ビギナーさん 2021-04-29 13:28:02 |
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>藍緋、焔
…!
(足に触れる手のひらの感触に気付いて藍緋に顔を向け、席を外すかと話す彼女へと此方も何かを言い掛けていると胸元を掴まれたまま藍緋へと手を伸ばす焔を慌てて支えて均衡を崩し。ソファの座面へボスンと勢い良く座る形で受け止めると少し吃驚した顔のまま『悪い、藍緋。怪我ないか?』と、隣の藍緋へと確認し。此方の胸元と藍緋の袖を掴んでいるのを見て、"もう何処にも行かないで"との娘の声に少し黙りながら小さく纏まっている黒髪の頭を見つめ。隣の藍緋を少し見つめてから眉を下げて微笑むと焔の頭をぽんぽんと小さくリズム良く叩いて)
…誰よりも後悔してたよ。お前達と居たいって泣いて苦しんでた。もう自分を許してやって欲しいって、俺はずっとそんな事を話してたよ。
その人の事を恨んでなんかない、…寧ろ人間だったから寿命を迎えて。母さんとの恋が叶わなかった人だ。
恋愛でも、後悔でも、…誰かが歩んで積み重ねてきたものに何も無駄な事なんて無いと思う。それが母さんを構築したものなら。
…ほら、多分、それがなけりゃ俺とも出会ってなかっただろうし、焔達だってこの世に生まれなかったかもだろう。
母さんが一番好きだったのは焔達の事だから。現にこうやって、な。…会いたいって思いが強かったからなんじゃないかって思う。
母さんのその事と、その人の事はもうお前のなかで許してやって欲しい。押し潰されそうになってるお前の事が心配だ、…きっと母さんも。
それでも恨むなら、きっとそれはその人じゃなくて俺の方だよ。
ずっと助かる手立てを探しても見付けられなかった。母さんを助けられなくて、申し訳ない…、ツラい思いをさせて、心に深い傷を残しちまったな…、焔、
(どんな手を使ってでも治せるものなら探して試したが、医学に精通した藍緋本人でもなかなか効果が得られず彼女が参っていた情景を思い出し。それでも子供達の前では明るく振る舞っていた気丈さはいつしか、弱音や涙を己だけに見せていた事を思い返してか藍緋の手を握る娘の手に視線を下げて。幼かった焔がそれを聞いてしまっていたのも今となっては後悔が残り。ただ、こうして再びこの世に妖として生まれ変わった藍緋はもしかすると子供達に会いたかったからではと、静かに"な?"と娘に話し掛け。あの頃の藍緋と同じく自分自身を許せたように、焔がその人を許す事で自らを精神的に追い込む行為をしないと思い、それでも遣り切れない思いを抱えているのならそれは彼女を助けられなかった此方にすべきだと。葬儀の日と同じく、母親を一番好きであった娘に再び謝罪を話して)
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