ビギナーさん 2021-04-29 13:28:02 |
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>志々雄、アルク、張
ハチ「…アリガトウ。ソレト、待ッテイテクレテアリガトウ…」
(手を振られて誘われるままに、志々雄と共にその方へ向かっていき、側まで寄ると足を思いっきり伸ばして座り込んで。アルクから焼き鳥を渡されると嬉しそうにしながら感謝を伝え受け取り、その後は趣向が凝らされカラフルに夜空を彩る花火に見入っては黙り込んで。ばん、ばんと破裂しては花を咲かせる大きな音に胸を叩かれるような気がしては鼓動が早まるような気がして。)
(ここに来て間もなく、そして彼らと再び出会う前に私は一度ここに来たことがある。兵士として存在していた時期があまりにも長かった私は誰かと上手く馴染む方法が分からなくて、その糸口を掴むために、あわよくば誰かと仲良くなれたらなんて考えてここに来たんだ。でも収穫は何もなくて。成り行きで来たこの場所も、今のように広い草原にイカップルがこぞって集まり私が入れる隙間はどこにもないような気がして、そんな居心地の悪さに花火も随分とぼんやりとしたままでいてただ時間が過ぎていくのを待っていただけなんだ。それ以来積極的にどこかへ遊びに行くようなことはしないで、ナワバリやバイトに行って終わったらご飯を適当に済ませ、踵を返してすぐに家に帰る生活を繰り返していた。)
「………。」
(ふと夜空から視線を逸らして自分の周囲を見渡してみる。今はどうだろうか。お茶目なアルクと張がいて、ここには来れなかったけれどサーベがいて、タコゾネスがいて、そして私のすぐ側には大好きな人がいる。腕相撲大会では特に中心にいて…。彼らのおかげで、気がつけばここにも確かに自分が入れるスペースがあったのだ。あの時は随分と狭く感じてしまった草原も、今は見た目通り広い。…そう。一番はすぐ側にあって、でも上手く出る方法が分からなかった日の下に連れ出しては私をただのタコにしてくれた彼のおかげだろう。そう思うと胸の内から急に衝動が押し寄せてきていた。皆花火に釘付けで側なんてきっと見ていないから、今ならできるだろう。もらった焼き鳥は片手に持ったまま、不意に、そして静かに志々雄に一気に身体を寄せて軽く身を乗り出すと、唇にキスしようとして)
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