ビギナーさん 2021-04-29 13:28:02 |
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>張
……!
(狭い小路の壁に突き刺さる刀と相手の脇を擦り抜けるよう身体を屈め、湿気を含んだ風が纏わり。湿気に眉を潜めて屈伸から抜刀すると大柄な藩士を斬らずに顔面を柄の頭で殴り。己より遥かに大きい者が脳震盪で地に倒れるのを目にしながら裏手から逃げる残りの志士達に背中から声を掛けられて『…おう、早く対馬へ行きな。』と返事を返し。張が刺さった刀を回収できたかどうかは見ないまま湿気で消えた彼等の提灯と夜闇に佇む奥の会津の者達へと顔を向け)
退け。…どのみちお前らはダシ抜かれたんだよ。壬生狼にな。…まあ、引かねぇか。会津は良い意味で頑固だ。
(御旗を掲げて戦っているだけの彼等には引く気が見えず"頑固者"だと不敵に笑んで伝えながら、己はどの藩にも興味等は無いが信念は違えどそれは此方も彼等も同じ事で。藩士達の息を飲む音が聴こえながら、果敢に向かってくる藩士に動きはせず。振り下ろされる刀身の影が動く瞬間、藩士と刀ごと刀身で壁へ勢い良く圧し。浪士の刀の峰が顔に滅込み。逃げ出した者は追わずに脇から斬り掛かる藩士の刀の鎬(しのぎ)から峰の間に狙いを定めて刃を思い切り打つと鋸刃に火花が散るなり浪士の刀身が破損する音が上がり。戦意喪失した彼等から手を引くと息を飲む音以外は辺りが静まり返って、何かを聴いているのか襲撃のあった屋内を眺めてから張に顔を向けないまま少し視線を下げて)
張、行くぞ…。もう助けられる者が居ない。
(池田屋屋内の二階の物音や湿気に混ざる微かな会話を聴いて判断したのか、溜め息すると癖で刃を払いながら刀を納め。その場を立ち去りながら己は北へ向かわず梅雨時季の終わり始める小路の夜闇を歩き出し、先程の相手の戦闘を見た感想を告げるよう軽く振り向いて片眉を少し上げながら張に微笑み)
多少やるじゃねぇか、悪くない太刀筋だな?刀の扱いは上手い。刀身と壁の距離をもう少し見ないとだが。
あとお前、人の刀が欲しいのか?…本当に変な奴だ。
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