理仁 2021-05-01 16:25:36 |
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(はぁはぁと息をあがらせて部屋へ逃げ込むと、僅かに目眩がして扉を背にして座り込む。立てたひざに額を当てじっとしていれば目眩は直ぐに無くなり、のぼせたか脱水かな、と憶測をつける。頭からバスタオルを被っていたのと、部屋の電気を付けていないので周りは暗く自分の体と頬の暑さだけが感じられた。紙から零れた水滴が背中を濡らしていき少し不快になっていた。それよりも浴室で自分に行われた行為を思い出し体の熱が上がる気がした。鎖骨を撫でられるのも、頸を啄まれるのも、裸で触れ合うのも全てが初めてで、相手の雰囲気に飲まれそうになってしまったのが恥ずかしかった。あのままいれば自分はどうなってしまったのか、思い出しただけで体の中から甘い痺れが湧き出てきそうで怖かった。
少しじっとしていれば扉の向こうに人の気配がして、扉越しに声が聞こえた。彼の謝罪に答えられずにいれば少しだけ扉が開きペットボトルの水が差し入れられ、自分のために持ってきてくれたのかと横目で見る。冷蔵庫から出てきたばかりのようでペットボトルの周りは少し水滴が付いていて冷たそうだ。有難く水を頂戴し、蓋を開けて飲むと暑い体に冷たい水が染み渡り一気に半分ほど飲んでしまった。落ち着いた体にほぅ、と息を吐いていれば頭の中も落ち着いてきて、申し訳ない、顔を見たい、と呟く声が聞こえてきた。水をかけたのは謝らないぞ、と心に決めつつ顔を合わせるのは恥ずかしいためどうしようかと膝に顔を埋めていると、寂しそうな声で"かーくん"と呼ぶ声が聞こえ、彼にそんな声をさせているのが嫌な気持ちが浮かび立ち上がると顔を見せないようにバスタオルで隠したまま扉を少し開けて)
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