ビギナーさん 2021-04-29 13:28:02 |
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>志々雄、張
サーべ「…あ、ああ…うん。気をつけて帰ってね…」
(志々雄が突然焦燥に駆られたように、ハチを連れて帰ると言って彼女を抱き上げた。私はその…特にハチの様子に気圧されながら、不器用に見送り。初めてのものだった。恐らく、違和感に気がついたのは私が一番遅かったと思う。私は志々雄達についていき、一緒に観光に歩いていたはずだった。そこまでは間違いがないのだ。だが次の瞬間には親友の様子が変わってしまっていて。まるでそれは、存在しない”はず”の隙間で何かが起こってしまったかのような印象があり。それよりも気がかりなのは、やはり彼女の様子そのものだ。本能レベルで感じさせる異状を放っていながら、それからは想像もつかないほど中身が空で満たされていて人格を感じさせない。更には、その空でさえ底がまるで見えない。何もかもを除いて、あるひとつだけがそこにある。精一杯に形容するならば、究極的に純粋な殺意が、私とは異なり選択の概念すらも介在しないそれが、志々雄のすぐそばで形を成して立っていた。後になって思えば、それは純粋故に白にも黒にも、あるいは白よりずっと白い、黒よりずっと暗くにすら染まりやすい彼女が孕むには、最も相応しいものなのかもしれない。)
>志々雄、張
ハチ「…ドウシタ、トハ…。異状ハナイ。」
(ただ名を呼ばれたから見上げて呼び返しただけなのに、その瞬間焦燥に歪められたその表情が、私の身を力強く抱きしめたその言動がとても不思議で頭に残る。何がおかしかったんだろう。私は何も変わらず正常のままなのに。医者が言うように眠気や体調不良はないし、五感にも異常はない。もちろんメンタルにも。何だってやれるのに、何がそんなに気がかりなのだろう。彼は家に帰ってきてからずっと私にくっついては離れずにいて。ふと血色のいい片手を持ってはそれを呟いて問う彼に、私はただ透き通ったように何もおかしなことはないと答えて)
「ソウダナ。何カアレバイツデモ呼ンデクレ。」
(最近は冬が近づきつつあるためか、寒さも強くなってくる。故に身体が冷えぬようにしてもらえるのはありがたいのだった。そんな中、来客で張が来たの知らせが入り。曰く何か話しをしてくるらしい彼が横から顔を見つめてくるのに対してこちらからも顔と瞳を合わせると、自分は一旦降りてここで志々雄を待っている旨を伝え。それからは手が緩められるとゆっくりと離れれば、何かあれば呼んで欲しいと重ねて伝え。)
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