語り部 2021-02-01 00:27:15 |
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>ソフィア
___なんでそんなに話したいわけ?
(きっとこの子に回りくどい言い方は分からないだろう。
相手の質問には答えず己の質問をぶつける。さっきから少し話が噛み合っていない気がする。この人間はどうしてここまで僕に話を聞こうとするのだろう。恐る恐る聞くのは気を遣ってかなんなのか。普段あまり話さないせいか喉が乾く。すぐに思い浮かぶのはさっき壊した人間の血で。しかしこの少女がいればまた純粋な質問を繰り返されるだろう。そんな面倒はごめんだ。)
>イドラ
(震えながら、ふらつきながら、しっかりと黒い双眸で赤を捉えた少女。噛み付かないのはまだ理性が飛んでいないのか、はたまた出来ないだけなのか。人間に肩入れしキョウダイを憎み、吸血鬼を憎む少女などもうここにはおらず。ここにいるのは、嬉しそうに、満足そうに、美味しそうに、真っ赤な唇を真紅に染めて、捉えた獲物の血を啜る吸血鬼がいるだけだった。己が思っていたよりもすんなり欲望に従う少女。あれだけ人間を庇い、仲良くしようとしていた面影は何処へやら。そういえば僕はなんでこんな事をしているんだっけ。吸血鬼らしくない彼女が嫌いだから?人間に肩入れするのが気に食わないから?人間が嫌いだから?
___多分そのどれでもない。僕はただ、本能に従っただけだ。彼女の同じように。快楽くらいしか感じられない僕の、全部を壊したいなんていう衝動に。人間を壊すのは楽しい。彼女を壊すのも楽しい。なのにこれだけ快楽を感じてもずっと満たされない。それが何かはわからない。でも、葛藤で苦しむ彼女を、少し羨ましいと思うのは何故だろう。わからないから彼女の横にしゃがんで乱雑にその人間に噛みついた。)
___今度こそようこそイドラ。僕の可愛いキョウダイ。
君は吸血鬼。人間が好きなんじゃない、助けたいんじゃない。
ただ食糧が無くなるのが嫌なだけのただの吸血鬼。
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