梨花 2021-04-19 19:17:41 |
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赤い硝子玉の双眸には、土方の顔が朧気に映る。
こんな訳の分からない、ぐちゃぐちゃとした感情の中で、確かに土方の声がはっきりと聞こえた。
「息を吸え・・・そう、次は吐け。また吸って・・吐く」
「は、ふ・・・・ぁ・・・・・」
泣きじゃくる子供を宥めるような優しい声に従い、ゆっくりと呼吸を整える。
匂いがする。それは煙草の苦い匂いなのか、それとも土方の匂いなのか───どちらにせよ、希美の肺には愛しい人の香りで満たされていった。
「・・・そうだ、上手いぞ・・・・偉いな」
希美の頬に触れる、骨ばった手のひら。
子供扱いされるのは少し癪だが、痛みと熱いのが和らいだのは事実だった。
※ただいま梨花は、深夜テンションに突入してます
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