンさ、余計な世話焼くと女に嫌われるよ。
(物腰穏やかな相手にツンとした態度で反発するが、皮肉を言った割には少しの沈黙の後口を開いてぽつりと仕事の愚痴を溢し。ばつの悪さから視線は手元のグラスに注いだまま)
……ウザいんだよ、あの監督。
…ふふ、年寄りとはすべからく厄介な世話焼きなのですよ。
(自虐とも取れる言葉を返しながらも少しだけ心配そうな様子で相手を見つめて)
(散々オッサン呼ばわりしているが年寄りと言う程でもないだろうと内心で反論しつつも、相手を気遣っているようでどこか癪なので口には出さず。客だからという理由は尤もだが、態度の悪い自分にも変わらず下手に出る相手に興味本位で尋ねてみて)
……オッサンは、人にキレる事とかないわけ?
……ふーん。
(自分とは真逆の性格故に半ば彼の言うことが信じられず、訝しげに見つめながら返事をして。暫く黙ってウォッカを口にしていたが、少し経って酒が回って来たのかぽつりぽつりと愚痴の続きを零し始め)
……俺さー、正直めちゃくちゃ顔良いじゃん。
…ええ、そうですね。
(少し反応に困りつつも笑顔を保ったまま答え。「一条様は確かに綺麗なお顔をしていらっしゃるかと。」グラスを磨きながらも目線を向けて)
それは俺も知ってんだよね、百も承知なわけよ。
(カウンターに肘をつきだらしなく体重を預けて、グラスを傾ければ氷がカランと音を立て。期待通りの肯定が返ってくると満足げに頷いた後、またすぐに不機嫌な顔に戻って)
…けどさ、俺なりに役者としてのプライドってもんがあんの。顔だけで売ってないっていうか、演技を頑張りたいっていうかさ。
それは…素晴らしいお考えですね。
(二、三度首を縦に振って大きく頷いた後、「…しかし周りの方は一条様のことをお顔でしか見ていらっしゃらない、ということでしょうか。」憂いを帯びたような口調で静かに溢し)
(再度飛んできた肯定の言葉は満更でもなさそうに受け止めつつ、相手の的確な質問には少し間をおいてコクリと頷き。未だ目は合わせないまま、今日あった出来事を思い出しつつ心底悔しそうに表情を歪め)
…まぁね。今日の撮影で監督に言われたんだよ、「お前はビジュアル要員なんだから余計な事はしなくて良い」って。…俺なりに考えて芝居してんのに、余計な事扱いしやがってさ。
それは酷いですね…。
(悲しそうに瞳を細め、グラスを磨く手を止めて「私で良ければ愚痴にお付き合いしますよ。」とカウンターにもたれ掛かり)
(話を聞く体制になった相手をチラリと一瞥し、酒のせいで段々と回らなくなって来た頭で本音ばかりが零れ落ち)
俺さ、あんな事言われるためにこの仕事やってねーし、だったら辞めてやるって一瞬思ったけど。…芝居が好きだからさぁ。ほんと嫌になる、あの監督のジジイも俺も結局クソ野郎だよね、って。
……うん。
(珍しくしおらしい様子でコクリと頷いて、しかしありがとうを口にするにはどこか照れ臭いため別の刺々しい言葉で誤魔化して)
オッサン、マジで優しすぎなんじゃない?俺は善良な若者だから良いけどさ、そのうち悪い奴に漬け込まれるよ。
…は?だから子供扱い───、
(ムキになってカウンターに手をつき立ち上がると目眩がして、へたり込むようにしてその場にしゃがみ込み蹲って)
なんか気持ち悪、…酔ってきた、かも。
大丈夫ですか…!
(目を丸くし、珍しく大声を出したかと思えばカウンターから飛び出てきて。蹲る相手に駆け寄って背中を心配そうに擦り)
は、大袈裟…。
(大丈夫だと言い張りながら、急に動いたからか先程よりアルコールが回ってきて。意識を失う程ではないため自力で立ち上がろうとするが、思わず相手に寄りかかってしまい)
マジで大丈夫だから、久しぶりに飲み過ぎただけだし。
(一人暮らしの自分を迎えに来てくれる者などいない、と否定しかけたところでマネージャーの存在を思い出し)
…あー、マネージャーが車で来てくれるかも。
マネージャーさん、ですか。無理そうでしたらご連絡をしてくださいね。
(心配そうな表情のままカウンターに戻り、グラスを磨く作業に戻って)
(連絡を寄越そうかと迷ったが悪酔いした事を自ら白状するようで躊躇われ、再度カウンター席に座ると項垂れるように机に突っ伏して一息つき)
別に呼ぶ程じゃないし、もうちょい休んでから自分で帰る。
…オッサンってさ、ここのマスターでしょ?もし客が酔い潰れて誰も迎えに来なかったら、どうすんの?
(お酒が回りぼんやりとした頭でふと酔い潰れた客の扱いについて気になり、興味本位で問いかけて首を傾げ)
そうですね…ご自宅を知っているお客様は私がお送りしますよ。ご自宅が分からない場合は一晩店にお泊めしますが。
(にこりと微笑みながら答え、「一条様のご自宅は知らないので…酔い潰れてしまったらマネージャーさんに迎えに来ていただくか、店に泊めることになるでしょうね。」と考え込むような仕草を見せ)
それヤバくない?俺は男だから良いけどさ、女の客だったらどうすんの?
(突っ伏していた顔をゆっくり上げては怪訝そうな表情で問い詰め)
あー、なんだ。まぁそりゃそっか。
(些かつまらなさそうな表情で納得しつつ、女性関係と言えばついでに気になった事を酒の勢いで聞いて)
オッサン結婚とかしてないの?
ええ。お恥ずかしながら、この年まで独身です。(少し自虐的に微笑みながらも答え、「かと言って今更結婚する気はありませんね。年も年ですから。」と付け加え)
…へー。
(「寂しくないわけ?」と生意気な口をきこうとした瞬間携帯電話が鳴り響き、ディスプレイに映し出されるマネージャーの名前に溜息を吐いて応答し。一言二言相槌を打って電話を切ればふらつく身体を踏ん張って立ち上がり財布から札を取り出し) 近くまでマネージャーが迎えに来てるっぽいからもう行く。…そう言えば愚痴、聞いてくれてありがとう。
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