ビギナーさん 2021-04-29 13:28:02 |
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ー三条木屋町 旅籠 池田屋ー
……、
(屋内に入ると灯りが消えていて、薄闇に鉄の匂いが漂うなか階段下に同志の見知った顔と従業員を発見するが、既に遅く。感情の憤りを抑えるようにその折り重なるよう伏せている男女の二人へと歩みを寄せてゆっくりとしゃがみ)
…おい、稔(トシ)、きわ、酷い有り様だ、…悪いな、あれから担当が変わっちまったのさ。―…ああ、悪い夢だ、
(久しい顔だと息も絶え絶えに話し掛けられると手を伸ばす彼等に片手を差し出し。もう長くは無い事が見て取れながら、最期に笑う男女の二人に此方も眉を下げて小さく微笑み。“これは悪い夢か?”と聞かれると少し息を詰めながらそうだなと穏やかな語調で返して。両者が息を引き取る様子を静かに看取るよう黙りながら握られる手の力が抜けていく姿を暫くはそのままにし、2階では騒がしい音と声が聴こえながら)
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